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異世界放浪記 狐人の錬金譚  作者: 日比野 麻琴
第1章 迷宮都市細腕繁盛記
12/77

12 珍客騒動 1

感想、評価、ブックマークありがとうございます。


 魔法使いの登録も終わって、錬金術も薬の素材、素養紙の作成等この店で普段作っている物は大体作成出来るようになりました。


 錬金術も、魔法も、無事に習得できたし、お店の手伝いだけでなく、何か自分でも、お金を稼いでもう少し役立ちたいな。魔法は街中で使えないから、まずは置いておいて、錬金術でお金儲けか。


 と言っても、漂着者と言われている人は、結構この世界に来ているみたいで、調味料類も、味噌、醤油、味醂等がもう既に作られて、街中に既に出回っている。酒も清酒や焼酎のようなものまで売られている。

 食文化は、近世、いや、物によって向こうの現代の技術も取り入れられてるよね。

 醤油が一般的になったのって、私の世界では、江戸時代以降だったはずだし、結構進んでるのよね。

 衣類も、ブラジャーやパンツ等の下着類とかも値段は高く、質は劣るが買うことはできる。


 だが、何か作ろうにも、私は、専門的知識があるわけでない、ただのしがない大学生だしね。

 しかし、そこで錬金術ですよ、奥さん。

 お政さんが言うには、今の錬金術は、基本は有から有の物を効率的に作る技術だ。

 だが、元々は、本人の知識や完成品自体を基に錬金釜で無から有を生み出すことを目的に発達した技術とのことだ。

 もっとも、いくら頑張っても、金を錬金釜で作るのに一カ月かけて1gしか生成できなかったらしい。


 当然、たったそれだけしか作れないのでは、生活することは不可能、結局、無から有の技術は、伝承はされてるが、実用的でないと、見向きもされなくなり、道楽でやっている錬金術師が細々と成果を上げるべく取り組んでいるそうだ。

 でも、私から言わせて貰えば、それが出来るだけですごいんだけど。


 そんな訳で、まず、私の持っている向こうの世界の品、携帯電話、これは、複雑そうだし、第一電気もない、電波も届かないよって、ここでは、使えてカメラとメモ帳、あと電卓くらいか、作ってもさほど役立たないし、魔力量的にも多分作れないだろう。よって却下。


 次、ノートとボールペン。ノートはパルプつまり、木材を薬品でどうにかするのだろうけど、わからないな。取り合えず、木切れを用意して、紙を一枚作ってみよう。錬金釜にレポート用紙を一枚入れて、記憶。では、木切れをいくつか、錬金生成素材とやらの怪しい液体を入れて、あとは、私が魔力を流す。

 いざ、生成。

 うーん、三十分で紙一枚か。和紙があるから、いくら丈夫とは言え、パルプ紙一枚500円から1,000円くらいで、売れないな。没だ。

 紙でこれだと、ボールペンは、材料の問題もあるし、さらに魔力が厳しいかな。取り合えず後回しにしよう。


 次は、生理用品、現代のは魔力的に難しいかな。でも、環境にやさしいオールコットン製の商品とかもあったな。よし、まず生理用ナプキン、形状記憶、私の知識、綿花で全部作れるを記憶。よし、錬金釜に綿花を入れて、錬金生成素材を投入、まずは一つ作ってみよう、魔力注入と。一時間…、素材は綿花だけ、つまり全部材料はそろっている。

 なのに紙を一枚作るよりかかるなんて、割が合わなすぎる。取り合えず、これとこの世界の生理用品を試して、こっちのに我慢できればこの世界の生理用品を自分でも使おう。


 うーん、ラノベの主人公みたいにうまくいかないな。このままじゃ、せいぜい一回限り登場する主人公の前で失敗するモブの引き立て役くらいにしかなれないね。

 ちょっと、お金儲けへのアプローチを変えてみる必要があるわね。


 「どうだい、その様子だと行き詰ってるようだね。」


 「あ、お政さん。まぁ、無から有の錬金術が思った以上に魔力を使うので、このままじゃ、どう頑張っても、得られる利益が掛かる費用より大きくならなそうでして。」


 「そりゃそうだろう。それを簡単に出来るなら、今頃、錬金術師は引っ張りだこだよ。」


 「確かに。でも、何か方法があるはずです。頑張ってみますね。あと、質問してもいいですか。」


 「なんだい?私に答えられることなら、構わないよ。」


 「無から有への変換ですが、材料が揃わない物より、揃っている物の方が魔力も時間もかかったのですが、どうしてですか?」


 「何を作ったか知らないが、多分、材料を生成するより、材料を必要な形に加工する技術の方が、難易度的に高かったんだろうね。」


 「そう言うものなのですか?」


 「そう言う物なんだよ。あまりいい例えじゃないが、錬金でご飯を作るとするよ。薪でご飯を炊くつもりで作るのと、魔道具でご飯を炊くつもりで作るのでは、後者の方が遥かに魔力を消費するからね。」


