3月11日 (土) 送別会&僕達の結婚祝い……
卒業してから1週間半経った。
今日は地元を離れる宮崎、吉村さん、西川、高橋さん、武田の送別会と僕と京子さんの結婚祝いの会をする。
山田の家にお泊りしてからも1週間経つけど、特別何かあったわけではなく普通に生活していた。
一緒にスーパーに買い物に行きご飯を作たり。
真琴や葛西さん、母さんが夕飯を食べに来ていろいろ話をしたり、真琴達の勉強の面倒を見たり。
他にも習慣化した京子さんとのドライブをしたり。
お泊りの時に山田達に言ったように、特に普段と代わり映えのない生活をしていた。
せいぜい実家から僕の荷物を持ち込んで、僕の部屋を京子さんと整えて生活できるようにしたくらい。
学校に行ってないから時間を持て余してるくらいだった。
送別会の前日は、ローストビーフやホイル焼き、パウンドケーキの準備をするため実家に戻ってきていた。
会場はこっちにした。こっちの方が少し広いし、何より冷蔵庫の空きスペースが広い。あと1年生組の家がこっちの方が近いので、遅くなっても送って行きやすい。
昼間の誰も居ないうちにできるだけ準備をしてしまおう。
ローストビーフは京子さんの誕生パーティーで作ったロースとしていないビーフをもう一度作った。
合わせ調味料を沸騰させて2分弱肉の各面を浸けて煮るだけだからそんなに難しくない。
合わせ調味料を冷まして肉と一緒にフリーザーバッグに入れて、冷蔵庫に保管して完了。
ホイル焼きは卒業式の前に、また大輔さん達と渓流の釣り堀に行って釣った冷凍保存していたニジマスを使った。
野菜や調味料と一緒にアルミホイルに包んだものを冷蔵庫に保管しておく。
パウンドケーキケーキはいくつかのフレーバーのものをたくさん作っておいた。持ち帰ってもらうように。
こういうケーキは焼きたてより一晩くらい寝かしておいた方が、味が落ち着いて美味しいらしい。
「ふう、京子さん、疲れた?」
「大丈夫だよ。パウンドケーキが量が多かったけど、料理の方はそれほどでもなかったし」
「明日はラザニアとかサンドウィッチやおにぎり作るから、頑張ろうね」
「ラザニア作るのは楽しみかな。この間は全然タッチしてなかったから、どうやって作ってたのか知らないし」
「そんなに難しくはないよ。ちょっと手間なだけ」
「じゃあ、私でも作れるね」
これならうちのパーティー料理の定番になるかもね。
子供も好きそうな味だから、子供の誕生パーティーに出すようになりそうだ。
準備した料理に「食べるな!」の張り紙をして準備は一旦終了。
明日朝から準備をして午後から送別会を始めるので、前日は準備だけして僕達の家に戻った。
当日になり、実家に戻って送別会の残りの準備を始めた。
食材をカットしていき、サンドウィッチやおにぎりの具を作った。
サンドウィッチとおにぎりはもう作って、冷蔵庫に保管しておいた。
ラザニアは京子さんに教えながらミートソースや茹でたラザニア、ホワイトソース、ほうれん草、チーズ、ミートソース、パルメザンチーズの順で3層作る。
ラザニアもオーブンで焼く前まで準備をして、同じように冷蔵庫に保管しておいた。
「ラザニアもそんなに難しくないでしょ?ミートソースを作らなかったら」
「ホワイトソースさえ失敗しなかったら、そんなに難しくないね。順番に盛り付けていくだけだから」
「上手く出来るようになったら、次はミートソースも自作したいよね」
「うん、頑張る」
作ったサンドウィッチとおにぎりでお昼にし、しばらくゆっくりしていると真琴から「学校に車で来て」って連絡があった。
何だろう?
