表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界放浪記 狐人の錬金譚  作者: 日比野 麻琴
第1章 迷宮都市細腕繁盛記
10/77

10 迷宮へ

感想、評価、ブックマークありがとうございます。

 お妙さんが来て、数日が過ぎ、お店の業務に慣れると。

 お店をお妙さんに任せ、私とお政さんは、いよいよ迷宮に足を踏み入れるのでした。と言っても、私は、お金を払って、中に入るだけだけどね。

 お政さんは、迷宮探題が発行する階位証を取り出し、門番に見せ、記帳台に向かい記帳を済ませる。私はその間に門番に銅銭30枚を支払い入場証を受け取るとお政さんのいる記帳台の方に向かった。


 「その入場証、なくすんじゃないよ。出るときの手続きが面倒になるし、一応そんな板切れでも魔道具だ。金も取られる。」


 「これが魔道具?」


 私は、入場証を目の前に掲げ、見つめてから、どう見ても只の木札だよねと思いつつ、向こうの世界にいた時から使っていたバックにしまい込んだ。

 そう言えば、体は、こっちで造られたらしいけれど、持ち物は持ってこれたのはなんでだろ?

 まぁ大分助かっているからいいけどね。


 今日は、迷宮に入るということで、着物ではなく、いかにも野外活動をするという感じの、革のズボンとベスト、革のブーツ、長袖のTシャツといった非常にシンプルな恰好だ。

 これらの服装は、漂着者からかと思いきや、大陸から渡って来た亜人によってもたらされたものとのことだ。

 今からおよそ二百年位前に大陸で亜人が迫害されて、この武蔵野王国に海を渡ってくるまで、この国には普通の人しかいなかったらしい。


 「今日は、第一層の薬草について特徴と採集方法の説明をするよ。薬草の種類は十種類ほどだ。時間があれば今日、第二層もやるよ。それと茜、お前さんは、地面に生えている薬草を触らないように、探索者の階位がないと採集禁止だからね。」


 「はい、気を付けます。」


 「まぁ、今日、明日、薬草の知識を身に着けてもらったら、探題で試験を受けてもらうから、頑張るんだよ。それが終わったらいよいよ魔法の指導を行うよ。」


 魔法かぁ、生活魔法でさえ驚きなのに、それ以上の高位の魔法を扱えるようになるのか。魔法を覚えたら、九重さんに頼んで迷宮の魔物退治に連れてってもらうのもいいな。

 そんなことを考えながら、迷宮に足を踏み入れたのでした。


 最初は洞窟のようにくり貫いたような石造りの通路があり、そこを抜けると一面の青空、奥に森が見える草原が広がっていた。話には聞いていていたけど、改めて見ると不思議だね。


 「入り口から左手に進むと川にぶつかるから、その川沿いを森に進むよ。川沿いで平原の薬草は、揃うはずだ。それぞれの特徴と、採集方法しっかり覚えるだよ。」


 「はい、しっかりやります。」


 そう言って、お政さんに付いて行く。よくラノベとかにも出てくるけど、本当にここがダンジョンの中なんだねぇ。と感心しながら進んでいると、お政さんがしゃがみ込み、一本の草を刈り取った。


 「これが、ヒヨトリ草といって、回復丸、鳳屋とかが作っている回復薬の材料の一つだよ。茜も何度かやってる。これを水と一緒に錬金釜で処理すると、回復紛という回復効果がわずかにある粉になる。それを薬師連中がさらに加工して回復丸や軟膏にするんだよ。」


 「あー、葉っぱと水を入れると、水分を飛ばしたり、すり鉢や薬研を使わなくても、粉になってしまう作業に使うやつですか。最初の正しい工程で作ると大変だったやつです。でも、回復丸は、錬金術では作れないのですか?」


 「勿論作れるが、錬金術師は数が少ない。そこで完成品は薬師に任せて、錬金術でしかできないもしくは錬金術の方が楽にできる工程だけ手を付けるわけだよ。で、このヒヨトリ草の特徴は、錬金術の時も言ったが、このノコギリ状の葉っぱと葉の裏が白くなっているところだ。採集の際は、根を必ず残すこと、そうすれば、また一週間もしないうちに生えてくる。」


 そう言って、葉の裏を見せながら、私に渡してくれた。ヒヨトリ草を描き写しながら、名前と今言われた特徴を、採集の際の注意点を書き写していく。


 「ほう、なかなか上手い絵じゃないかい。」


 「一応、画力や草本学の素養もあったので、そのためでは?」


 ノートに落書きをして人に見せるくらいの画力は、もともとあったので、その為だろうけど、そう言っておいた。


 「まぁ、いいや。では、書き物が終わったら、声を掛けておくれ。その間少し採集をしておくから。」


 そう言って、お政さんは、少し離れた場所に移動すると慣れた手つきで手際よく、薬草を採集し始めた。


 新しい薬草を見つけては、このようなことを繰り返し、第一層の十種類の薬草について、説明が終わったのは午後の三時頃だった。


 「時間的に、今日はここまでにしとくかい。」


 「わかりました。質問なのですが、今日教わった十種類以外にも草木は生えてますが、他にも使い道があるものはないのですか。」


 「うーん、それについては、わからないが答えかね。錬金術師や薬師等が今でもここや他の迷宮の草木について研究をしてるよ。今日教えた十種類のうち、比較的新しく加えられたのが五番目に採集した藪赤人参だ。これは、古くから食用として採集はされていたが、薬効がわかったのは、二十年前だよ。まぁ、その薬効も酒に酔わなくなるという使い道が限られた薬効で、相変わらず食用としての採集が主だね。それと、今回は説明しなかったが、食べられるものは結構あるよ。うまいの物は限られてるけどね。」


 「おいしいのですか。」


 「この辺のそういった物は、朝からの採集組にあらかた取られてるだろうから、第三層で魔法を教えるついでに、その辺の知識も教えてやるよ。」


 「はい、楽しみにしておきます。」



 翌日も同じようにして、第二階層を周り、無事に薬草知識を習得したのでした。

 そして、更にその翌日、迷宮探題で第八階位の探索者試験を受けることにしました。記憶問題は、記憶が確かなうちに受けないとね。

 そう思い受けたのだが、試験は、薬草の中から、抜き打ちで五つ程の薬草の特徴、使い道、採集方法を答えるという簡単なものだった。その上、資料の持ち込みが可だった為、私は、ノートを見て余裕の合格をしたのでした。


 「ただいま。見てください第八階位の階位証ですよ。」


 私は、店に戻るなり、店にいたお政さんとお妙さんに、挨拶し、階位証を掲げました。


 「おかえりなさいませ。おめでとうございます。茜さん。」


 「おかえり、茜。階位証はそんな見せびらかすもんじゃないよ。しまっときな。あと、おめでとうさん。」


 「すみません。それとお二人とも協力していただきありがとうございます。」


 「次は、魔法だけど、店の仕事をこなさないとだし、四日後くらいから始めようかね。」


 「はい、お願いします。お妙さんも、また、一人で店番が増えるけどよろしくね。」


 「しっかり、がんばります。」

次回のあらすじ


 無事、第3階層まで行けるようになった茜は、本格的魔法を習得するため、迷宮で魔法習得に励むのでした。 次回 第11話 魔法を習おう、是非読んでください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