3月4日 (土) 最期のSLG大会……1
今日明日と山田の家に泊まり込みでみんなでSLGをしに行く。
久々に自転車で山田の家まで行くことになる。
ここ最近は車の運転の練習も兼ねて、山田の家まで運転して行く事が多く、自転車で坂道を登るのはもう苦行でしかない。
山田も同じなのだろうか。
今日も京子さんと一緒のベッドでゆっくり寝て起き出す。
チュッ
「おはよう、マイ ワイフ」
「ぶっ!おはよう、旦那様」
笑われてしまった。まぁ、そのつもりだったんだけど。
入籍後は起こす時には笑わせることもある。ついでにくすぐったりも。
京子さんもはっきり覚醒して、着替えてキッチンに行く。
「おはようございます」
「おはよう」
「おはよ、正直くん、京子。今日も仲が良いね」
「下まで聞こえてたわよ。ふふふ」
「「ははは」」
今日も岡田家は和やかだった。
入籍してからまだ3日しか経ってないけど、一昨年から何度も泊まっているし、去年も夏休み辺りは平日に3日くらいは泊まり込んでいた。
更に冬休みからはほぼずっと住み込んでいたので、マスオさんの立場だけど本当の息子のように仲良くしてもらっている。
以前は泊まるたびにフレンチトーストやホットケーキとかを作ってたけど、今は普通にトーストを食べている。
優子さんが大輔さんを甘やかさないようにということで、トーストで十分と言われたから。
自分の家もそうなんで問題はないけど、泊まり始めた頃はやっぱり気になって作ってたから、作らないのも気が引ける。慣れるしかないけど。
「今日は友達のとこに泊まってくるんだっけ?正直くん」
「はい、自転車で30分以上かかるんですよ。2つ先の駅の裏山の上にある住宅地まで行きます」
「車で行った方が楽なんじゃないの?」
「車で行きたいところですけどね。駐車場が余分にないんで」
「そうか。気を付けてな」
「まぁ、何度も行ってるんで大丈夫ですよ。帰りの下り坂が久しぶりなんで楽しみなんですけどね。結構すごいんで」
「正直くん、怪我しないでね?」
「大丈夫だよ。心配してくれてありがとね」
雨も降ってないし、路面も滑る事はあんまりないから大丈夫だよ。
曲がるとこに砂でも撒かれてたら滑ってコケるけどな。
実際、1年の時に学校の坂道でそうなったんだよな。
ゆっくりみんなで朝食を取りながら、山田の家でするゲームの話をした。
大輔さんが意外に興味が出てきたらしい。大人のゲームだったから。
そのうち山田と渡辺さんのお父さんを呼んで遊ぼうか?
山田の家に行く準備をしてると京子さんが来た。
床に座ってる僕の背中に、京子さんは自分の背中をくっつけて聞いてきた。
「今日は何を作るの?」
「お昼はカルボナーラかな。食べたことのないやつが多かったから。
晩はキーマカレーかな」
「よしっ」
「よしっって何?」
「食べた事のないのを作ったりしたら羨ましいもん」
「その時は今度作るよ」
相変わらず僕の料理が好きだよね。
リクエストしてくれれば何でも作るけど。
出かけるまで背中をつけたまま、京子さんの手の上に僕の手を重ねて話をする。
休みの間どこに出かけようかって話したら、引っ越しの方が先でしょって言われた。
そうだよね。パソコンとかこっちに持って来なきゃいけないしね。
今日は10時に武田と途中のいつも寄る本屋で待ち合わせることになっている。その前に新刊を物色しながら待つ。
武田達とこの本屋に寄る事はもうないだろう。
「よう、服部」
「おお、武田。2日ぶり」
「何かいいのあった?」
「今月は特にない。こんな話をするのももう最後かね?」
「そうだな。再来週にはもう福岡に引っ越すからな」
そっか。送別会が会える最後の日かな。
見送りくらいしてやりたいところだけど。
欲しい本もないから山田の家に向かう事にした。
途中で連絡を入れ、山田の家の近くのスーパーで待ち合わせる。西川はもう着いてるそうだ。
いつもの坂道を自転車を押しながら武田と話しつつ登っていく。
もうこの坂道を自転車を押して登ることもないだろう。
次に来る時は車か原付バイクだ。もう少し文明の利器で楽に登るつもりだ。
スーパーにたどり着くと山田と西川が中で待っていた。
すでに飲み物や菓子などがカゴにたくさん放り込まれていた。
次の日までに食い切れるか?パウンドケーキも持って来てるんだけど。
まぁ、パウンドケーキは山田家への手土産にするか。
「昼はカルボナーラでいいか?晩はキーマカレーにするけど」
「「「おお、いいよ」」」
「朝はフレンチトーストでいいよな?一番最初に山田の家で作ったと思うんだけど」
「いいよそれで、な?」「「ああ」」
卵に厚切りベーコン、生クリーム、粉チーズ、パスタ、ひき肉、じゃがいも、玉ねぎ、人参、カレールー、食パンを別のカゴに放り込んだ。
他にも甘いものを山田が持っているカゴに追加して精算する。
結構な金額になった、菓子類が。
山田の家までの最後の坂道を登る。追加で買い物をしなければもう最後かと思うと感慨深い。
登り切った所で振り返ると、眼下に住宅地が広がり結構いい景色だった……
早速、山田の家にお邪魔して荷物を部屋に放り込み、昼飯の準備を始める事にする。
下のリビングには山田のおばあさんがいたので、パウンドケーキを渡しておいた。
「すまないね」
「「「あー、俺達のパウンドケーキがぁぁ」」」
「菓子いっぱい買ったからいいだろ。それに送別会でまたつくるから」
「「「……分かったよ」」」
「……パウンドケーキに中毒性はないはずなんだけどな」
クラスのみんなもパウンドケーキを食べたがるよね?なんでなんだろ?
