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異世界放浪記 狐人の錬金譚  作者: 日比野 麻琴
第1章 迷宮都市細腕繁盛記
2/77

2 遭遇

第2話になります。よろしくお願いします。

 とりあえず、引き続き人に会うため、川沿いを歩きながら、気配を伺いつつ進む。

 すると川下の方で女性の叫び声が聞こえる。


 「誰か、助けてー。」


 「うん、言葉は通じるようね。」


 私は、叫び声を聞き、人が居て、その人の言葉の意味がわかったことには、安堵したが、叫ぶ声の内容に困惑した。

 どうしよう、なんにせよ、声の方向に向かうべきだよね。

 でも、向かっても、役立つ可能性は、まったくないといっていい。

 一応、何かできないか状況を確認するため、もう少し近づいて見る。


 「助けてください。誰かー」


 「叫んでも、こんな森の中の道じゃ、誰も来やしないぜ。」


 「そうそう、おとなしく俺たちに捕まっちまいな。嬢ちゃん。」


 声や気配に注意を向けると、追われている女性が一人、助けを求めるため、叫びながら逃げ、それを追う盗賊らしき男達が五人程の気配が感じられた。

 盗賊か人攫いなんている?どう考えても、私じゃ役立たないよね。

 でも、見捨てるのも可哀想だし、そう思い他の気配がないか確認すると、女性が逃げてきた方から、一人駆け足で、逃げていく方からも、人が一人歩いてきている。


 「これが、盗賊の仲間でないなら、助かるかも。」


 そう考え、気取られないよう声のする方向に近づいていく。途中、念のため川沿いで石をいくつか拾い上げる。


 「なにもないより、マシよね。」


 最悪、見つかったときのことを考え、石を投げられるよう握りながら、状況が見えるところまで近づいた。

 更に周囲の気配に気を配ると、後ろから追っている人は走っているから、間に合いそうだけど、前から来る人はもう少しかかりそうね。


 女性は、更に逃げていたが、盗賊達は、完全に楽しんでいるようで、本気では追っていない。

 逃げる女性を囲うように、狩りを楽しむ獣のように、こちらに近づいてきた。


 そこへ、後ろから走って来た人が追いついてきた。


 「そこのお前ら、往来で何してやがんだ。」


 杖を片手に持ち、背中にはなにやら荷物を背負っている見た目は三十歳前後の小柄な頼りなさそうな風貌の男性だ。


 「んー、あんまり強そうじゃないけど、大丈夫かな?」


 私は、追ってきた男が、盗賊の仲間では無いことに安堵したが、見た目の頼りなさに思わず呟いた。

 それと見たところ、あそこには耳や尻尾が生えた人は居ないのだけど、私も私で大丈夫なのかな。

 そんなことを考えながら、役立たずの私が加勢しても、現状は良くなるどころか、悪化しかねないので、しばらく様子見をすることに決めた。


 「おっさん、おめえ一人で俺たちを相手しようってかい。」


 「かっこつけねぇで、さっさと荷物置いていけば、命まで取らねぇよ。」


 「そんな棒きれで、俺たちとやり合おうってかい。」


 盗賊達は、多勢に無勢、しかも体つきからたいした相手でないと判断したようで、口々にそう罵声を飛ばす。


 うん、どう見てもまずいよね、どうしよう。

 そんなことを考えていると、小柄な男性は、無言で背負っていた、荷物を降ろすと杖を構えた。


 大丈夫なの?そう思っていると小柄な男は、盗賊の一人に近づき杖を突きつけていた。

 杖を突きつけられた盗賊は、血を噴き出し絶命した。

 血を見た驚きと衝撃から、私は、思わず声を上げそうになったが、必死に耐えた。

 注射で自分の血が試験管に噴き出るのを見るのだって気持ち悪いのに、あんなのを準備なしで見せるなんて、いや、準備が無いからこそ、声を出したりせず、耐えられたのかな。


 「仕込み刀か。」


 「まとめて懸かるぞ。」


 今度は盗賊三人が小柄な男に一斉に襲いかかった。

 すると小柄な男は、盗賊達が襲いかかる前に一度後ろに大きく飛跳ね距離を置いた。

 それを、盗賊達が追うように一列で向かってくると、小柄な男は、向かって左側の盗賊の方に距離を詰めた。

 向かって来た盗賊は、小柄な男を切り裂くように剣を斜めになぎ払った。

 その暫撃を更に外側へ躱して避けたため、他の盗賊は、小柄な男と斬り結んだ盗賊が邪魔になり、囲みが解け、斬り結んだ盗賊が体一つ前に出る形になった。


 小柄な男と斬り結んだ盗賊は、更に小柄の男を追うように、利き手である右手を話し、左手で右手方向に振り抜いたため、刀の重さと勢いで体勢を崩しよろけてしまった。

 小柄の男は、よろけた盗賊の体を軽く躱し、背中を袈裟斬りで斬りつけた。


 「あと三人。このまま逃げれば見逃してやるぞ。」


 剣技では優位には立っているようだが、依然三対一で人数的には不利だ。小柄な男は無理をする必要はないと判断したのだろう。

 そう言って二人目を切り捨てた後、威嚇した。


 「ふざけるな。この女がどうなってもいいのか。」


 追っていた女に近くにいた盗賊が、女と捕まえ、刃物を突きつけた。


 女を人質にした盗賊は、丁度私を背にした格好だけど、助けるにしても、石を投げただけじゃ、倒せないし、仮に、石が当たって隙が生じても、小柄な男も、人質を抱えた盗賊の前には、二人の盗賊が居る状態では、すぐに助けられないよね。

 どうするか悩んでいると、小柄な男が来た方向と反対の道から来ていた人の気配が、こちらに向いているのに気づいた。


 「あれ、いつの間に、近づいていたの?しかもこっちに気付いている。」


 私が、そちらを見ると、編み笠を手にした旅装束の男は、私と目が合い、石を投げるような仕草をした。


 「どうなっても知らないから。」


 そう思い、思いっきり盗賊めがけ、手に握っていた石を一つ投げ付けた。

 石は、大きく放物線を描きながら、女を人質にしていた盗賊の背中に命中した。


 コツン。


 「うぉ、なんだ。」


 石が当たっても、大して痛みを感じなかったのか、石を当てられた盗賊は、驚嘆の声をあげて、振り返っただけだった。

 だが、人質の女を抱え、首元にあった刃物は、かなり人質から遠ざかる格好になった。


 その瞬間、旅装束の男は、何やら仕草をすると、腰の小太刀に手をやり、人質を取っている盗賊に向かっていった。


 ゴトンと手前で音がした。人質を取っていた盗賊が居た当たりだ。


 私は、音のした方を見ると、盗賊の刃物が足下に落ちていた。あれ、よく見ると腕も一緒だ。疑問を感じようとしたところ、盗賊の腕から血しぶきが上がり、私の記憶はそこから無くなっていた。


次回のあらすじ

気を失ってしまった茜は、娘と助けた男達から、今いる場所の状況を確認するのでした。次回、第3話 状況確認 是非読んでください。

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