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異世界放浪記 狐人の錬金譚  作者: 日比野 麻琴
第1章 迷宮都市細腕繁盛記
3/77

3 状況確認

なかなか書き進まないけど、投稿続けます。


 「う、うん。」


 意識が戻り、瞼を開けると、知らない天井では無く、緑の木々の枝と青空が見える。寝床は只の砂利だ。

 横を見ると、人質に取られていた女が同じように横たわっている。

 道端の往来の無さそうなところに寝かされたようだ。

 音がする方に頭をやると、小柄な男と旅装束の男が森の中で何やら作業をしていた。


 どうやら助かったようだ。

 起き上がって、作業をしている男達に、手伝おうと思い近づこうとすると向こうから声をかけてきた。


 「おう、起きたのか。もう一人起きるまでもう少し休んでいてくれ、こっちももう少しかかる。」


 「そうそう、こっちに来たら、また倒れるかもしれないぞ。」


 そう声をかけられ、そちらを見ると何かを埋めている。

 なんとなく作業を把握したので、私は道端の岩に腰掛け、隣に寝ていた女の方を見やった。

 見た感じ私より若そう、顔は、化粧をしていないのもあり、顔立ちは美人とは言えないが、可愛らしい顔立ちをしている。

 年の頃は、十三から十五歳といったところで、身なりは、少し着古した黄色地に赤い模様がわずかに入っている木綿地の和服を着ていた。


 盗賊や助けてくれた男達、この子の服装からして、時代的は、昔の日本のような感じだが、男達は丁髷をしてなかったし、この女性は髪を結い上げて居ない、その辺は昔の日本ぽくはない。

 では、やっぱ異世界なのかな?でも、言葉は通じているし、いろいろ気になるのですけど。


 今までのことを踏まえて色々と考えを巡らせていると、寝ていた女が目を覚ました。

 私は、彼女が起き上がるのを待つと声をかけた。


 「こんにちは、大丈夫?」


 彼女は、自分の体を見回し、特に異常が無いのを確認してから、こちらを見た。

 私を見て、一瞬驚いたような顔をしてから、答えてくれた。


 「こんにちは、助けていただいてありがとうございます。犬神さま?」


 「助けてくれたのは、主にあっちで作業している男の人ですよ。私は、殆ど血を見て倒れていただけです。」


 そう言って、男達を指し示した。


 「それと、犬神さまって。あたしの耳とかって一般的で無いのかな。それと私のは、多分狐だと思うのだけど。」


 「ああ、いいえ。狐人さんでしたか。犬人の方が人里では、多く暮らしているのでつい、申し訳ございません。それと珍しい格好をした綺麗な方だったので、神様か何かと思いまして、犬神さまと言ってしまいました。すみません。」


 私が質問をすると、彼女は、私の姿では無く、装いに対して犬神さまと思ったようだ。

 それに綺麗って言ってくれたと内心喜んだが、こちらは化粧をして見栄えが良くなっているのに気付いて、嬉しさ半分と言った感じになった。

 その後も、男達が戻ってくるまで、色々質問をしまくった。


 彼女は、村の娘さんらしく、あまり知識は無かったが、自分のわかる範囲で答えてくれた。

 私がここに来た経緯は、簡単な自己紹介で話したが、突拍子のない内容だったので、理解できなかったのか、軽く流されてしまった。

 仕方がないので、ここがどこかなど聞き、そこから私の疑問に更に答えてもらう形で質問をしまくった。


 それでわかったことは、ここは武蔵野王国というところで、私のような耳や尻尾の生えた獣人族は、数はそれほど多くは無いが、人里でも生活している。

 この辺りは、王国の北の方で、魔物が出る地下迷宮があるため、そこが王国の直轄領になっているとのこと。

 魔物というのは、魔力が溜まったところに発生する生き物で、殺すと体から魔力の塊である魔石が出てくる生き物の総称とのこと。

 それと、私が見つけた、タンポポやセリは、やっぱり普通じゃなかったらしく、(普通の白いタンポポを探して見せてくれた。)多分魔力の影響で、魔草が生えていたのだろうと説明してくれた。

 また、地下迷宮というのは、魔力溜まりの影響により生じた、魔物の生まれる迷宮らしい。王国内では、大きな迷宮は全部で5つあり、そのほかにも無数の魔物が居る洞窟や森があるとのことなどである。


 「うん、異世界だ。ファンタジーだ。」


 「なんのことでしょうか?」


 「あ、何でもない独り言。」


 そんなことを言い合っていると、男達が戻ってきた。


 「二人とも、気がついたか?体の方は異常ないか?俺は、薬の行商人をいている鳳屋龍馬おおとりやりょうまだ。」


  小柄な男性はそう名乗った。

 もう一人の旅装束の男も名乗りを上げた。


 「俺は、旧秋津伯爵家の陪臣だった九重主税だ。今は、浪人の身である。」


 私達も、お互いに自己紹介をしたが、男達に名乗って居ないので、改めて自己紹介をすることとした。


 「私は、菊玉村のお妙と申します。危ないところ助けていただきありがとうございます。」


 「お妙さんは、見た感じ、怪我はなさそうだったが、痛いところとかはないか?」


 龍馬と名乗った薬屋が、お妙さんにそう問いかけた。

 お妙さんも、頭を下げて、それに答えた。


 「はい、おかげさまでなんともありません。」


 「それは良かった。」


 九重と名乗った浪人も、それに答えるように言葉を返した。

 私も、そのやり取りが終わったのを見て、自己紹介をした。


 「私は、狐塚茜と言います。元は普通の人間で、生まれは岩手の片田舎で、東京という街で暮らして居たのに、いつの間にかこの森に居て、狐の耳や尻尾が生えていました。」


 「その岩手や東京という地名は聞いたことないが、狐のお嬢ちゃんは、もしかして、この世界の人でないのか?」


 龍馬が、今度は茜の方を見やりそう問いかけた。

 それに続いて、九重も、茜の代わりに答えるように言葉を続けた。


 「名乗りが本当なら、多分漂着者であろう。」


 茜は、漂着者という言葉がわからず、尋ねた。


 「さっきの内容は、本当です。それであの漂着者とは?」


 「漂着者とは、魔力のない世界の者が、たまに大きな魔力を体に貯めることができるようになったために、魔力があるこの世界に引き寄せられた者のことだ。」


 九重は、茜の問いにそう答えた。

 茜は、魔力という言葉に引っかかったが、とりあえずこれからを考える上で、一番大切なことを尋ねた。


 「それで、ここから元の世界に戻る方法とかはあるのですか?」


 「魔力が引き寄せ合った結果、この世界に来てしまうのだ、元の世界に戻ったと言う話は、残念ながら聞いたことがないな。」


 「そっか。戻れないのか。」


 九重の言葉を聞いて、そう茜が呟いて俯くと、隣に座っていたお妙が話の内容は理解できなかったが、茜がどこかに戻れなくなったのは察して、背中をさすって忌めてくれた。



次回のあらすじ


茜は、お妙と別れ、九重と竜馬とともに近郊の街へと向かうため、関所を目指すことにするのでした。次回 第4話 これから 是非読んでください。



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