表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お家デート?いえ、彼女の家で僕は料理を作ってます、なぜか  作者: EPO
第5章 祖父母の家にて

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/242

8月13日 (土) 祖父母の家に行こう……2

 バスの発車時間直前にバス停まで戻り、バスに乗った。降りやすいところに座り、バスが動き出すのを待つ。


「しばらく乗ってないから忘れちゃったけど、30分くらいかかると思うから。そこから20分ぐらい歩くかも」

「うん、ゆっくりできるならいい」


 バスが動き出した。

 狭い市街地を抜けて山と山の間を通している道を進んでいく。道路の両側には家が並んでいるけど、ちょっと奥に入ればもう山になる感じ。

 人の乗り降りがあまりないバスが進んでいき、少し小高いところに出てきた。

 下の方に田んぼがあるのが見え、そろそろ降りるバス停になる。間違えると一区間分歩かなければいけないので注意が必要だ。

 何とか目的のバス停に降り、下の方を見ると田んぼが広がっていた。



「わあーーーー、田んぼが一杯。うちの近所じゃあこんな風景見れないよ」

「あっちだと農業試験場の東側の方でも行かないと一面田んぼってところはないよね。うちの近所もマンションになったりしてるし」

「うちの近所、田んぼ自体ない」


 そのまま田んぼを眺めながら祖父母の家に向かって歩き出す。

 8月なのでまだ田んぼは水が張られたままで、水路にも水が流れているので市街地よりやや涼しい。

 たまに蛇が出てくるけど京子さんはどうだろう?


「たまに蛇が出てくるけど大丈夫?夜も出るから家の外にはあまり出ない方がいいよ」

「え?蛇出るの?大騒ぎするほど怖くはないけど触れない」

「僕も触りはしないけどね?」


 大暴れするほど怖がられたら困るところだった。

 僕もそんなに生きているのを見かけたことはないけど、夜に車に踏まれてるのはよく見かけるんだよね。


 そのまま歩いていくと川が流れているのが見える。そこにある橋を渡り、木に覆われた神社のような社が見える。

 橋の脇には線路の残骸も見えた。


「あの線路の跡は?」

「あれは昔そこの土手を電車が走ってたんだって。戦後のばあちゃんが若いころにはあったとか。叔父さんが小さい頃はもうこんな状態になってたって言ってた」

「ちょっとした遺跡って感じだね」

「そうだね。今はこういうのは見かけないもんね。もうちょっとで着くよ」


 一本道を田んぼを見ながら歩いていると祖父母の家が見えてきた。

 裏手に崖があり周囲が藪に覆われている平屋の家。崖の上と建物の奥には畑があり、出来た野菜は送ってくれている。

 以前は椎茸の原木栽培もしていたとかでその残骸が残っていた。


「あ、そうそう言い忘れてたことがあった」

「なになに?」

「お風呂なんだけど……薪焚きの五右衛門風呂だから」

「え?五右衛門風呂?入ったことないんだけど……」

「今時ないよね?入り方は教えるから。まぁ珍しいお風呂だから楽しんでよ」


 別の意味で不安なことを増やしたかもしれない。

 話している内にとうとう着いてしまった。


「京子さん、着いちゃったけど、大丈夫?」

「……うん、何とか」

「じゃあ行くよ?ばあちゃん、着いたよ!」


 扉を開けて大声でばあちゃんを呼んだら、中からばあちゃんが出てきた。


「おお、よう来たな。そっちの子が岡田さんか?暑かったろ?早う中に入って涼んでちょうだい」

「岡田京子です。よろしくお願いします。はい、お邪魔します」

「よろしくね。早く入って入って」


 ばあちゃんもうちの母親とそれほど変わらない性格なんで、女の子がうちに来るのがうれしいんだよね。

 だから歓迎ムードで迎えてるんだけど、京子さんの方はちょっとあっけに取られてる感じだった。


 家の中に入ると既にうちの母親と妹がいた。それに叔母さんと従姉妹の直もいた。もう来てたのか。

もう少し余裕があればと思ってたんだけどな。


「連れてきたよ」

「お邪魔します。岡田京子です。お世話になります」

「いらっしゃい、岡田さん。自分の家だと思ってゆっくりしていって」

「ありがとうございます」

「えー、この人がまーくんの彼女?可愛い人だよね、もったいないくらいだよ」


 まーくんって……せめてお兄さんとか兄貴とか、こういう時くらい読んでほしいもんだ。恥ずかしいだけど。

 うちの家系は兄は敬われない……


「まーくん?」

「ああ、うちだとそう呼ばれてるんだよ」

「岡田さんもそう呼んであげてね?」

「いいの?」

「おまかせします」


 これが京子さんにも定着しなければいいけど。

 学校でそれが漏れたら大爆笑必至だろ。


 そのまま京子さんを取り上げられてしまった……

 お茶の準備をさせられ、終わったら用無しとばかりじいちゃんの手伝いに行ってこいと命じられた。


「どうせ夕飯、作らなきゃいけないんだよね?4時半頃買い出しに出かけるから、京子さん開放してよ?

