8月13日 (土) 祖父母の家に行こう……3
祖父母の家を出て、来た道を戻り途中別の方へ曲がりスーパーへ向かう。
前回来たのは春休み以来か。
田んぼの間にある道を20分ほど歩き、ようやく辿り着いた。大きいスーパーではないが、大抵の物は揃う。
「直、今日は親子丼でいいよな?面倒だから」
「いいんじゃない?」
「京子さんも親子丼でいい?」
「うん、いいよ。昼にあれだけいいもの食べさせてもらったんだし、夕飯は普通なのでいいよ」
よし、これならそれほど手間もかからないし、お店みたいなのにはならないけどまとめて作れるし。
鶏肉 (個人的にもも肉好き)、卵、玉ねぎだけでもいいんだけど、個人的にはネギ、椎茸なんかも入れる。
「ねぇ、いいもの食べったって何食べたの?それまーくんがおごったの?」
「駅前の海鮮のお店で結構いい海鮮御膳食べた。ばあちゃんと母さんのオーダーだから支払いは出してもらうけど」
「えーー、いいないいな、私も食べたい」
「真琴は母さんに食べさせてもらえ!」
京子さんは客なんだから接待しなきゃいけないんだよ。僕はそのおこぼれに預かっただけ。
いいだろ?
「朝はどうする?京子さん希望はある?」
「朝かーーー、服部くんにはフレンチトーストとかホットケーキ作ってもらったし」
「それは彼女特権ですか?」
「いや、昨日友達のとこでもフレンチトースト作ってきたよ?ご要望があったから」
「「いいないいな、うちじゃあ作ってくれないのに」」
「いつもはどうしてるんです?」
「面倒だからトースト一択」
「「家族だからというこの格差」」
家族なんだからそんなに凝ったもの作るわけないだろ。叔父さんのときだってそうだっただろ?
でもどうするかな……ここはピンチヒッターでも投入するか?
「じゃあ、京子さんがフレンチトースト作ってみる?
味付けは見てあげるし、焼く時もそばに付いてるから」
「ならやってみる」
「良かったな、フレンチトーストが食べれるぞ?」
「「ありがとう、京子ちゃん」」
「うまく出来ればいいんですけど」
「大丈夫だって、まーくんが付いてるから」
そんなに難しい料理じゃないから。
焼く時に弱火にして、火加減を注意してじっくり焼けばなんとかなる。
味なんて甘過ぎれば我慢、甘くなければ蜂蜜やジャムで調整させればいい。
「そうだ、そうめんとか残ってる?」
「まーくん、冷や麦は残ってたと思う」
「冷や麦か、最近どう食べてる?」
「つけ麺しかないね」
「そうだよな……それ以外だとぶっかけるか炒めるかだよな、昼飯だし明日考えよ」
そうめんや冷や麦って炒めたことないんだよね。どうしようかなぁ。
味付け的にはめんつゆがあれば失敗はまずしないんだけど。
上手くいかなかったら、直や真琴に食べさせればいいか。京子さんにはちゃんとしたものを出すけど。
飲み物もあわせて買うものを買って帰り始めた。
まだ夕焼けという時間ではないので、青空の向こうに見える入道雲がきれいだった。
「きれいな風景だよね、ここ。服部くん。田んぼと山と空のコントラストが」
「ここ人工物が少ないからね。それに青空と雲が壮大な感じになっていいよね」
昔に比べれば便利になったらしいけど、地元と比べればまだまだ不便なんだけど風景だけはいいと思う。
ずっと住んでいられるかは別だけど。
「さっきうちの親たちと話してたけど、大丈夫だった?」
「大丈夫だよ。ちょっと面白い話も聞けたし」
「え?やっぱりか……あることないこと言ってるから全部信じないように」
「あることあることしか言ってないよ、真琴?」
「そうそう、ね。直ちゃん」
ダメだ、京子さんが毒される。このあとどうなるんだろう。
夕飯食べた後また京子さんとられるんだろうな……はぁ
「さて、夕飯の準備をしますか。京子さん、玉ねぎを5mm幅くらいで、ネギも同じくらいで斜めにスライスして」
「はい」
椎茸もスライス。
鶏肉は食べやすいサイズにカットして軽く塩コショウして、皮目から焼く。
両面焼き目がつくまでじっくり焼いたら、野菜を投入。
酒、みりん、砂糖、めんつゆを入れ、水を入れて味を調整してしばらく煮込む。この後、卵を入れるので味は少し濃いめに。
ご飯が炊けて食べる前に溶き卵を入れて、好みの状態になるまで火を入れてご飯にかける。
今回は一食単位で作るわけではないので酒、みりんの量が多いのでしっかりアルコールを飛ばすように。
早く作りたければ、鶏肉は焼き目が付くまで焼かず、具材全部調味料全部入れて火にかけてしまえばいい。
鶏肉につく風味に差が出るけどお好みで。
「さあ、どうぞ」
「「「「いただきます」」」」
「あ、焼き目が付いてるだけでちょっとお肉の感じが違う」
「炭焼きだともっと違うけどね」
「うちの母さんのだとご飯がつゆに沈んでるけど、こっちはつゆが濃いめだから量が少なくてお店のと同じ感じのが個人的には好き」
「もう真琴には作ってやらない!」
「ごめん。まずいって言ってるわけじゃないじゃんか」
家庭でまとめて作る時の作り方の違いだからね?
