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⑴『無観客の人生』
⑴『無観客の人生』
㈠
俺はここで、小説らしい小説を書くつもりはない。ただ、人生で今まで生きてきて、思ったことを述べるに過ぎない。人生というものは、無観客だと思った方が良いと思う。客が居る、と思うと、変に気になるからである。
㈡
勿論、客がいらないと言っている訳ではない。ただ、無観客のほうが、包囲されていない感じがして、自由に居られるだろうと、思うからである。この、独歩、というものが、自己を自己から本当の自己へと、転生させる。
㈢
言いたいことは、山ほどあるのだ。あるにはあるのだ。しかし、無観客なら、俺の戯言を聞くものもいないだろう。叫びたいだけ、叫んだら、軽く飯でも食って、自由に生きるんだ。そういう意味でも、無観客は自分に合っている。l