3月5日 (日) 最期のSLG大会……3
話をしながらマクロスFを流していた。
直前まで山田の甥っ子が居てかまって遊んでたけど、時間も遅くなり舟を漕ぎ始めたので下に降ろそうとした。
「まだ、いるのー」
「おーちゃん達は大人の話をするから、子供はもう寝る時間だ」
「やだぁー」
「山田、好かれてるな?」
「今日は他にもいるからだよ。いつもならもう姉さんとこに行ってるよ」
それでもすぐに寝ちゃったので、ようやく下に運んだ。
「さて、話をするか」
「何を話す?」
「そりゃあ、服部の話だろ。聞いてないこともあるだろ」
「だいたい話してるはずだけどな」
土曜にここに集まった時に、行動計画の合間に喋らされた気がするんだけど。
まだ聞くことある?
「あのさぁ、確か最初はお試しで付き合い始めたよな?
いつから本格的に付き合うことになったんだ?」
「そうだよね。3ヶ月くらいお試しとか言ってたっけ?」
「覚えてない。割とすぐにもうずっと付き合うつもりに変わってた気がする」
「何があったんだ?」
「京子さんの家に入浸り始めたんじゃないかな?」
そんな感じだよな。
付き合い始めたらすぐに大輔さん達にバレて……
大輔さん達に気に入られて……
頻繁に京子さんの家に放課後行くようになって……
大輔さん達に一人暮らししてるのを知られてというか自分でバラして……
そして、夕飯を一緒に作ったり食べたりする機会が増えたからな。
それが嬉しくて楽しくて。
「京子さんの家に入り浸って、夕飯を一緒に料理を作ったり食べたりしてたら、ねぇ?」
「ねぇって言われても。俺達知らんけど」
「そんな感じなんだよ。一緒にいるのが普通になった。いつまでも一緒にいたいと思うようになったんだ。京子さんは最初から可愛かったけど」
「ああ、そうかい」
別に可愛い可愛くないで付き合う付き合わないを決めたわけじゃないよ?
まぁ、全然考慮しなかったわけでもないけど。
「結婚まで意識し始めたのは?」
「それも割とすぐだったと思うよ?2年の夏に初めてお泊りした頃には、もう……」
「早いな?障害はなかったのかよ?」
「1番の障害になる彼女の父親である大輔さんに気に入られてたし、うちの母さんも京子さんを気に入ってたから全然。
山田のとこだって、渡辺さんのお父さんに気に入られてるんだから障害は全然ないだろ?」
「俺のことはいいんだよ」
いやいやいや、もう高校卒業したんですから、付き合ってる彼女との結婚が視野に入ってくるでしょう。
僕たちが結婚したからそう思ってるだけだけど。
そうでなくても山田は渡辺さんのお父さんのお気に入りだ。専門学校卒業して就職すれば、結婚への道筋も見えてくるはずだ。
「西川の方は高橋さんとどうなん?
パウンドケーキ持たせて家まで行かせたんだけど」
「喜んでたな、高橋さん。お姉さんやお母さんもだけど」
「何それ?聞きたいんだけど?」
「服部のパウンドケーキのことを美味かったとか散々話してたらしくてな。
この間持って行ったら取り上げられてた」
「それじゃあ意味ないだろ」
「半分は取り返してたけどな」
そんなとこまでパウンドケーキの人気があんの?
そこまで数は作れないんだから、お姉さんやお母さんは我慢してよ。
「西川はそのお姉さんやお母さんと仲が良いの?」
「普通じゃない?高橋さんとこでもお姉さんやお母さんにも一緒に荷物持ちさせられてる程度に仲がいいと思うよ?」
「荷物持ちで取り入ったのかよ、西川。流石荷物持ちの達人」
「山田だってロボットアニメで渡辺さんのお父さんに取り入ってるだろ。変わんねぇよ」
そりゃあ50歩100歩、目くそ鼻くそを笑うだろ?
どっちも彼女の家族に気に入られてるならいいだろ。
「どっちもどっちだろ。彼女が出来て、しかも家族に気に入られてるとか。うらやましすぎるだろ?特に服部」
「え?今更、俺?」
「彼女が出来て、両方の両親と仲良くて、もう結婚もして。うらやましすぎるだろ」
「えー、でも京子さんの母方のおばあさんには嫌われてるよ?まぁ、この間入籍したことを伝えたら悔しがってたけどな」
「わざと悔しがらせてるだろ?」
そりゃあそうだ。別に悪いことはしていないからな。
それに京子さんに近づく男全般が嫌いなんだから仕方が無い。
「武田だって勉強に集中しなきゃあ彼女だって出来ただろうに。山田や西川、大戸、委員長にも彼女が出来たんだから」
「それは分からんだろ?」
「そうでもないと思うよ?勉強見てあげたりするなら1年や2年の子を紹介出来たかもしれないよ?
委員長はアイススケートに行って、1年のこと付き合い始めたんだし」
「うらやましい」
「福岡行っていい子を見つけろよ、高校生じゃなくて」
「うっ」
武田も大学に行って彼女が出来るかどうかは今後のお楽しみか。出来るといいな?
