10月1日 (土) 普通の土曜日……
今週は京子さんも周辺も落ち着いて、ようやくこれまでのような生活が戻って来た……と思う。
廊下に女子が集まるような事はほぼなくなり、物珍しそうに見に来る人がいるくらいになった。
逆にサッカー部やバスケ部の部員が今頃勧誘に来ることが増えた。
それでは京子さんも不安にならないので、落ち着いて生活出来るようになったかな。
いつものように宮崎と登校中。
吉村さんとちゃんと話しをしたのかね。
「宮崎、吉村さんとちゃんと話した?」
「……話したよ。何に悩んでたかは聞いた。
でも、身体目当てで付き合ってるんじゃないから、簡単にしようとは言えないからな」
「まぁ、そうだろうな。そういう奴なのは知ってる。でも、キスくらいしてあげればいいんじゃないの?口にとは言わないけどさ」
「……分かった」
こいつも真面目だから吉村さんの事を考えすぎてんだろうけど。
もうちょっと希望叶えてあげてもいいんじゃない?
俺も偉そうな事は言えないけど。
「そういえば、吉村さんを親に紹介してる?もしくは吉村さんの両親に紹介された?」
「いや。結婚するとかじゃないし」
「こっちは1週間もしないうちに京子さんの両親に挨拶してるけど。付き合い始めた次の日にはばれてたし。
うちの母親にも偶然ばれて、2ヶ月ほどで紹介してるけど」
「お前のところが特殊なんだよ!」
まぁ、そうだよね。
付き合い始めてしばらくして、ずっと彼女の家に入り浸ってるしな。
しかも、キッチンで飯作ってるし。
「球技大会の時にも話したけど、ダブルデートしようぜ。次の日曜」
「は?こんな状態でか?」
「こんな状態だから京子さんが一緒の方が吉村さんも落ち着くんじゃないの?」
「そうかもしれないけど……」
「そっちがイチャコラしてても問題ないし」
「人前でイチャコラしねぇし」
「そのくらいもできねぇから、キスもできねぇじゃねぇの?」
「……」
とりあえず煽ってみたけどのってくれるか……
こいつも何かきっかけがないと先に進めない。
この後、吉村さんにも話して宮崎をさらに煽り、ダブルデートの約束を取り付けた。
どこに行くかは後で決めよう。
と、今週は宮崎の世話に時間を取られてしまった。
普段通り放課後は京子さんの家に行って、のんびりお茶をしながら話しをしていたけど、それ以外に宮崎&吉村さんとのダブルデートの打ち合わせをしていた。
京子さん的には普段二人だけのところを、友達のペアと一緒ということで気分も違って楽しみみたい。
行くところは当日まで吉村さんにも内緒にしてある。
服部Side
前日の土曜日、久々のSLG。山田の家まで行く。
本屋寄ったりスーパー寄ったりし、最後に学校以上に長い坂道を自転車を押しながら登ってく。
今日はおばあさんがいないので、そのまま山田の部屋に直行し、お湯をもらってカップ麺でお昼にする。
今日のゲームの題材は「エルガイム」。
これも古い作品で、関連作品がコミックでたまに発売されているとか。読んでないけど。
今回も宇宙戦で、この作品特有の追加ルールがある。
エルガイムに出てくるロボット「ヘビーメタル」はすごくエコで、エネルギーは太陽光から生成する。
毎ターン、エネルギーを生成して、それを行動に使う形になっている。
生成されたエネルギーで動かすため、足りなくなると動けなくなるので、使うヘビーメタルがいる位置も重要になる。
戦場のボードには小天体があるボードがあり、密度の違いで1ターンにおける生成できるエネルギー量が少なくなるようになっている。
ただ、小天体は障害物にもなっているため、確認や射撃に影響を与え、逃げ込む場所にできる。
ガンダムよりその点で複雑であり、考えて戦場を選ぶことも必要となっている。
使用するヘビーメタルは、山田:オージェ、服部:アトールV、武田:エルガイムmkⅡ、西川:アシュラ・テンプルとなった。
6枚のボードはランダムに配置して、皆適当な位置からスタートした。宇宙戦なので初期慣性5で。
「まずはエネルギーのチャージな」
「サイコロ振って……5か、こんだけしかチャージできねぇのかよ。結構厳しくね?」
「始めはほとんどチャージのみにするしかないかな」
で、行動計画を決める。
「なあ服部、岡田さんはもう大丈夫なのか?」
「先週の土日に一緒にいたから落ち着いてみたい」
「なら良かったな」
最初だからチャージのため慣性で移動のみ。
「でも、そんなに不安になるのか?俺、モテないだろ?」
「「「……そう思ってるのはお前だけだ」」」
「新手の精神攻撃か?お前はそこそこモテるぞ?」
「そうじゃなくても球技大会みたいに活躍してたら、注目されて更にモテるに決まってるだろうが」
「それに岡田さんと付き合ってていい彼氏だよね、って岡田さんを羨ましがってる女子が何人かいたぞ。もうちょっと自分を理解しような」
「え?」
逆にこっちが精神攻撃を受けた気がする。
みんなの行動計画が決まったので移動。
距離も離れてるし、これで終了。
しばらく同じ行動なのでターンが進む。
「吉村さんの方もどうよ?あっちも悩んでたろ」
「あれも今どうにかしてる、彼氏の方を教育中」
「なんだそりゃ」
