9 街への買い物
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お妙さんがお礼に来てから、二週間が過ぎました。
生活魔法については、既にほぼ習得しおわりました。
錬金術についても、この店で、一番注文が多い、薬師に卸す、回復薬の素材は、お政さんの作成する速さの倍はかかっているが、同品質の物が作れるようになりました。
確かに、錬金術の素養があると、一度手順を踏んで作ると、その後はそれを思い描くだけで、錬金窯で作れるようになるので、素養がない場合に比べ、作業は数段楽になる。
だけどお政さんに比べ、経験が不足しているため、準備の手惑いや、錬成に時間がかかっている。頑張っているが、この差は、中々埋まりそうにない。
九重さんは、迷宮試験にも受かり、毎日のように迷宮に潜っています。
竜馬さんは、最初の一週間は、迷宮付近で商いをしていましたが、九重さんが問題なく迷宮で過ごしているのを確認すると、近隣の町に行商に出ていきました。
「今日から、お妙さんが来るから、二、三日店のことを覚えてもらったら、迷宮に薬草について覚えてもらうよう潜るからね。それで、二層までの薬草を覚えたら、試験だ。」
「はい、頑張ります。」
私が、そう元気よく返事をすると、店の方から声がした。
「ごめんください。お妙です。本日よりよろしくお願いします。」
私とお政さんは、その声を聞き、店の方に向かった。
「ようこそ、今日からよろしく頼むよ。少し希望より早い雇入れだけど、無理はなかったかい。とりあえずよろしくね。」
「いえ、両親も早く稼げるならよいと、喜んで奉公に出してくれました。」
「お妙さん、私も働き始めたばかりで迷惑かけるかもだけどよろしくね。」
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
「茜が迷惑かけてどうすんだい。まったく、あんたが面倒みる立場だろうに。」
「あはは、そうですね。頑張ります。」
「ところで、お妙さん、持ってきた着物と荷物はどれくらいあるんだい。」
「着物は、今着ている着物ともう一着、あと肌着がいくつかです。荷物も布切れ、裁縫道具、髪留めだけです。」
「それじゃ、着物も少ないし、日用品も足りないね。茜、お前の時と同じ様に必要なものをそろえておやり、店の場所は覚えているだろ、一緒に買い物に行ってきな。」
「え、私、そんなお金持っていませんよ。」
「安心おし、それくらいはこっちで出すよ。茜にだってそうしたんだ。」
「そんな、これから働かせていただくのに、…」
お妙さんが、そう言いかけたところで、お政さんは、こう言葉をかぶせてきた。
「遠慮はいらないよ。これから店先に出てもらうんだ、小奇麗にしてもらわないとこっちも困るんだよ。そのための先行投資さ、茜、この金を渡すから頼んだよ。さっさと、二人で買い物にお行き。」
「さ、お妙さん、行きましょう。」
私たちは、店を出て、まずは既製品、古着を扱っている店に向かった。
「お妙さん、どうしよう碁盤の目状になっていて、どこも同じに見えて、お店が見つからない。迷いました。」
私は、自信満々に向かったにもかかわらず、店を出て5分もしないうちに、お妙さんにそう伝えた。私の年長者といての威厳が…と内心凹みながらも、お妙さんを見ると、心強くこう言ってくれた。
「大丈夫ですよ、私は、十歳の頃から、市が立つ日、月一回この佐加里に来ているので、ある程度下町ならわかります。店の名前覚えていますか?」
「えーと、田丸屋さんだったかな。」
「そこなら、わかります。でも、下町じゃ、結構お高いお店ですよ。」
「気にしないの。お政さんも言っていたでしょ、店に立つのだから、お妙さんが看板みたいなものよ、だから身なりもきちんとしないといけないの。」
「そうですが…。」
私は、お妙さんとこんな感じで、会話をしながら、お店を回りながら、身の回りの物を揃えていったのですが、その後も、半分も自力でたどり着けなかった。方向音痴ではないと思っていたが、碁盤の目状の街だと目印が覚え辛く一度行ったくらいではダメでした。
お妙さんがこの街に明るくてよかったです。
「茜さんは、この街、いえ、この世界というのでしたっけ?どう感じていますか。私は、自分の住んでいた村とこの街しか行き来がないし、ここでの生活が当たり前で何もわからないので。」
買い物が終わり、店へ帰る途中、お妙さんがそう尋ねてきた。
「う―ん、私の世界では、魔法や魔物と言ったものは存在しないけど、代わりに科学というものが発達していて、遠くにいる人と簡単に話せたり、空を飛べる乗り物があったり、その乗り物が、人や物を一度に沢山運ぶことができたり、便利だったわ。それと比べれば、この世界は、私達の世界の文明と比べるとまだ、結構不便とは感じるけど、魔法や漂着者と呼ばれる人がもたらした知識によって、同じくらいそれ以上に発達しているところもあるわ。」
「こんな栄えた街でも、茜さんから見たら、物足りなそうですね。そうだとしたら早く元の世界に戻れるといいですね。」
「そのことなのだけれど、お政さんの話を聞くと、向こうの世界にも私が居るから戻れないかもしれないのよね。」
「どういうことですか?」
お妙さんが、そう尋ねてきたので、私は、今まで聞いた話をお妙さんにも話した。
「そんな話があったのですね、変な話をしてすみません。戻れるにしても戻れないにしても、わたしもできることがあれば協力しますから、こちらの世界を楽しみましょう。」
お妙さんは、そう言って励まそうとしてくれた。
「ありがとう。これも私の人生だものね。楽しまなくちゃ。それと改めて、これからもよろしくね。それとお妙さんのこと、お妙ちゃんて呼んでいい?」
「はい?お妙ちゃんですか?」
「うん、私の世界では、友達とか関係の近い人は、さん付けでなく、ちゃん付けで呼ぶの。」
「そう言う事でしたら、構いません。でも私はさん付けで呼んでいいですか?ここでは、ちゃんは、小さい子に使うのが一般的なので、茜さんに使うのは、ちょっと失礼に感じちゃうので。」
そう言う事なら、仕方ないかな。でも、それだと、私が、ちゃんと呼ぶのも失礼に周りは感じちゃうのかな?まぁ、問題があったらその時考えよう。
「わかったは、それでいいわ。」
「はい、では、私からも、これからよろしくお願いします。茜さん。」
それからも、私やお妙ちゃんの家族のことやこの街のことなど話しながら、お店へと戻っていった。
次回のあらすじ
お妙ちゃんが店番に慣れた頃、茜は、本格的魔法を習うため、迷宮探索のための階位を得るべく、迷宮に入るのでした。 次回 第10話 迷宮へ、是非読んでください。