車で学校に来てみれば、真琴達1年生組が荷物をいっぱい抱えていた。
別に学期末に持って帰らされる自分の荷物というわけではなかった。
「何?そのいっぱいの荷物?」
「まーくん達と宮崎さんへのプレゼント。今日送別会や結婚祝いやるって情報が流れてたみたいで、みんなが私達の所に持って来たの」
「今日学校に着いたら机の上にいっぱいあったんですよ。何かと思いました」
「こっちにも。昨日まで何も言われてなかったんですけどね」
「ありがとね。じゃあ、車に乗せてしまおうか。中身は何だろね?他に持って帰る荷物があるなら一緒に持って行くよ」
「「「大丈夫です」」」
やっぱり謎の会のメンバーのプレゼントも多数あった
プレゼントはありがたいけど、どうせなら卒業式の日に渡してくれればちゃんとお礼も言えるのにね。
真琴以外は大丈夫と言うことでこれで閉めて車に乗り込む。
みんなが集まったら始めるからねと伝えて実家に戻った。
戻るともう宮崎と吉村さんが来ていたので、2人にも荷物を持ってもらって実家の中に入る。
中に入って宮崎宛てのプレゼントはその場で渡し、ラザニアやホイル焼きを焼き始め、ローストビーフをスライスして皿に盛り付けていく。
宮崎達はチキンを持ってきてくれたようで、葛西さんのご両親からはケータリングで料理が届く事になっている。ありがたい話だ。
山田や渡辺さんがその後に、更に武田、西川と高橋さんが来た。飲み物やたこ焼き、お菓子等を持って来てくれた。
最後に1年生組がパティシエ志望の男子を伴って来た。
出来た分からどんどんとテーブルに出して準備していく。
チキンやたこ焼きを乗せる皿やグラスなんかも手分けしてみんなで出していった。
そのタイミングでケータリングが届き、葛西さん達が受け取りに行ってくれた。
ようやく料理も大体出来上がり、時間がかかる物は後から追加で出せばいいか。
「じゃあ、始めようか」
「「「「「「はい」」」」」」
吉村さんが乾杯の音頭を取り、乾杯した。
みんなが気になるのはやっぱりローストビーフとラザニアだ。京子さんと真琴、葛西さん以外は食べたことがない。
最初に手を出して食べた……
「「「「「「「美味しい」」」」」」
「だよね?」
「美味しかったのなら良かった」
大輔さん達やうちの母さんも美味しかったと言ってたから、大丈夫だとは思ってたけど食べ慣れない宮崎達の反応は心配だった。
京子さんの誕生日に作ったのが初めてだったしね。
「ローストビーフなんか作れるんだ。難しいんだろ?火加減とか」
「これは簡単だよ。概ね沸騰した合わせ調味料に各面2分弱ほど浸けるだけだから」
「先輩、そんなもんで出来るんですか?」
「その結果がそれだからな。出来るよ。まぁ、製菓ではないけど調理も出来るのもいいと思うぞ」
ローストビーフとラザニアを味見したら、みんなそれぞれの話をし始めた。
「宮崎はいつから大阪の方に行くんだ?」
「来週の中頃にはもう向こうに行く予定。向こうでの生活にも慣れときたいから」
「そっか、そうだよな。こっちと違って人も多いし、繁華街が大きいもんな」
「やっぱり人が多いのがやっぱり一番気にかかるよな。そこから慣れないと」
「そんなに人が多いんですか?」
「今年修学旅行に行けばわかるよ。東京もすごい人がいるから」
叔父さんはそれに慣れたんだよな。通学時間もすごいけど、そうじゃない時間も電車は結構混んでるくらい人が多い。
修学旅行で電車移動した時も上野や池袋はすごかった。
大阪も結構同じような所なんだろうか?
「武田、福岡の方はどうだった?」
「寮みたいなとこに入れることになったけど、やっぱり駅前の方は人が多いな。東京ほどじゃないけど」
「引っ越すとこ決まったんだ?」
「ああ、ちょっと郊外の方かな。電車で市街地の方にすぐ行けるようなとこ」
「いいところならいいな」
福岡の方はどんな所かよく知らないけど、いい所ならいいな。
東京よりは静かそうだと思うけど、ここよりは栄えてるところだから騒がしかったりするのかな。
「西川の方は住むところは?」
「ああ、決まったよ。高橋さんの住むとこの近くだ」
「へぇ。西川が通う学校に近いのか?」
「まあまあ近い。それでいて結構安いとこだから良かったよ」
「学校に近いのはいいよな。うちの大学は駅からバス1本だから楽だしな」
「別に高橋さんのとこに通うために近いわけじゃないからな」
「そんなこと言ってねぇよ」
そんなからかうようなことは言わねぇよ、多分。
高橋さんからすれば、買い物の荷物持ちが近くにいる方が便利だからなんだろうな。
「宮崎、武田。このUSBメモリにレシピを入れてるから、ほれ。
参考になるレシピのリンクも付けてあるよ」
「服部、俺も欲しいんだけど」
「ああ、分かったよ。ちょっとコピーしてくるわ」
僕は自分の部屋に入って、残ってるパソコンを起ち上げUSBメモリのコピーをさせ、リビングに戻った。
「高橋さん、西川くんの家に近いんだ。通い放題だね?」
「そんなに通わないよ。西川くんが来てくれるから」
「何それ?通い妻じゃあなくて通い夫?」
「高橋先輩、愛されてるって感じですか?」