使ってるのは市販のホットケーキミックスだし、フレーバーとしてバナナやチョコ、抹茶とかは入れてるけど
「服部くん、大学受かったんだって?後、彼女さんと結婚もしたとか。おめでとうね」
「ありがとうございます。大学は学校推薦でしたから受かりやすかったんです。
結婚は本当は4、5年先のつもりだったんですけどね」
「いいんじゃあないかい?仲良くやってるって聞いてるから、早くに結婚してもいいだろ」
「そうですね」
という事で挨拶も終わって、昼飯を作る。
宣言通りカルボナーラにする。まだこいつらには食べさせてないはずだ。
厚切りベーコンを拍子切りにし、オリーブオイルを多めに入れたフライパンでじっくり焼いていく。
あらかじめ卵、生クリーム、粉チーズ、軽く塩コショウを入れて混ぜソースを準備しておく。
パスタを少し短めに茹でて、ゆで汁少々をバターと一緒にフライパン入れる、そこにゆで上がったパスタを入れる。
ゆで汁が沸騰していない状態で火を止め、卵や生クリームなどを混ぜておいたものをフライパンに入れて混ぜ合わせる。
余り温度が高すぎると卵が固まってしまうので、要注意。
とろみが付くまで手早く混ぜる。混ぜる。
とろみが付かないようであれば、火を着け弱火にしとろみが付くまでしっかり混ぜる。火が強すぎると卵が固まって食感が悪くなるので要注意。
皿に盛って粗挽き黒コショウを振って完成。
みんなに出していく。おばあさんにも試食程度に出した。
「確か作ったことないよな?」
「「「うん、そのはず」」」
「冷凍のは食ったことあるけど、それより美味しいかも」
「簡単に作れそうだけどどうよ?一人暮らしするからさ」
「火加減を弱くして熱を入れすぎなければ大丈夫だ。何回か作ればものに出来ると思うけど」
「そっか、福岡に行く前に作ってみるわ。上手く出来なかったら聞く」
こういうのって女子に人気がありそうなんだけど、山田達も気に入ったらしい。
特に一人暮らしの武田は、そばで作り方を見てたから作る気満々のようだ。
「一人暮らし用にレシピが欲しいなら送るぞ、武田。宮崎にも送る話になってるから、同じのを送れる」
「助かるわ。簡単に作れるのよろしく」
昼飯も終わったし、さてSLGを始めるか。
やっぱり最後だしガンダムだよな、という事でガンダムに決定。
まずは頂上決戦第2弾。前回同様に自分が最強と思うMSを選ぶ。それで終わりではない。
今回はランダムに別の人が選んだMSを使うようにする。サイコロを振って決めた。
結果は服部:サザビィ、山田:ユニコーンガンダム、武田:Ex−Sガンダム、西川:νガンダムとなった。
サザビィは性能がいいんだけど寸法修正が+2で、Ex−Sガンダムと同じなんだよね。
Ex−Sガンダムはバックパックというかブースターが巨大なんで分かるけど、カタパルトに乗らないからと同じになるのはちょっと解せん。
今日はガンダムUC TV版を流しながらSLGをする。
さぁ、始めようか。
スタートはいつも通り静かな滑り出しだ。ただ、Ex−Sが加速をかけなければだけど。
ただ、自分のターゲットの方に寄せるように移動するため、少しずつ加速はしている。
僕のターゲットはνにしたので進行方向より右に寄せている。
そろそろ攻撃に入るターンか。
「次のターン行くか」
「「「ああ」」」
「F3RF4L……νの確認をするか。距離11、寸法修正+1で6以下の……7か。失敗か」
「ユニコーンはEx−Sを確認する。成功と」
「Ex−Sはνを確認するっと。失敗か」
「νはサザビィを確認するけど……成功」
寸法修正の違いのせいか、ダイス運のせいか。
今日はついていないかもしれない。
「服部、結婚生活どうよ?」
「ん?まだ結婚して3日しか経ってないんだけど?」
「なんか変わるものなのかなっと」
「うーーん、冬休みからずっと一緒だったからなぁ。なんも変わらん」
「そんなもんなのか?」
「服部と岡田さんが一緒に居すぎるからじゃね?」
そうかも。最近、離れているのは山田のとこに行ったときくらいか。
大学は学部が違うから離れる時間が増えるけど。
「次のターン行くぞ」
「「「おお」」」
