10月2日 (日) ダブルデートをしよう……2
もうお昼の時間、そろそろ食事にしようか。
「服部、お昼、どうする?」
「正直くん、園内のお店に入りましょうか」
「服部、園内のお店って混んでるんじゃない」
「一応作ってあるけどどうする?」
「もしかしてその保冷バックに入ってるの?何か持ってるなぁとは思ってたけど」
「服部、何作ったの?美味しい?」
「美味しいと思うよ」
という事で、食べるのに丁度いい所を探し移動し始めた。途中トイレにも寄って一度手を洗っておく。
芝生が植わっている広場があるようなのでそちらに向かうことにした。
途中、宮崎にちゃんと吉村さんと話しをしたのか確認したけど、まだあまり話せてないらしい。しっかり根性見せろよ。
あちこちに家族連れが楽しそうに食事をしている広場に到着した。
空いてるスペースにレジャーシートを敷いて座り、ウェットティッシュを渡して手を拭かせた。
その上で、作ってきた料理を取り出す。
「サンドイッチだよ。チキンカツサンド、タマゴサンド、ポテサラサンドの三種類だ」
「美味しそうですね」
「服部の料理だから楽しみだ」
「服部、お前、こんなに料理出来んの?」
「チキンカツはスーパーのデリカのだし、ソースもお好みソース。ポテサラは電子レンジ使えばそれ程時間がかからない。タマゴは少し半熟気味のスクランブルエッグだ。
後はバターやマヨネーズを食パンに塗って、キャベツやレタスと一緒に具材を挟んで、ラップに包んで軽く重しを乗せてしばらくおいておけばいい。
最後に切れば完成だ。食パンをトーストしておいてもいいかもな」
動物園内の飲食店が混むだろうと作っておいて良かった。
意外に時間がかかるのがスクランブルエッグ。
早く作りたいからといって火を強くすると焦げたり硬くなったりするので、弱火で時間をかけて作る。慣れればもう少し火を強めてもいいけど、どのみち付きっきりの作業になる事は代わりがない。
「宮崎、一番味に失敗がないのはチキンカツだ。挟んだだけだし」
「まぁ、一番ボリュームもあるしな。これ、もらうわ」
「京子さん、どう?」
「タマゴがおいしい。普通のだと黄身がマヨネーズと混ざってるけど、これだと黄身の味がしっかり味わえて美味しい」
「それは良かった」
「ポテサラのも美味いな。ジャガイモが細かく残ってていい」
「うちのポテサラは完全にマッシュにしないんだよね。今日は弁当だから水分の出やすいきゅうりは入れてないけど。
後、赤いポテサラが何個かあるから。マヨネーズだけじゃなくてケチャップも混ぜてる。カレー粉を混ぜてもいいよね」
とりあえず満足してもらえそうだ。
宮崎もいるし、どのくらいが適量か分からなかったから多めに作ったつもりだけど、なんか足りなさそうな感じだ。
京子さんと吉村さんの食欲を見誤ったかも。まぁ腹八分目くらいは満たせるかな。
そのまましばらく広場に居て話をする。
宮崎と吉村さんの話がちゃんと出来てるか確認しておいた方がいいかな。
「宮崎、吉村さんとちゃんと話せたのか?」
「……」
「吉村さん、どうなの?」
「ごめんね、せっかくいろいろとしてもらってるのに。
話をしようと思うとお互いなんか話せなくって」
「宮崎·····お前は中坊か。ヘタレ過ぎるぞ?
吉村さんも宮崎にしたいことをきちんと言ったほうがいいよ、恥ずかしいかもしれないけど」
宮崎がこんなにも奥手というか、女の子相手に何もできないとは思わなかった。僕的にはもっとしっかりした大人な奴だと思ってたんだけど。
どうするかな。
「京子さん、どう思う?」
「直接話しにくいならメールやチャットアプリでやりたい事リスト作って送っちゃえば?お互いに」
「ああ、それなら出来ない理由も付けて返信すればいい。お互いの考えが分かるんじゃない?」
「「う……」」
「別に子供を作りたいとか高価な物が欲しいとかじゃないんだろうからさ。
出来るよね?ね?特に宮崎」
「分かったよ。吉村さんのためどうにかするよ」
「頑張れよ」
吉村さんがちょっと顔を赤くなってるけど、なんとかお互いの気持ちのすり合わせができるかな。その上で仲が進展するといいな。
「服部、お前が子供を作りたいとか言われたらどうする?」
「え?俺?4、5年待ってって言うけど?京子さんに限るけど」
「……そうか……」
京子さんの顔が盛大に真っ赤になってるのが見えた。
なんかやっちゃった?
「正直くん、うれしいけど心臓保たないよぉ」
「あ、ごめんね」
宮崎と吉村さんは呆れたような羨ましいような微妙な顔をしてた。
どう思ってるのかな?