「ほっとけないからって感じかな、どっちかって言うと」
「高橋先輩、大事にされてるんですね」
西川の所に高橋さんが行くんじゃないのかよ。
だからレシピを欲しがったのか。荷物持ちだけじゃなく面倒も見てるのか。
それなら高橋さんのお姉さんやお母さんと仲が良くなったのか。
「吉村先輩ももう来週には同棲が始まるんですね」
「「きゃあ」」
「一緒に住むってそんなに甘いもんじゃないからね。掃除や洗濯、料理しなきゃいけないし。
それに自分の恥ずかしいところや相手の嫌な所が分かっちゃうんだよ?」
「「「うっ、確かに」」」
「それを乗り越えられないと、服部のとこみたいに長く続かないけどね」
確かに僕と京子さんはそういう所をお互い見られちゃってるけどね。
それでも好きでいられるかが、長く続くかどうかに関わると思う。
僕も京子さんもそれでも好きでいられてるから、今2人でいられてるんだよ。
「岡田先輩はこの10日間はどうでした?これまでと何か変わったことは?」
「特にないよ。この間正直くんが山田くんの家に泊まりに行って寂しく思ったくらいかな?」
「やっぱりずっと一緒にいたいですか?」
「うーーん、一緒にいたいけど、大学が始まっちゃうと一緒にいられる時間が短くなっちゃうからね。それは仕方がないし……」
「服部もバイトとか始めると、もっと一緒にいる時間が短くなるぞ」
「うーー、やっぱり高校時代とは違うんだよね」
寂しそうにしてる京子さんも可愛いいな。
大学ともなれば同じ授業を取ることは多分ほぼないし、夜にバイトを入れたりするから一緒の時間がかなり減ってしまう。
就職すればもっと減ってしまうから、お互い慣れないとなぁ。
その分、家に居る時や休みの日にはしっかり構ってあげよう。
「服部先輩、岡田先輩、子供はいつ頃の予定ですか?」
「「ぶーー!」」
「今更吹くほどのことじゃないだろ?」
「この年でそういう話をするとエッチいことをしてるってことで、恥ずかしいんだけど」
「そうそう、夫婦としては普通にすることだと思うけど恥ずかしいよ」
全く、そういうのは聞いちゃあいけないよ。
一応考えてはいるけどね。
「一応就職してからと思ってるよ。でも京子さんの就職に影響があるからなんとも言えないけどね」
「5年くらい先ですか。お金を貯めていいプレゼントを準備します」
「そこまで頑張らなくてもいいよ。おむつケーキとかスタイみたいなのでいいよ?」
「いえいえ、しっかり良いものを送らせていただきますよ、1年生みんなで」
みんなでそんなに高価なものでないならいいけど、まだ学生かもしれないから気持ちだけでいい。
うちの両親や大輔さん達、おじいさんおばあさん達からももらえるだろうから。
実際、その通りに子供が出来る訳ではないけどね。
ただ、京子さんと葛西さんは出来るだろうと確信してるみたいだった……なぜ?
「就職してから一応ちゃんと結婚式はするつもりだから、連絡先が変わる時は教えてね?
宮崎や山田、西川は結婚する時は連絡してくれよ。お祝いするから」
「「「まだ、分かんねぇよ」」」
「そうだよね。こっちに戻ってきて仕事がうまくいくか分からないし。ねぇ宮崎」
「そうそう。山田もちゃんと就職出来るか分からないしね」
「西川くんの場合はこっちに戻ってくるか、どこに行ってるかも分からないから」
だそうだ。
でも、僕達を祝ってくれたんだから、祝ってあげたい。
「あっ、そうだ。渡辺さん、これを」
「何?このUSBメモリ」
「叔父さんから送られてきた前に頼まれたヤバいデータが入ったやつ。パソコンに繋いで見るのが一番いいとは思うけど、スマホでも見れなくはない」
「ああ、頼んでたあれね。ありがとう。山田に見つからないように見るわ」
「そうして下さい。ほんとにヤバいんで」
渡す物も渡したし、後は飲んで食べて話をしよう。
僕も京子さんと食べさせ合ったりしながら、宮崎達とも話をして過ごした。
会って直接話が出来るのも後数日。
夏休みに帰って来たりはするだろうけど、都合もあるだろうから帰って来れないかもしれない。
帰って来たのならゆっくり話をしたい。20歳過ぎれば飲んだりもしたい。
まずは、夏休みまで待つとしよう。
送別会の数日後、まず宮崎と吉村さんが大阪に引っ越していった。
駅の新幹線のホームまで行ってお見送り。
宮崎のお母さんや渡辺さんのお母さんも見送りに来ていた。
やっぱり心配のようだった。
更に数日後に西川と高橋さん、もう数日後に武田がここを離れた。
皆元気で居てくれるといいな。
京子さんSide
吉村さんと高橋さんが大阪に行ってしまった。寂しい。
中学や高校で一緒だったけど、流石に大学や専門学校まで一緒ではいられないね。
でも、今は正直くんがいるから頑張れるかな?
誤字訂正
114行目 「やっぱり人が多いのがやっぱり一番気にかかるよな。そこから慣れなないと」
→ 「やっぱり人が多いのがやっぱり一番気にかかるよな。そこから慣れないと」
2025/09/03
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