6月4日 (土) 服部と山田の不思議な関係……
中間試験も終わったし、次の期末まで特に急いで勉強に力を入れる必要も無いので、放課後は岡田さんとしゃべって送って帰る、という日常となった。
でも今日は予定通り山田達と遊ぶ事になっていることを伝え、日曜日はどうするか休憩時間中に相談することにした。
「吉村さん達が意外に試験の結果が良かったから打ち上げをしようって言ってるけど、どう?」
「いいけど、何するの?」
「今のところカラオケでも行こうかって話しなんだけど」
「……カラオケか……」
「ダメ?」
「いや、行ったことがないから歌えるか分からん」
「別に下手でも良いと思うよ?
山田くん達と行ったりしないの?」
「下手なのもあるけど歌いきれるかどうか……それでもいいなら。
山田達とは遊び始めて2ヶ月も経ってないし、遊ぶときはあのゲームばっかりだから……」
「かなり仲よさそうなんだけど、まだ2ヶ月ぐらいの付き合いだったんだ、意外」
山田達との付き合いは2年生になってからで、たまたまロボット物の古いアニメが好きなのを知ってから遊ぶようになった。
かなり離れた所に住んでいるのに山田の家の近くまではたまたま知っていると言うことで、よく遊びに行くようになって特に仲良くなった。
カラオケは本当に行った事がなくて、マンガやアニメの中でしか知らない所。
曲もアニソンだとテレビサイズだと全部が分かるわけではない上に、1番でもない曲もあるらしい。
そうなるともう歌えないかも。
「ついでに言うとアニソンになるけど……中にはすっごく古い曲だったりするけど」
「いいんじゃない?じゃあ、みんなにOKって事で伝えておくね」
「歌えそうな曲、ピックアップしとかないと……」
「くす、珍しく必死そうで意外」
「え?わりといつもこんなもんだけど?」
授業間の短い休憩では物足りないけど、日曜にカラオケも行くしその後も話せるだろうから我慢しよう
放課後は挨拶だけでして、山田達と遊ぶために移動を始めた。
今日は山田の家にてボードSLG大会の続き。
始める前に昼飯のチャーハンを作ることになっている。
今回はいつものチャーハンではなく、所謂黄金チャーハンにする。ご飯粒に卵がコーティングされているやつ。
山田の家に行く途中にスーパーに寄って、卵、ネギ、チャーシューの切れっ端、嫌いな奴がいないので椎茸、あとはジュースを購入。
チャーシューの切れっ端はパックで売られていて買えるとちょっと豪華な気分になる。
ご飯は事前に山田に言ってあるので、今頃炊飯器の中で保温状態になっているはず。
到着し、部屋に皆の荷物を置いたらキッチンへ。
キッチンと繋がっているリビングに山田のおばあちゃんが座っていた。
「ばあちゃん、キッチン使うよ」
「「「お邪魔します、キッチン借ります」」」
「ああ、火に気をつけてな」
「はい」
とりあえず具材を細かく切る。チャーシューや椎茸は10mm弱くらいに。ネギは輪切りに。
ご飯は保温しておいたのでいくらか水分が飛んでいるので、卵、醤油 (もしくはめんつゆ)でTKG状態にしておく。
フライパンに油を引いて具材を炒め、塩こしょうして、火が通った辺りでTKGを投入。
ご飯粒が切るように炒めて、ばらけるようになれば完成。
「「おおおお」」
感嘆の声が上がった。
西川と武田がそばでのぞき込んでいたが、そんなに珍しいもんなんだろうか。
山田も満足げな顔をしていた。
出来たチャーハンとを4人分+小皿に分け食べることに。
小皿の分は山田のおばあさんに手渡して味をみてもらう。
「懐かしいね、昔を思い出しちまったよ。
息子がこの子くらいの時にも友達連れてきて、友達が昼ご飯とか作ってたときのことを」
「へぇ、おじさんも友達を連れて来て遊んでたんだ」
「今お前がやってるシミュレーションゲームだっけ?あれを4,5人でやってたよ。たまに泊まりで。
その中に石原くんって子が料理担当だったかな……ちょうど料理をしてた君によく似てた」
昔から山田の家で集まって遊ぶ事が多かったんだな。
家からも学校からも遠いけどなぜかここに集まるんだよな。
「ええと、服部です。石原ですか……家の母方の方が石原ですね。その叔父に料理を教わりました。
叔父もうちの高校の卒業生でしたけど」
「そうかい、うちの息子も同じ高校の卒業生だね。今47でね東京に行ってるよ」