 「工程が複雑だったり、高度だったりすると魔力消費もそれに合わせて上がるという事なのかぁ。そうなると簡単に作れて、まだこっちにはなくて、便利な物…。」 


 「あまり、根を詰めて考えなくていいよ。金に困ってるわけでもないんだから、それに、こう言う物は、案外、ふとしたことで思いつくもんさ。」


 「そうですよね。考えをほぐすためにも、ちょっと気分転換してきます。」


 「ああ、そうしな。」


 私は、錬金部屋を出ると店の方に向かった。




 「お妙ちゃん、お店番、あたしがやるよ。と言ってもこの時間は、客は来ないだろうけどね。」


 「あ、茜さん、錬金の方はいいのですか?」


 「うーん、今はいいやという雰囲気ですよ。」


 「そうなのですか?では、ちょっとお願いしますね。」


 お妙ちゃんは、私の言動をいまいち理解できなかったようだが、意味は通じているのでそう言って、目を通していた帳簿を仕舞、帳場から立ち上がった。


 「まかせなさい。」


 私は、胸を張ってそう言うと、お妙ちゃんに代わって帳場に座り込んだ。、


 「お妙ちゃん、在庫管理、出納管理も終わっているのか。本当にこりゃ、やることないわね」


 私は、めくっていた帳簿を仕舞うと、そう呟き、店先を眺めていた。店先の雑踏の音が眠気をまた誘う事そんなことを思っていると、突然声が聞こえた。


 「ごめんください。」


 おや、珍しいこんな時間にお客さんかそう思いつつ、相手を見ると、犬の獣人の女の子が立っていた。


 「こんにちは、何か用ですか?」


 五歳くらいの子かな?ここは、問屋さんみたいなものだから、こんな子が来ても売る物がないよね?迷子か何かかな?そう思いつつも、そう声を掛けると、女の子は、切羽詰まった様子で、私に話しかけて来た。


 「あの薬を売ってください。」


 「ここは、錬金術のお店で…。あ、竜馬さん、鳳屋のお客さんかな。」


 「お母さんが、前にここは薬の材料を作っているところだって教えてくれた。だから、お薬が欲しいの。」


 ん、竜馬さんにという訳ではなさそうね。でも、ここじゃ薬は扱ってないし、いまいち要領の得ないしゃべり口だね。まずは、詳しく話を聞きましょうか。


 「どんなお薬が欲しいのかな。」


 「お母さんが、寝ちゃって、起きれないの。元気にして欲しいの。」


 「熱はあるのかな?」


 「うん、お母さん、熱いの。」


 熱があるみたいね。あと熱はいつからあるのか、咳は出ているか、食事ができているのか、お腹は壊していないのか等詳しく聞いた。

 症状を聞いただけだと、風邪っぽいけど、この世界特有の病気があるかもだから、取り合えずお政さんとお妙さんを呼んで、病状を伝えた。


 「うーん。風邪だと思うけどね。妙、鳳屋が南門の八条辻で、辻売りをしてるはずだから、呼んできてくれ。」


 「はい。」


 お妙さんは、そう言うと店を駆けて出ていった。


 「私は、お政、で、今外に駆けて行ったのは妙というんだ。で、お嬢ちゃん。名前は、なんて言うんだい?お家はこの近くかい?」


 お政さん、私は紹介してくれないの?もしかしてもう当然名乗ってると思っている?


 「うん、あたしは、サキ。お家、ちょっと近く?お母さん、治る?」


 うん、サキちゃんね。私は名乗りそびれたから、後でこっそりとサキちゃんに教えておこう。


 「大丈夫。今、薬屋さんを連れてくるから、そしたら、母親の所に案内してくれるかい。」


 「うん、案内する。」


 「ところで、お金は持っているのかい?」


 「うん、これなの。」


 そう言って、子供が差し出したのは、小銅貨三枚。それを見て、お政さんが、どうするんだいと私に顔を向ける。

 うん、普通に考えて足りないよね、でも、お家に行けばお金があるかもしれないしね。



 次回のあらすじ


 茜達は、獣人の子に連れられ、母親のもとへ訪ねるのですが。そこで待っていたのは病気の真実と新たな厄介事でした。 次回 第13話 珍客騒動 2、是非読んでください。

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