5月16日 (月) 告白は……
文化祭の最終日、今日は学生だけの日で体育館以外の校舎内は割と静かだった。
俺は仲のいい友人4人とまとまって、自分の教室でボードシミュレーションゲーム(SLG)に興じていた。
お互い交互に動かすタイプのSLGではない。
相手の移動先を予測し、いいポジション取りをして攻撃をする。
そのために、行動計画をシートに書き込みながらみんなとしゃべり込んでいた。
「……慣性の移動位置がここだから、次はここからこう行ってこの向きで……」
「なぁ、昼はどうする?食券あるから早めに学食行ってなんか買うか?」
「ちょっと待ってくれ……こう行くと推力が足りねぇ……どうするか」
すると……
岡田さんが教室の後ろのドアから入ってきて、僕を呼んでるようだ。
何か急いでいるような感じだけど、なんかあったっけ?
クラスの出し物はもう終わってるし、体育館のステージに関わっていないと特に何もすることはないはず。
だから僕たちも教室でZ&ZZガンダム時代のSLGをのんびりやってたのだけど。
「服部君!ちょっと用事があるから来てくんない?」
「ちょっと待って!
悪いなんか用事があるんだって。先進めといて」
「「「分かった」」」
と友人3人はにまにまとしながら生暖かいまなざしを向けてきた。
「なんかあるんか?」
「「「別に…………って大体決まってるやろ?」」」
教室を出ると岡田さんは僕の手を取って走り始めた。
付き合いは最近のことだけだけど、こんなに慌てて走ったりするような人じゃあなかったと思うけど。
何か急がなきゃいけないことがあったかな?
「用事って何?何か足りないものでもあった?
文化祭ももう体育館のステージの出し物で終わりのはずだけど」
「こっちに来てくれる?」
「???」
引っ張られるままに岡田さんに連れられて、特別教室棟の廊下の端の人気のないところまで移動してきた。
一般公開していない生徒だけの日なのでこちらには誰も来ない。
岡田さんは階段に一緒に腰掛けるよう言った。
岡田さんは文化祭の準備で一緒に作業するようになって、結構話をするようになった。
2週間ほど放課後に材料探しをしていれば気安くもなるもので、さっきのように手をつかんで歩いたりすることもあった。
やや丸顔で髪はやや長めのショートの黒髪ストレート、きれいというより可愛い感じの話しやすい子で、柔らかい感じの表情が好みだった。
身長は女子にしてはやや高めだけど、クラスで一番身長の高い自分からすれば十分低い。
痩せてるという感じはしないけど、やや高めの身長もあって細く見える。
スカートから伸びる脚はいい感じに細く、脚好きな俺としてはちょうど好みな感じだった。
クラスで何番目とかに可愛いとかという話は聞かないけど、男女問わず割と人気があった。
「どうしたの?」
「服部君って付き合っている子はいないって言ってたよね?」
「そうだね、いまだに変わってないけど」
文化祭の準備中に雑談で付き合ってる人がいるかどうかの話をしてたっけ。
文化祭の準備とはいえ、彼氏もしくは彼女がいて嫉妬深かったりで揉め事になるといけないから確認したい、とかって話しになったときのことだった。
「いない」といったはずだけど、流石に1、2週間で彼女が出来るほどモテるような顔はしていないのだが……
今から考えれば文化祭の準備で二人っきりなるような作業だったわけでもないので、勘違いさせることもないと思うんだよね。別の目的があったのかもなぁ。
「よかったーーーー」
「ん?」
「……良かったら付き合ってください!」
しばらく口ごもってからの突然の告白でした。
呼び出された時点で何となく……とは思っていたけどれど。
でも、初めて告白されたのが信じられないというのをやっぱり強く感じるわけで……
「僕のどこがいいのかな?顔は良くないでしょ?背は高いけど」
「うーーんと、優しいところかな、文化祭の作業の時色々と手伝ってくれたし。
顔がいいかよりは優しかったり話しやすかったりする方がいいし、性格の方重視かな。
でも顔もそんなに悪いとは思わないけど?」
顔もそんなに悪くないとか……そうなのか……なんとなくうれしい。
はっきりそんな風に言われたことなんかないしね。
手伝ったって言っても自分も同じ仕事だったし、大変そうにしてたから色々と手伝っただけなんだけど。
感じのいい子だったしよく話してる子が大変そうにしてたら、自分の分が終わってれば手伝うのは普通でしょ?
