6月26日 (日) 期末試験に向けて勉強会 ……
フットサルをした次の日、教室に入ってまず目についたのはいまだに沈んでいる大戸の姿。
昨日のアレをいまだに引きずっているのだろう。僕の方でどうにかできるわけではないので声だけかける。
「大戸、おはよう。昨日はお疲れ」
「ああ、服部。お疲れ。楽しかったよ、フットサル。負けたし、アレだったけどな……」
胸の内で「ご愁傷さま」と念じ、肩をポンと叩いてそっとしておくことにした。
早く立ち直ってくれと願う。
「吉村さん、おはよう。昨日はお疲れ様」
「おお、服部。お疲れ。あの後もうちのキャプテンがチームに入ってくれないかなぁって言ってたよ」
「うーーん、京子さんとの時間が削られるから助っ人以外はちょっと……」
「まぁ、そうだよな。あははは」
その後は京子さんが来てホームルームの時間まで話しをして、その後はいつも通り放課後まで過ごす。
ちなみに、先日の「京子さん」呼びから1週間、今日から「岡田さん」から「京子さん」に呼び方が変わる事になった。
少なくともクラス内では知れ渡っているだろうと言うことで決まった。
来週末から期末試験が始まるので、今週から放課後京子さんを家に送ってからそのまま2時間ほど勉強会をすることになっていた。
夕飯をごちそうになった後、京子さんのお母さんからの依頼で行うことになった。対価は夕飯。
京子さんと一緒に居られるので勉強を教えるといってもご褒美でしかない。それに一人で食事するのも味気なくなってきたから、お呼ばれするのはうれしい。
土曜は試験前と言うことで山田達とは遊ぶ予定はなく、一人寂しくゲームなどやっておりました。
という感じで今週を過ごした。
日曜日は、前も話していた試験前の勉強会を吉村さん達も交えてやることになった。
武田の参加は予定が合わず見合わせになってしまった。
京子さんはここのところ毎日の勉強会で概ね大丈夫だと思うから、吉村さん達がどうなのか次第だけど。
「吉村さん達は期末は大丈夫そう?」
「ははは……中間の時と同じぐらいかな。赤点にはならないと思うけど、親が怖い」
「吉村ちゃんと同じ」
「私は大体大丈夫だと思うけど、念のために教えて欲しい感じかな」
前回のと同じように分からないところが有れば教えていくという方法で進める。
「京子さん、そういえばパソコンの方は大丈夫そうなの?
ネットでも特に問題になっているトラブルは無いから大丈夫だとは思うんだけど」
「うん。ここのところは何も言ってないから大丈夫だと思う。
念のために居てくれると助かるとはいってるけど、料理してくれることを期待してる方が大きいかも」
「ならいいけど……今日のお昼のご要望は?」
「「「作ってくれるの?」」」
山田達もそうだけど僕の料理に味を占めたという感じか……
「京子さんのお母さんは何か準備してる?」
「ん、特に何も言ってなかったから服部くん次第かな」
「じゃあ、作るか」
「「「「やったぁ」」」」
「適当なところで買い物に行ってこないとな……今のうちに行くか。京子さんも一緒に来てもらっていい?」
「いいよ、お母さん達にも言ってくるね」
「吉村さん達はおとなしく勉強しててね」
「「「はーーい」」」
下に降りて京子さんの両親にお昼の話を伝えて、買い物に出かける。
二人とも随分期待してたけど……今日は甘いものになります。
食パンと卵、牛乳、生クリーム……これで何を作るか分かるだろう。あとおまけにアイスクリームも購入。
戻ってきたらまた勉強会に……分からない所はあるかな?