まぁ、いつも通りにしてればいいか。
「この後どうする?一緒に回る?」
「吉村さんとゆっくり話そうかと思うから、別行動で」
「京子さんも吉村さんもそれでいい?」
「「うん」」
宮崎もやる気を出したみたいだし、信用するしかないか。
さて、何を見に行こうか。
「何見たい?、京子さん」
「何がいいかな。コアラとかキリンとか?」
「そこにいこうか。キリンはタイミング次第だけど、餌やってるところが見れるみたいだよ」
「そうなの?じゃあ行こう行こう」
「はいはい、行こうね。
「宮崎、吉村さん、こっちは、先に行くね」
興奮気味の京子さんに引っ張られキリンのところに向かう。
京子さんは動物好きなんだね。次はどうするかな。水族館とかは喜ぶかな?それとも牧場の方が楽しめるかな。
「京子さん、次は水族館がいい?牧場の方がいい?」
「連れて行ってくれるの?」
「京子さんが希望するなら」
「行きたい!どっちにするかは後でいい?」
「いいよ」
もう少しでキリンの所に着きそうだ。
タイミングがいいといいんだけどな。
さてどうだろ。
「看板にはそろそろってなってるよ!」
「じゃあ待ってようか」
キリンの前にあるベンチに座り京子さんから話しかけてきた。
また顔を真っ赤してるんだけど大丈夫なのかな?
「正直くん、さっきの子供を作りたいとかの話は本当にそう思ってるの?」
「ん?そう思ってるよ?当然結婚してからになると思うけど」
「いいの?」
「だめなの?」
「だめじゃないけど……でも、私でいいのかなぁと思うんだけど」
「京子さんがいいんだよ。他の人とか考えられないし」
またさらに真っ赤になって湯気が頭から立ち昇りそう。
からかってるわけじゃないけど、このままだと京子さんが倒れるかもしれない。
餌やりが始まりキリンが頭をこちらに向けてくるので、それを見に行った。
ただ、キリンが可愛いみたいで興奮してて、ちょっとやばいかもしれない。
今の内に冷たい飲み物でも買ってこよう。
「はーー、キリンがこっちに顔を向けて餌を食べてるのが可愛いかった」
「はい、冷たいお茶。これでクールダウンして」
「ありがとう。今日はいろんな動物に触れたり間近で見れたりで楽し過ぎる」
「それは良かった。またその内来ようか?」
「うん」
もう一つの目的がどのくらい達成出来たかは分からないけど、京子さんの方は十分楽しんでくれたから大成功かな。
その後もコアラやチンパンジー、ゴリラ等を見て回るが、爬虫類、両棲類の方は京子さんが怖がったので行かなかった。
「爬虫類とか嫌いなんだ?」
「そうね。小さい頃にたまたまヘビが目の前に来たのを見てから」
「噛まれたりしたわけじゃないんでしょ?」
「あのピロピロ出す舌が怖かったんだと思うんだけどね」
「ははは、あれが可愛いって思う人もいるみたいだけどね」
「うーーーー、無理」
爬虫類とか嫌いな女の子は多いから仕方がないよね。
種類によっては可愛い子もいるんだけどね。
あらかた回ったから、またふれあいコーナーに戻って子山羊や子山羊を撫で回していた。
十分堪能した頃に、宮崎と吉村さんが手を繋いで笑い合いながら戻って来た。
お互いいい感じで話が出来たのかな。ならいいけど。
「宮崎、どうだった?」
「いい感じに落ち着いたと思うよ」
「まぁ、今後も頑張れ」
「ああ」
そろそろいい時間だから帰ろうか。
まだ見足りなかったりするかな?
「京子さん、吉村さん、まだ何処か回る?」
「服部、俺には聞かないのか?」
「お前はいいんだよ。足りなきゃまた吉村さんと来ればいいだろ」
「……そうだな」
「私と吉村さんは大丈夫」
「じゃあ帰ろうか」
シャトルバスでまた駅前に戻って来た。
夕飯にはちょっと早いかもしれないけど、どうしようか?
「夕飯にはちょっと早いけど、何処かで食べてく?」
「悪い、俺と吉村さんで二人で食べてくよ。もっといろいろ話がしたいし」
「分かったよ。じゃあな、また明日」
「吉村さん、また明日」
手を振る二人と別れてどうしようかと考える。
二人で食べて帰ってもいいんだけど、最近いつも一緒に食べてるから……
「京子さん、どうしようか。京子さんのお母さんが準備してくれてるなら家に戻る?」
「どうするか言って来なかったもんね。聞いてみる。
……用意してくれてるって」
「じゃあ、帰ろうか」
「うん」
今日は流石に歩き疲れたので、お店を覗く事なく帰った。
京子さんの家ではお母さんが出迎えてくれた。
「「ただいま」」
「おかえりなさい。楽しかった?」
「楽しかったよ。ペンギンがヨチヨチ散歩してるのが見れたよ。
子山羊や子山羊も触れた。可愛いかったよ」
「僕の方は友達の面倒を見るので大変でしたけどね。
京子さんが動物を可愛がってるのが可愛くて、そっちは楽しかったけど」
「あらあら。吉村さんとそのお友達の間を取り持ってたのね。お疲れ様」
リビングに移動すると京子さんのお父さんがソファに座ってテレビを観ながらくつろいでいた。
こちらに気付くと声をかけてきた。
「おお、お帰り。友達とダブルデートだったんだって?」
「カッコいい奴なんですけど、どうも女の子関係だとヘタレだったみたいで」
「へぇー、面白いね。で、どうだったの?」
「お父さん、吉村さんも関係あるから。あんまり聞かないでね」
「分かったよ。服部くん、飯食って行くんだろ」
「ごちそうになります」
「後で、その男の友達のことだけを聞かせてよ」
「……お父さん」
いつも通りのやり取りの後、夕飯の後しばらく話し込んだけど、やはり友達のことが気になるようで何度も聞いてきた。
その都度、京子さんににらまれてた。
2025/09/02
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