「L2F5R……今度こそνを確認するぞ。距離6、寸法修正+1で8以下で6。
はぁ、やっと確認した。撃つぞ」
「ユニコーンは追尾でEx−S。成功」
「Ex−Sはユニコーンを確認……よっし。成功した」
「νはサザビィの追尾だから成功」
皆確認したから射撃に移る。
「サザビィのビームライフルで、距離6、寸法修正+1、相対速度4で10以下……6で−4だ」
「側面の距離6で−4だから5以下か……4が出た。よっしゃあ」
「マジかよ」
「νはビームライフルで条件は寸法修正+2以外一緒だから12以下で……4と、−8だ」
「西川、つき過ぎだろ。こっちは正面で2以下か。出ねぇだろう……2。よっし」
「服部、お前の方が憑いてるだろ。シャアでも降ろしてるのかよ」
「フッ」
ダイスの目が良かったから回避でしたけど、マジでヤバい。
山田と武田の方は両方ともまだ距離もあるし、回避した。
「山田、高橋さんのお父さんにはSLGの話はしれねぇの?」
「服部、揺さぶりをかける相手が違うだろうだろ。西川を揺さぶれよ」
「いやいや、朝に大輔さんに今日のSLGの話をしたら興味を持ったからさ。
高橋さんのお父さんも興味を持てば、4人でやれるかと」
「話してはないな。PSとかのゲームはやってるけど。ちょっと話してみるか」
興味を持ってくれれば、またSLGやれるしな。
ついでに山田と高橋さんのお父さんが更に仲良くなれるだろう。
「次、行くぞ」
「「「おう」」」
「LF3LF2L……νの追尾、距離6、寸法修正+1で11以下だから……8で確認と。射撃してるからな」
「ユニコーンは追尾でEx−S。成功」
「Ex−Sはユニコーンを確認……失敗。追尾なのに」
「νは……サザビィが11以下なら失敗しないな」
Ex-Sが推力に任せて加速し距離を取ったら、距離を取り過ぎて確認に失敗したらしい。しかも、相手に背中を見せてるし。
サザビィとνはお互いそれほど大推力があるわけではないので付かず離れずだ。
「サザビィのビームライフルで、距離6、寸法修正+1、相対速度3で11以下……4で−7だ」
「いい目を出しやがる。正面の距離6で−7だから3以下か……5が出た。当たったか」
「どこに当たったかな?正面の左腕の……肩か。誘爆しないしな。ダメージは3でまだ残ってるな?」
「νはビームライフルで条件は寸法修正+2以外一緒だから13以下で……8と、−5だ」
「これなら回避出来るか?こっちは正面で5以下か。出るか?……4。よっし」
「また、回避したのかよ」
Ex−Sとユニコーンは距離を取り過ぎ、更に相対速度も大きくなったためユニコーンはビームマグナムを当てられなかった。
威力は高いけど命中率がやや劣るため、離れるとEx-Sのビームスマートガンに負ける。
ただ、今回はEx-Sが確認に失敗したから攻撃を受けないけど。
Ex−S対ユニコーンはEx−Sが推力に任せて近付けば離れ、接近しすぎないように離れ遠距離攻撃に徹していた。
それでも程々に接近したタイミングでのビームマグナムが何度か当たり、最後は背中のブースターが誘爆し墜ちた。
サザビィ対νはシャアとアムロの対決を思わせるほどいいダイスの目が出たりで、中々両機とも墜ちなかった。
そこにEx−Sを墜としたユニコーンが参戦したが、ダイスの目のいい2機のタコ殴りにあい墜ちた。
サザビィとνの決戦となったが、最終的にνのビームライフルがサザビィの頭のコクピットに当たり、誘爆で消えた。
### 続く ###
*後書き
作中の「ボードのSLG」はツクダホビーから販売されていたボードゲームです。
昭和の時代にガンダムなどサンライズ作品やマクロスなどのロボット物のSLGが販売されていました。
出てくるMSは全て自作のデータで遊んでいる設定になっています。
2025/09/03
現在次世代の話を連載中です。興味がある方はご覧いただければ幸いです。
「 遊園地デート?いえ、心霊スポットで私は除霊師みたいなことをしています。なぜか?」
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