「僕はいつもと同じようにしてただけなんだけど」
「それでもね、うれしかったんだよ、私はね」
「そうなんだ。そう言ってくれるとうれしいよ。手伝った甲斐があったわけだ」
「うん」
そういわれると自分の顔が赤くなるのが分かる。
やっぱ、照れるね。
しかし、聞いておかないといけにこともあるので質問してみた。
「でも、僕の好みと違っていたらどうしよう、とかってない?」
「なくはないけど、好みは分からないからまずは告白してどうなのか聞いてみようかなって」
「好みはあるけど選り好みできるほどモテるわけじゃないしね。
好みがどうとかより付き合いやすくて話しやすい方がいいかな、容姿はそれほどひどく嫌だと思わないくらいならいいし。
あと、すらっとした脚は好みかな。はははは」
「え?足?そうなんだ。はははは。
私も好みにばっちりあった人を選んで告ってる訳じゃないし。いいなぁと思う人がいいんじゃないかな」
お互い容姿が好みだから告って付き合うという夢見た感じではないので、いい距離感で付き合えるかな。
とりあえず告白されただけでも十分うれしくて舞い上がりそうだし、付き合ってくれるならいいと思うところなんだけど。
好みより性格や付き合いやすさだ。
「で、どう?」
「僕でいいの?それなら付き合おうか、お試しという感じで。
僕のことがまたよく分かるようになった時そのまま付き合ってもいいかどうか判断して。
ダメなら言って。それでいいならだけど。」
「服部君からはダメ出しはないって事?」
「我慢できない程合わないと思ったら別かな。
誰かと付き合った事も無いからどのくらいダメだ付き合えないってなるか分からん」
とりあえずしばらく付き合ってみようという提案をし、岡田さんもそれにのってくれることになった。
恋愛初心者なんでなかなかどうすればいいか分からないし、岡田さんに無理させたくもないしね。
それに、告白してもらっておいてこっちがダメ出しするなんて、自分的にそんな贅沢なことは出来ないよ。
「明日は文化祭の振替休日だけど予定があったりする?ないなら映画にでも行ってみる?
僕の方は特に予定はないから家でゴロゴロしてるだけなんだけど」
「いいの?予定はないから大丈夫だよ」
「山田の都合が悪いから、あいつらと遊ぶ約束してないし。
映画でも見て、お茶しながら色々お互いの話しでもする?」
「やったあ!何時に待ち合わせる?」
次の日に出かける約束が決まった、初デートだ。
女子と二人で出かけた事なんか無いから上手くいくかどうか分からないけど楽しみ。
どんな映画を見ようか、流石に映画は好みを確認して見に行かないと。
どちらかつまらないなんて事になっては意味ないし。
「何時でもいいけど、映画は何を見るかによっても時間が変わるからなぁ。
何観たい? こっちはあまり恋愛物は見ないかな、特に洋画は。
ホラーとかは大丈夫? アクション系とかはどう?」
「ちょっとスマホで映画をチェックしてみるから……アニメとかでもいい?」
「いいよ。今なら人気の話題作やってたと思うけど」
「それでいい? それなら早めに集まって9時半で」
「いいよ。待ってる」
明日の予定も決まったのでこの後どうしようか。
今更山田達の所に戻っても冷やかされるだけだろうし、せっかくなら文化祭を楽しみたい、彼女と。
「この後どうする?
あいつらとゲームして遊んでる予定だったけど、今更戻っても仕方ないかなって感じなんだけど」
「一緒に体育館の方でやってるの観る?」
「そうしようか」
文化祭で彼女と見て回るというのも始めてで面白かった。
軽音部や有志のライブや演劇部の舞台とか……野郎同士で見るよりは格段に面白く感じた。
岡田さんと体育館でのステージを観て少し空いていた学食で休憩してから戻ったら、山田達ににまにましながら色々言われたが彼女持ちになったことでそんなことは全然気にならなくなった。
誤字修正
66行目: 顔がいいかよりは優しいかったり話しやすかったりする方がいいし、性格の方重視かな。
→ 顔がいいかよりは優しかったり話しやすかったりする方がいいし、性格の方重視かな。
101行目: 誰かと付き合った事も無いからどのくらいダメだ付き合えないっなるか分からん」
→ 誰かと付き合った事も無いからどのくらいダメだ付き合えないってなるか分からん」