そんな話をしてると……
「服部はいつ子供を作るんだ?」
「前にも言ってるだろ?学生なんだから卒業して就職後しばらくしてからだろ。
多分、京子さんの家から独立してからになると思うよ?」
「ずっと同居するんじゃないの?」
「そりゃあ、その方が生活費的には助かるけどさ、やっぱり気を遣うだろ?アレの時」
「「「ああ、そうだな」」」
「外で……ってなるとねぇ?」
「「「ねぇ?って言われても経験ないからしらん」」」
山田も僕と同じで学生のうちに作りはしないだろうから、未だに経験も無いのは仕方が無い。
西川は高橋さんが大阪の大学に合格するために急に勉強を始めたから、時間が無いか。
武田は彼女もいないんだから、まぁ仕方が無い。
みんなこれからだよ。
「でも、山田と西川はこれからだよな?」
「「へっ?」」
もう少しすれば結婚という話が見えてくるわけで、自分のこともだけどみんながどんな風に生活していくのか気にかかる。
なかなか連絡が取れなくなるかもしれないことを考えると、やっぱり寂しくなる。それが自立ということなのかもしれないけど。
そんな話をしながらマクロスFを観た……
話をしていてもみんな徐々に脱落し寝てしまったけど。
寝ていたけど、7時過ぎ頃に皆目を覚ました。
「はよー」
「おお、おはよー」
「もう、飯にするか?」
「そうだな、うちの親たちはまだ起きてこないだろ。さっさと作って食べようぜ」
朝飯はフレンチトーストだ。
キッチンに降りてボールに卵、砂糖、生クリーム、牛乳を入れ混ぜる。
しっかり混ぜて、ダブルソフトを卵液に漬け込んで、バターを溶かしたフライパンで焼いていく。
この辺はいつも通りだ。
バターと卵液が焼ける匂いが立ち込めてくる。みんなが腹を鳴らしていた。
どんどん焼いてテーブルに出し、みんな食べ始めた。
廊下をドタドタ走ってくる音が聞こえてきた。また、山田の甥っ子だろう。
「なにたべてるのー?」
甥っ子が食べたそうな顔をして僕の方に向かってきた。山田は拝む様な仕草でこっちに合図をよこした。
多めに買ってきてるから甥っ子の分くらいは問題ない。
甥っ子の分を焼いてフォークと一緒に出した。
そのフォークを掴んで食べ始めた。
「おーちゃん、おいしー」
「そりゃあ、良かったな。もっと食べるか」
「うん」
「服部、追加よろしくな」
「まだ、僕食べてないんだけど」
他のみんなが食べ終わり、自分の分はまとめて焼いて、山田の甥っ子の追加分も焼いて出した。
食べ終わった後は、僕は後片付けをしてから山田の部屋に戻った。
さて最期の3回戦といきますか。
マクロスFを観たから最期にまたバルキリー頂上決戦をしよう。
選択した機体も前回と一緒だ。
僕はVFー25メサイア、山田はVFー19エクスカリバー、西川はVFー27ルシファー、武田はVFー31ジークフリードに。
みんな全力で最期の決戦を楽しむ。
「次の行動計画は決まったか?」
「「「おう」」」
「じゃあいくか」
……………………
………………
…………
みんなが相手の射界に入らないように、これまでにない動きをした。
ガンダムと違い回避がないマクロスのルールでは、敵の射界に入らないようにするしかない。
もうSLGを当分やる事が出来ないから、皆必死に敵機の射界から避けた。
いつまでも終わらせたくないから…………
それでもいつかは当たってしまう。皆が敵機を墜とすことにも必死だった。
ガンダムと違い誘爆がないマクロスのルールでは、当たればどんどん弱っていくことになる。
もうSLGを当分やる事が出来ないから、皆必死に敵機が射界入るように移動した。
いつまでも終わらせたくないけど、やっぱり敵機を墜としたいから…………
皆が満身創痍のバルキリーを操り、敵機を追い詰める。
遂には1機、2機と墜ちてしまう……
……楽しい時間も最期が来てしまった……
「終わったな?」
「「「ああ、終わったな……」」」
「楽しかったな?」
「「「ああ、楽しかった!」」」
「また、やりたいな?」
「「「また、やろうぜ!」」」
夏休みや年末年始に帰ってくるようならまたやりたい。
帰って来るなら連絡をよこせ。
こっちは予定を空けておくから。
昼飯にみんなでピザの配達を頼み、食べながらまた話した。
また送別会で会うけど、今後の話をいっぱいした。
僕は大学卒業してちゃんと結婚式をするから来いよって……
またみんなでSLGをやろうって……
*後書き
作中の「ボードのSLG」はツクダホビーから販売されていたボードゲームです。
昭和の時代にガンダムなどサンライズ作品やマクロスなどのロボット物のSLGが販売されていました。
VFー19エクスカリバー、VFー25メサイア、VFー27ルシファー、VFー31ジークフリードのデータは市販されていないはずです。
今回も誰かが作ったデータを元に遊んでいる設定です。
2025/09/03
現在次世代の話を連載中です。興味がある方はご覧いただければ幸いです。
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