祖父母の家に行こう13年目……1
実は結婚式の後に重大な事が判明した。
……京子さんが妊娠していた……
お互い就職していたし、夏場だったし……開放的になってはいたけど、ちゃんとしていたはずだった。
とは言っても安全日かどうかくらい婦人体温計で確認していただけの話だけど。電池を交換しつつ7年物の体温計で。
ただ、この婦人体温計も不思議なもので、妊娠が分かった途端体温計の電池切れで使用出来なくなったが、当日まで全然表示も何も問題なかった。
電池残量がギリギリになれば、時計の遅れやアラームが鳴りにくかったり、表示が薄くなったりするものだが、そのような事は無かったそうだ。
本来なら1年くらい前には電池切れしていてもいいはずだった。
新品の電池でおおよそ3年くらい使えるという製品で、最初の3年の時はアラームがうまく鳴らず予定通り電池切れで交換したけど、その後交換していないらしい……
なんとなくオカルト要素が感じられるんだけど、と思いつつも自分の落ち度だからと納得する。
まだ子供を育てられる時期ではないと思ってはいたから、デキないようにと考えていた。
でも、子供が欲しくないと思ったこともないから、これはもう神様の思し召し。覚悟を決めて家族のために頑張るしかない。
ということで、うちの母さんや真琴、宮崎達や山田達友達に報告した。
これで宮崎の子供と同い年で、同じ学区に住んでるから同級生になるかもしれない。
子供が生まれる日が楽しみだ。
結局独立は更に延期になり、結構子供がある程度大きくなるまで岡田家に同居することになった。
それからは京子さんの出産に向けていろいろとしてきた。
胎教とかラマーズ法とか……
安産祈願に神社にも行ったけど、また京子さんが何か聞いたらしい。
京子さんSide
安産祈願に神社に来たらやっぱり神さまからの言葉が聞こえた。
『よし、うまく出来たようだのう。心配せず産むが良い』
なんかやったんですね。まあ、いいですけど。
正直くんとの愛の結晶だし。愛おしい私達の子供なんだから。
健康に生まれてきてくれると嬉しいな。
そして数ヶ月もすると京子さんのお腹が大きくなってきたけど、普通より大きいらしい。検診の時にエコーで確認すると双子と判明。
岡田家でちょっと問題になったけど、その後は順調に育っていった。
もう臨月になり出産間近になる頃、僕は京子さんを過保護に扱うようになり、あれこれ僕の方でするようになった。
「過保護すぎるよ」って言われたけど心配で心配で。
そうこうしてると陣痛が始まり入院したので、僕の方は会社を早退し病院に向かう。
到着する頃にはもう分娩室に入っていた。すぐに着替えさせられ、僕も分娩室に入り京子さんの手を握り応援し続けた。
すると2人ともするりと生まれてきた。後で先生に聞くと奇跡レベルだそうだ。
嬉しくて僕は泣いていた。
「京子さん、お疲れ様。2人共元気だよ。京子さんも無事で良かった」
「うん、ありがと。神さまがついていたから大丈夫だったよ」
「まだこれから子育てが大変だけど、一緒に頑張ろうね」
「うん、一緒にね」
………………
…………
……
5年後……
双子は男の子は大輝、女の子は英子と名付けた。共に自分達の両親から1文字ずつもらった。
2人共元気に育って、宮崎夫婦の息子 直樹くんと仲良く幼稚園に通っている。
お盆の8月13日、今日からうちのじいちゃんばあちゃんの家に遊びに行く。
毎年行っているが、今年は直樹くんも一緒で子供達は喜んでいる。宮崎の所に2人目が産まれるため、預かることにした。
「じゃあ、じいちゃんばあちゃんの家に行くぞ」
「「「おお」」」
いつもは車で行っているけど、今日は電車とバスを乗り継いで行く。
宮崎の息子が鉄ちゃんに育っているのと、こういう公共の乗物に慣れさせるのにいいだろうということで、ちょっと大変だけど電車とバスになった。
他に真琴とパティシエのあいつ、葛西さんも一緒だ。
真琴は結婚するんで挨拶のためにあいつを連れて来た。母さんと父さんにはもう前に挨拶は済ませてある。
駅前で待ち合わせ電車に乗り込んでいく。
電車の中であいつは子供達にお菓子をあげていた。よくうちに来てお菓子を与えているから、お菓子のおじさんと呼んで随分懐いている。
お菓子を食べ終わると、車の中からとは全然違う風景が見える車窓に子供たちは釘付けだった。
「京子さん、こうやって電車で行くのは久しぶりだね」
「高校の時だけだよね。正直くんが免許取ったから車で行くようになったし」
「私も一緒に行った時以来ですよね、電車では」
「たまには自分が運転しないで行くのも気楽でいいなぁ。子供達が大人しくしてればだけど」
「「ははは」」
いつも出かけるときは2人共、あっち行ったりこっち行ったりで目が離せなかった。車ならチャイルドシートに座らせておけば楽なんだけど。
今日は初めての電車で外を見るのに集中していて大人しいから助かる。
「そういえば健吾くんはどうしてるんです?」
「健吾は就職して、阪口さんにプロポーズの準備中。阪口さんのお父さんはいつ挨拶に来るか待ってるってさ。知らない仲じゃないのにね?