「うちの叔父も47だったはず。やっぱり東京にいますね」
「「「「…………」」」」
なんかうちの叔父が話に出てくる石原くんっぽいな。多分みんなもそう感じてるみたいだけど。
何か決定的な話でもあれば……
「石原さんの名前って分かります?」
「名前までは聞いてないね。ただ、えーちゃんとかみんな呼んでたよ」
「うちの叔父が栄太なんでそう呼ばれてもおかしくはないですね。うちの祖母もそう呼んでますし」
「でも、服部のおばあさん家からだと、学校行ってからここは遠くね?」
確かに今の祖父母の家は隣の市だから学校までそこから行くと、自転車でって訳にはいかないから気軽にここに来れないけど……
「叔父さんは元々うちの家に住んでたはずだから、今の俺と一緒で全然問題ないよ。
ひいばあちゃん達が亡くなって、仕事なんかもリタイアしたから今のところに移ったんだよね」
「じゃあ大丈夫か」
「それに叔父もアニメやゲームに使われてるロボット物の作品が好きだから、ガンダムのSLGとか見ればやってるはず。
はっきり覚えてないけど、1つ持ってたはず」
「まぁ、どっちにしろ懐かしいよ。こうやってみんなで昼ご飯食べてる姿を見るのは……」
「叔父に聞いてみます。メールでも送っとけば返事が来るでしょ」
やっぱりうちの叔父で確定じゃないかな。
それよりはチャーハン食べますか。
「どう?自分か家族以外にはほとんど作ってないから、美味いんだかどうなのか分かんないんだよね」
「うん、うまい」「うちの母親のより美味いんじゃね?」「また頼みたくなるくらい美味ぇよ」
おいしいと言うことで確定らしい。
このままでいくと過去の石原さんのように料理担当になりそうだ。
早く食べてゲームをしようぜ。
「ボトムズ」のチーム戦の続きを始めたが、今日はさらに付いていなかった。
敵機が確認出来ない、当たらない、敵の攻撃が外れない、で手持ちの6機が大破。
山田が健闘しているからチームとしてはトントンだけど、もうやる気が出ない。
そんなときスマホのメール受信のアラームが鳴った。
叔父さんからのメールの返信。
「やっぱりここに来てた石原さんって、うちの叔父さんだった。
『2代続けて山田と付き合いがあるとはなぁ』ってさ」
「まじか、偶然とは言え世間は狭いって奴か?、なあ山田」
「何かと服部というか石原家に縁があるのかもな」
帰る前に山田のおばあさんに叔父のことを伝えた、叔父からもよろしくと言われてたので。
今度おばあさんに手土産を持っていくか。
今日も家による8時ぐらいに帰り着いた。
岡田さんには約束はしていないけど、落ち着いたところで電話した。
「岡田さん、こんばんは」
『こんばんは。お昼ご飯の方はどうだった?』
「美味い美味いって言われた、山田のおばあさんにも」
『山田くんのおばあさん?』
「ん、ちょうどチャーハン作るタイミングでキッチンの近くに居たんで食べてもらったんだよね。
ただ、そこから妙な話になってさ」
『どんな話?』
今日山田の家でおばあさんとの話を岡田さんにした。
うちの叔父と山田の叔父さんが友達で、しかも、遊びに行ってよく飯を作ってたこと。
おばあさんが今日料理してるところを見て凄く懐かしがってたこと。
本当は昼飯にチャーハン作るだけの話だったんだけどね。
『何か不思議な縁があるんだね』
「飯を作る話にはなってたけど、こんな話が出てくるとは思わなかった。叔父に連絡取ったら懐かしがってた」
『良かったね』
「うん。僕らもどこかで実は前に出会ってたりしてね」
『そうなら……運命的だね』
電話なんで見えないけど、ちょっと声がうわっずっていた感じだったから赤くなってたかも
その後、次の日のカラオケの時間の確認をして軽く雑談して電話を切った。
歌う曲のピックアップをしておかないと。
ちゃんと歌えるといいんだけどなぁ……
誤字訂正
16行目 山田達都の付き合いは2年生になってからで、たまたまロボット物の古いアニメが好きなのを知ってから遊ぶようになった。
→ 山田達との付き合いは2年生になってからで、たまたまロボット物の古いアニメが好きなのを知ってから遊ぶようになった。
2025/09/02
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