こっちのは極力お店に近いつゆの量に仕上げてるから。ただ、味が濃い。
薄味がいい人にはうちの母さんの作るタイプの方がいいんだろうな。たまにはそういう味もいいと思うよ。
そうそう今日はペルセウス座流星群がもっとも多く見れるはずの日。
街灯も少ないここだと都合が良いんだけど、蛇が出るかもしれないから危ないんだよな。
どこかいいとこないかな?
「直、今日流星群が見れるんだけど、その辺だと藪から蛇が出そうだからどこか安全そうな所ないか?」
「夜だからどこもそれほど変わらんと思うけど……そこの橋の上とかは?」
「やっぱりその辺しかないか。京子さん、流星群見てみる?」
「見れるの?」
「多分ね。街灯が少ないから市街地よりは見えると思う」
「じゃあ、行きたい」
「私達も行くよ」
まだ話し足りないうちの母親は放っておいて、流星群を見に行く。
と言っても、すぐそこの橋の上。
街灯もほとんど無いし見えるだろう。
別にやましい事をする訳ではないから、真琴や直が来る事に反対はしない。話していたりすれば蛇が寄ってこないかもしれないと期待しての事。
「大分星がよく見えるなぁ。これなら流星群も見えるか」
「ん、いつもより星がよく見えるね」
「いくらか空気もきれいだから。流星群って言っても流れ星が普段より多く見れる天体ショーだから注意して見てね」
「どれだけ見えるかな?」
「あちらはいい雰囲気ですな」
「独り身には堪えるよぉ」
「直は彼氏いねぇの?」
「いませんーーそれに高3の受験生だぞ。新規に探せるかぁー
去年のうちにだったらまだ……」
「来年頑張ってな」
「うーーー」
流星群というだけあって10分くらいで5個流れ星が見れた。
京子さんの方はどのくらい見れたかな?
狙ってばあちゃんの家に連れて来た訳じゃないけど、ちょっとしたショーが見せられて良かった。
「京子さん、見えた?」
「うんうん!こんなに流れ星見たことないよ!」
「それは良かった。正月辺りもあったと思うけど、その時は冬で空気が澄んでるからもっと見えると思うよ」
「お正月もお呼ばれするのかな?」
「どうかな。もしそうなったら、また見ようか」
「うん」
「じゃあ、帰ろうか。お手をどうぞ」
周りも暗いし道も悪いところがあるので、京子さんと手をつないで帰った。
周りに余計な二人がいるけど、穏やかに一緒に見れて良かったと思う。
戻ってお茶にしようかな。
「ただいま」
「おかえり。お茶よろしくね」
「はいはい。京子さんはコーヒーでいい?紅茶もココアもあるよ?」
「それじゃあ、紅茶で。服部くん、手伝うよ?」
「いいよ。みんなと話してて。すぐに終わるし」
京子さんが来ているというのにこの雑な扱い。いつものことだから仕方がないけど。
お茶を用意して戻ると、京子さんはうちの家族たちと楽しそうに顔を赤らめながら話をしていた。楽しそうで良かった。
「何話してんの?」
「え?それは……」
「二人はどこまでいってんの?って話」
「ああ、それ?映画館言ってショッピングモール、駅前のいろいろな店に行ったくらいだよ?あ、あと京子さんの家」
「そうじゃなくて……」
真琴や直の望むようなことを答えるわけないだろ。そうじゃなくても特別皆が喜びそうなことはしてないし。
そんな中、直が京子さんがしているペンダントに気づいた。
「ねね、京子さん。ペンダントしてるけどどんなの付けてるの?」
「あ、これ?服部くんのプレゼント……」
「うちの息子がどんなのプレゼントしてるの?」
「私がいいなぁと思ってたものをプレゼントしてくれたんです、こっそり買って」
「まーくん、次は自分で考えて選んであげないとね?」
「そうだな。京子さん、お風呂が沸いてるからお先にどうぞ。
五右衛門風呂だから入り方も説明するし」
そう言って京子さんを切り離そうとしたが、待ったがかかった。
「まだ話してたいから、まーくん先に風呂に入ってなさい」と言われ、仕方なく先に風呂に入ることにした。
すると……居間の方からキャーキャーと声が聞こえて来た。
「ああ、見たんだな……」
他にも京子さんが欲しがってた物があったのになんであれを選んだか聞かれるんだろうな……
風呂から出たら巻き込まれそうだ。
岡田さんSide
せっかく服部くんが話しを切り上げようとしてくれたたのに······
ペンダントを見せることになっちゃった。
そりゃ言われるよね、吉村さん達も同じ反応だった。
あのペンダントトップだもんね。
早く、服部くん戻って来ないかな。
ああでも、流星群は綺麗だった。
また見たいな。
誤字訂正
116行目: まだ話し足りないうちの母親は放おっておいて、流星群を見に行く。
→ まだ話し足りないうちの母親は放っておいて、流星群を見に行く。
2025/09/02
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