娘はやらんってやりたいのかね?」
「うちのお父さんもやりましたよ。彼が泣きそうな顔してましたけど。
でも、そうなんですか。なんか健吾くんに先越されそう」
「葛西さんとこはもう御両親に挨拶に行ってるんでしょ?」
「ええ、挨拶はしたんですけど、忙しくて結婚式の準備とか全然進められなくって」
社会人になると仕事でなかなか時間が取れなくなるよね。
うちは母さんのわがままが発端で一気に進めたけど、普通にしてたらもっと遅くなってただろう。
「勢いが必要だと思うよ。期限を決めてやらないとダメだってしないと、いつまでも先延ばしになるよ、山田のとこみたいに」
「そうですね。忙しいなら期限を決めてスケジュール作ってやる方が、彼もやりやすいかも」
「そうだね。その方がいいんじゃないかな?彼の仕事柄からすると」
そんな話をしてると、トンネルを出て海が見える所まで来た。
「「「うわああぁぁ」」」
3人共海に連れて行ったことがないわけじゃないけど、トンネルとの組み合わせに感嘆の声を漏らしてた。
もうすぐ駅に到着する。
お昼を食べてからバスに乗ろう。子供がいるからファミレスかな?
いいのが食べたいと真琴が喚くから、適当に別れて食事をし時間までに駅前に集合することにした。
食後、駅前で集合してバスに乗り込んだ。
子供達は窓にベッタリと貼り付き、流れる風景を見ていた。
狭い市街地を走り抜け、道の両側だけに家があるような所に変わった。更に進むと家がまばらになり、道の直ぐ側に畑や田んぼが増えてきた。
しばらく走っていくとそろそろ目的地のバス停なので、子供達にブザーを押させた。
バスが止まりみんなが降りた。
「「「おおお」」」
子供達が降りて下の方を見下ろすと、一面緑の絨毯のような田んぼが広がる風景を見てまた感嘆の声を上げていた。
「父ちゃん、すげぇな?田んぼでいっぱいだ。空も真っ青だし」
「そうだな。ここは昔からこんな感じだ」
「僕の父さんもここに来たんですか?」
「ああ、小学生の頃にな。初めて来た時はいろいろビビってたけどな」
もう20年くらい前の話。こんなに長い付き合いになるとは思ってなかったけど。
英子の方もはしゃいで葛西さんと話していた。
とりあえず草むら入らないようにと注意しておく。
マムシやハブのような毒蛇がいるから、噛まれたら死ぬぞと脅しておいた。
ばあちゃんの家まで歩いていくが、途中小さいヘビが道を横切ってるのを見て「毒ヘビっ!」と震え上がっていた。ただのシマヘビなんだけどね。
京子さんと葛西さんも怖がっていたのは笑えた。
「正直くん!笑うな」
「ははは」
真琴は慣れてるから全然なんともない。
あいつは真琴がビビって頼ってくれないかなと思っているようだったけど。
そのまま歩いていくと……残ったままの線路や小さい神社の前を通る。
直樹が線路に興味津々でそこまで連れて行った。
大輝も行きたいって駄々をこねるので、直樹の後に連れて行った。
直樹はすげぇすげぇと言って線路を触って楽しんでいたけど、大輝はそこまでではなかった。
神社の方は鬱蒼とした木々に囲まれていることもあって、子供達は怖いらしい。
後もうちょっとでばあちゃんの家に着く。
でも、田んぼに随分稲が植えられていない所が増えていた。10年くらい前に比べると少しだけど。
稲ではなく草で緑になっているのが、近付くと分かる。道路も舗装されてるし農機具を入れにくい所でもないのに。
やっぱり年配の人が農作業を止めたんだろうな。
時間が進んでいるのが分かる。
ようやくばあちゃんの家に着いた。
### 続く ###
*後書き
次で完結します。
あと、新作始めました。
<A HREF="https://ncode.syosetu.com/n2565jg/">TRIPLE-私の知らないあいつは私の知ってるあいつ-</A>です。
面白くなればいいのですが。
誤字訂正
80行目 「私も一緒行った時以来ですよね、電車では」
→ 「私も一緒に行った時以来ですよね、電車では」
2025/09/03
現在次世代の話を連載中です。興味がある方はご覧いただければ幸いです。
「 遊園地デート?いえ、心霊スポットで私は除霊師みたいなことをしています。なぜか?」
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