あったようなので説明して解き方を教える。後は何度も類似の問題を解いてもらう。
と、お昼前になったので作り始めるか。
今日は簡単にフレンチトースト。
使う食パンは「ダブルソフト」。耳まで柔らかいので普段からこれ一択。無いと落ち込むぐらい好きである。
普通は前日から食パンやフランスパンに卵液を染み込ませておく必要があるんだけど、食パンが食パンなんでそんなに時間をかける必要が無い。
ダブルソフトはスポンジのように柔らかいので卵液をよく吸収する。付けすぎると耳がボロボロになることもあるので注意。
卵に砂糖や蜂蜜を投入して混ぜる。その後、牛乳と生クリームを入れてさらに混ぜる。
これで卵液は基本完成。
風味付けにバニラエッセンスやラム酒なんかもいい。うちの叔父は昔桃のリキュールを入れていたそうだ。
フライパンにバターをたっぷり溶かして、ダブルソフトに卵液を浸して焼く。
弱火から中火ぐらい間で様子を見てじっくり焼くのがいいらしい。強火だとすぐ表面だけが焦げるから。
焼けたら適当なサイズに切って、おまけのアイスも乗っけて完成。蜂蜜やジャムなんかもいい。
これで勉強で脳が消費したカロリーを補給できる……かも。食べ過ぎると蓄えられてしまうので注意。
「はい、どうぞ。まだこれからドンドン焼くから待ってて」
「「「「はーーい」」」」
フレンチトースト焼きマシーンと化した僕は様子を見ながら3斤分焼いていく。
京子さんのお父さんも甘いものは嫌いではないみたいだけど糖分は気になるみたいなので、卵液の砂糖や蜂蜜の量を減らして、甘みが足りないならアイスや蜂蜜で調整する事にした。僕のも一緒に。
とりあえず皆満足しているみたい。
「アイスが乗ってるからお店のみたいな感じですね」
「うまうま」
「まだ食べ足りないかな……」
「これで午後も頑張れるよね?頭を使わないとカロリーがお腹の方に行くからがんばって」
「「「うっ」」」
途中買っておいたちょっと良さげなデザートを3時に食べ、夕方まで集中して勉強出来た。
甘いもののおかげなのか分からないけど……
次の勉強会でもここまでのサービス期待されないといいけどな。
「そういえば、今週に入ってから『京子さん』呼びに変わってたけど、何かあったの?」
「何か進展しちゃった?」
「クラス内でもう付き合ってるのはばれてるし、ここでそう呼んでるからもういいかなぁと」
「岡田さんの方はまだ『服部くん』なの?」
「……それはまたそのうちにという事で、ね?服部くん」
「うん、いいんじゃない?まだ服部は一人だし」
夕方になったので勉強会もお開き。僕はそのまま残って、吉村さん達は帰って行った、色々冷やかしながら。
また、明日もからかってくるのか?
平日同様に夕飯をごちそうになってるけど、もう家族の一員とかしている感がある。
他の人に見られてしまうと恥ずかしいけど、ここに居る人だけなら気にならなくなった。
と、食事中に僕の携帯に着信が……うちの母親からだ。
「すみません。うちの母親からなんでちょっと席を外します」
「何か緊急なのかな?」
「どうなんでしょう?事前に何も聞いてはいませんけど」
ダイニングから出て廊下の方で電話に出る。
「もしもし……今友達のところなんだけど……急ぎの話?……そうでもないなら帰ってから電話するよ。
うん。じゃあ8時ぐらいに」
特に緊急事態でがなかったけど、ちょっとミスがあった。
帰ってから電話しないとな。
「どうだったの?」
「ああ、土曜までいつもここ来てたでしょ?祖母や叔母が家の方に電話しても出ないから心配してたみたい。
留守電も設定し忘れてたみたいで、何も録音されてなかったからこっちも気付いてなくて」
「それで怒られたのかい?」
「怒られたというほどのことでもないですよ。心配はかけてしまいましたけど」
しばらくうちの親の話をしてから家に帰ってきた。
母親に電話をすると……
「ほぼ1週間何回もかけても電話に出ないから、おばあちゃんや雅代さんが心配して電話してきたんだけど」
「ごめん。留守電聞いた後にも戻してなかった。
来週末期末だから今週友達のところで勉強してた、というか教えてた。それで晩ご飯もごちそうになってて帰るのが遅かったから、電話に出れなかった」
「珍しいね。テスト勉強なんて」
「まぁ普段からほとんどしないけどね。夏休みも遊ぶ予定の友達だから補習とかになると遊べないだろ?」
適当に本当のことを織り交ぜながらごまかしていく。
今のところ彼女が居るとは思っていないようだ。
ばれると良い方で面倒だから、転勤から戻ってくるまでは内緒にしておきたい。
「宮崎くん?」
「違う違う。2年になって出来た友達。栄太叔父さんも関係ある奴」
「何それ?」
「この間分かったんだけど、友達の叔父さんと栄太叔父さんが友達で、よくそいつの家に遊びに行ってたんだって。
友達のおばあちゃんが覚えてて、確認したらそうだったんだって」
「へぇ、おもしろい話だね」
これでごまかせただろうか、少し話をそらしたから大丈夫だろう。
母親から「期末がんばるのよ」と言われたけど、「いつも通りだよ」と応え電話を切った。
期末試験までまだ数日勉強会を京子さんの家でして、土日もまたするかどうするかな。
誤字訂正
39行目:「京子さん、そういえばパソコンのは大丈夫そうなの?
→ 「京子さん、そういえばパソコンの方は大丈夫そうなの?
2025/09/02
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