そろそろ確認出来そうな位置に来たので、相手の射界に入りたくない。でもサーカスバインダーは手持ちの武器より射界が広いからな。
「あいつも吉村さんを大事にしてはいるけど、吉村さんがしたいことに差があるだけだよ」
「したいことの差って?」
「そりゃあんなことやこんなことだろ」
「「うんうん」」
「まぁ、そこまでじゃないけどな」
で、行動計画が決まり皆移動。
丁度いい所にエルガイムmkⅡがいるので確認判定。
射撃も計画してたから狙う。
「距離10で相対速度が8で寸法修正+1だから……サイコロ振ってと、当たった」
「まじかよ」
どこに当たるかな?胴体に一発当たったところで墜ちはしないはずだけど……
「服部の方はどこまで進んでんだ」
「あれからまだ進んでないよ。せいぜい膝まくらしてもらったくらいだ。
どこに当たるかな……盾か、つまらん」
「膝まくらか……いいなぁ」
「彼女作ってしてもらえ」
「どうしても彼女が出来ないのだが?」
「渡辺さんや高橋さんはどうよ?」
盾に当たりダメージ1しか付かず。なのに当たったエルガイムmkⅡはビームのエネルギーを一部吸収したらしい。
ヘビーメタルってエコ過ぎる。
その後もターンが進むが、基本性能の高いエルガイムmkⅡが結局勝った。僕のアトールVは2位だった。
オージェとアシュラ・テンプルは小天体のあるボードで戦闘し、エネルギー不足の後なんとかそこから脱出。
しかし、直後に潤沢にエネルギーのあったエルガイムmkⅡとアトールVに攻撃され墜ちた。
小天体のあるボードに長居するのは危険で、さらにそこでの戦闘が長引いたらもうダメだということだろう。
その辺がガンダムの宇宙戦との違いがあって面白かった。まあ、勝ったからだけど。
今週は山田達とあまり話せなかったので、その後も七時前まで話し込んで帰ることになった。
岡田さんSide
学校の帰りにファミレスに寄って吉村さん達と話しをする。
明日のこと何も聞いていないんだよね、吉村さんも宮崎くんから聞いていないのかな?
動きやすい格好でとは言われたけど。
「吉村さん、明日のこと、何か聞いてる?」
「何も。動きやすい格好でってくらい」
「何々、明日なんかあるの?」
「明日、正直くんと吉村さんと宮崎くんとで出かけるの」
「ダブルデートってやつですか?」
そうなんだけど何も教えてくれないんだよね。
何で秘密にしてるのか分からないんだけど。
「そうなの。でも、どこに行くのか教えてくれないの」
「何で?京ちゃんにも内緒にしてるなんて、なんかあるのかな?」
「もしかしてもう一人来たりするとか?」
「マンガにもある二人目の彼女とかですか?」
「「え?」」
何それ?彼女が二人とかあり得ないよね?
本当にそんな事があるのかな······
「わあああ、京ちゃん、冗談だから。服部くんがそんなするわけないでしょ?」
「岡田さんしか見えてない人がそんなことしないですよ」
「うんうん、服部は自分が意外にモテる事にも気付いていないしな。京子以外眼中にないよ」
「そうなの?」
「「「そうそう」」」
でも、私が正直くんがあんなに人気があることに気付いちゃった。
はっきり言い寄って来る人が出てきたらどうしよう……
「京ちゃん、そんなに心配しなくても大丈夫だから、ね?」
「うーー」
「ナベがあんな事言うから……また落ち込んでるだろ」
「ごめんごめん」
明日になるまで待つしかないよね。
家に帰り着いて京子さんにチャットアプリで連絡後電話をした。
明日のことで心配してそうだと思うし。
「こんばんは、大丈夫?」
『正直くん、大丈夫だよ。でも何かあったっけ?』
「いや、また渡辺さんが妙な事を言って不安にさせてないかと」
『エスパーですか?
正直くんがもう一人彼女を連れて来るとか。そういうマンガがあるらしくて』
「ああ、あのマンガね。普通にあり得ないよ、あんなの」
『正直くんもそう思うんだ』
「そんなことしないから」
渡辺さんも何を吹き込んでるんだか。
そんなことするわけないでしょ。
「内緒にしてるのは、宮崎と吉村さんが話が出来るようにという事を考えて場所を選んだからなんだけどね」
『そうなの?』
「まだあれから話をしていないみたいだしね。
でも、京子さんは普通に楽しめる場所だと思うから楽しもう」
『ん、でも、吉村さんの事が気になるけどね』
「別れる別れないって話じゃないから、二人に任せるしかないと思うよ」
『分かった。明日楽しみにしてる』
「明日迎えに行くからね。おやすみ」
『待ってる。おやすみ』
京子さんにも言ったけど、明日は楽しまないとね。
*後書き
作中の「ボードのSLG」はツクダホビーから販売されていたボードゲームです。
昭和の時代にガンダムなどンサンライズ作品やマクロスなどのロボット物のSLGが販売されていました。
「エルガイム」については、ガンダムと違って燃料という概念がないから、光に当たっていればいくらでもエネルギーを生成して、いくらでもバーニア(?)を吹かして移動できるし、光学兵器を何発も撃てます。ある意味夢の兵器です。
2025/09/02
現在次世代の話を連載中です。興味がある方はご覧いただければ幸いです。
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