 京子さん、いじめられたりしないから。何かあったら電話して」


 仕方がないのでじいちゃんのところに行く事にした。




岡田さんSide

 事前に予告されてた通り、服部くんが追い出されてしまった……


「じゃあお茶しながらゆっくり話しましょうか」

「あ、これお土産です」

「ありがとうね。美味しそうな洋酒ケーキじゃない」


 お土産は喜んでくれたようで良かった。

 でもどんな話しになるんだろう。


「うちのまーくんと付き合ってくれてありがとうね。でも、どこが良かったの?顔はわるくはないけどそれほど良くもないでしょ?」

「そうそう。お兄ちゃん、言っちゃあ悪いけど普通だよね?」


 皆さん、うんうんと首肯いてた。

 そんなに普通かな?いい方だと思うけど。


「そうですか?いい方だと思いますけど。

 どこが良かったかと言えば……優しいところですね。

 文化祭の時もうまくいかなかったところで手伝ってくれたり、話してはないけど1年の時もクラスが違ったんですけど困ってた時に助けてくれたりで。

 結構無意識に優しいですよね?」

「まあ、確かに優しいとは思うけど、お兄ちゃんは私達に優しくない」

「そうなんですか?」

「身内だからじゃないの?」


 そういうものなのかな?


「三者面談の時に、お母さんのお弁当を作ってたはずですけど」

「岡田さん、あれはね、誤魔化したい事があったからよ。そうじゃなかったら簡単に弁当なんか作ってくれないもの」

「「うんうん」」


 なんか服部くんの評価がすごく低い……このことを話したら服部くん泣くかも。

 確かに扱いが雑って言ってたのは本当みたいだね、笑うしかないけど。


「岡田さん、うちの孫はご両親に迷惑かけてない?怒られるようなことしてない?」

「大丈夫ですよ。

 バイトでうちの父のあまり得意ではないパソコン関係を手伝ってますし、期末試験前から毎日のようにうちに来てますけど、ご飯を作ってくれたりするんで母も喜んでます」

「うちだけでなく彼女の家でもご飯づくりですか……なぜ」

「一昨日も服部くんが友達のところに泊りでゲームをしに行ってうちにいなかったんですけど、父がポツリと『服部くんがいなくてさみしい』って言ってました」

「随分岡田さんの家に馴染んでるようだね」

「服部くん曰く、紳士的な猫を被ってるのもあるかとは思いますけど。両親には気に入られているので大丈夫です」


 服部くんが猫を被ってるって言ったってしゃべり口調の問題だけで、言動は普通通りだと思うんだけど……

 特にそれで苦しいとか大変だとか言ってないし。


「ぷっ、猫かぶってる……ははは」

「え?何?」

「ああ、この間、岡田さんと話したときにまーくんが猫を被ってるなぁって言ったら、大きな猫は被ってない紳士的な猫を被ってるだけって話になったのよ。

 その時岡田さんが『コスプレ?』って言ったのが面白くて」


 ちょっと私も恥ずかしいので笑うのを止めていただけると助かるのですけど。

 確かにちょっと笑いを取ろうかとは思ったよ?


「仲良くしていただいてるようで嬉しいけど、毎日のように行って夕飯食べてるの?食費を払わないと……後で電話しなきゃ」

「いえ、母は気にしてないので大丈夫だと思います」

「でも、その辺はきちんと話をしておかないと、親としてやっぱり失礼になるから。

 今度手土産も持たせないと」

「それなら、昨日服部くんがさっきの洋酒ケーキを持って行ったから良いかと思います、それに時々お茶請けにスイーツを買ってくれてますから。

 大体いつも自分が食べたかったらって言ってはいますけど」

「その辺はまーくんと後で調整しないと……」


 服部くんは結構手土産持ってきてくれてるから、その辺りは考えているんだと思う。

 それも気に入られてる点の一つかな。


「意外にお兄ちゃんはちゃんとやってるんだ。新聞配達のバイトの人にもちゃんとしてるから気に入られてるし。外面はいいよね」

「うちじゃあ結構ルーズなんだけどね」

「そうなんですか?」

「家にはまだ行った事が無い?行くと多分分かると思うけど。自分の部屋は散らかってるよ、足の踏み場もないくらいに」

「そうそう。自分のテリトリー内と外とで結構違うんだよ。2面性があるというか。でも別にDVしたりとかじゃないよ?だらしなくなるだけ」


 そうなんだ。猫被ってる反動だったり?

 学校でもちゃんときれいに掃除しているから、家でもちゃんとしているのかと思ったけど、そうでもないんだ。


 そろそろ時間かな。



服部Side

 じいちゃんを探して畑の方へ向かった。

 一番暑い時間帯だからそんなに畑仕事はしてないと思うけど、家の向こう側や崖の上の畑を回ってみる。

 そしたら崖の上の畑の方にいた。スイカを収穫しているところだった。僕達が来たから急に収穫したのだろう。

 直達が食べてしまったからなのだろうか……


「来たよ。彼女も連れて」

「そうか。スイカ、冷やしてたんだけどな、直達が食べちまった」

「そりゃ仕方が無いよ。あいつらの胃袋底なしだから」

「ははは」


 収穫したスイカを受け取り下に降りた。

 台所でスイカを半分に切って冷蔵庫で冷やしておく。


 そろそろ買い物に行くのにいい時間なので、居間の方へ向かう。




「そろそろ買い物に行こうか、京子さん」

「はい」

「「私らも着いてく」」

「菓子とかあまり余計な物は買わないからな?」

「「へーーい」」


### 続く ###


2025/09/02

現在次世代の話を連載中です。興味がある方はご覧いただければ幸いです。

「 遊園地デート?いえ、心霊スポットで私は除霊師みたいなことをしています。なぜか?」

https://ncode.syosetu.com/n0014kk/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