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異世界放浪記 狐人の錬金譚  作者: 日比野 麻琴
第1章 迷宮都市細腕繁盛記
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1 導入

初投稿です。よろしくお願いします。


 あれ、ここはどこ?

 寝ぼけ眼をさすりながら、周りを見渡すと、私、狐塚 茜は、森の中で目覚めていた。


 自分の状態を確認するため、体に目を移す。手や足、体は、怪我をした様子はない。

 服装は家を出たときの私服、ダークグリーンミディアム丈のフレアースカート、白のセーター生地の長袖Tシャツ、ストッキング、足元は、ブーツタイプのスニーカーと街ゆきの軽装だ。

 目に見えない箇所を確認しようと、頭を触ったら、少し大きめの毛の生えた犬のような耳があった。そして、座っているお尻にも違和感があり、手をやってみると尻尾が生えていた。

 どうして、耳や尻尾が生えているの?恐る恐る尻尾をスカートの中から出して、正面に抱え込むとふわふわで薄茶色く毛先が白い狐の尻尾のような物があった。


 「なんで?」


 そう口にしたが、とりあえず、一人でも言葉にして考えるのが私の癖だ。

 ともかく、慌てて顔を触ってみると、顔は特に毛が生えた様子もなく、人の顔のままのようだった。

 うーん、耳が柴犬のようになって毛と尻尾が生えているけど、他は特に異常はなさそうね。

 それは、すごく異常なことじゃないのと心の中で突っ込みをいれて、自分を落ち着かせた。


 しかし、服装がパンツ姿でなくてよかった、尻尾がすごく邪魔になってお尻を半分出してないとまともに歩けなさそうだったわ。余計なことをさらに考えつつ、目を覚ます前のことを思い出してみる。

 確か、昨日遅くまで大学の課題で、ネット検索で植物交配のことを調べていたら、うまく調べたいことがヒットしなくて、大学の図書館で、論文サイトの論文を調べていつの間にか眠くなって、ちょっとうとうとして、そのまま寝てしまっていたのよね。

 誘拐にしては、一人でいるのはおかしいし、夢遊病とかもあり得ないだろうし、どういうことかな?というか、ケモノミミに尻尾が生えている時点でそういうことはあり得ないよね。


 「夢なら覚めてほしいわ。」


 そう独り言を言って、頬をつねってみる。よく漫画とかでやっているのをやってみる。

 痛い、夢でないのね。だいたい、頭や尻尾、顔を触った時点で感覚があったし、なんとなくお約束ごととしてやってみたかっただけだ。

 それから、いろいろ考えても特に、ここにいる理由として思い当たることはなかった。


 次に、持ち物を確認してみる。

 手にしている物は、手提げバックが一つ、これは、出かける前に持っていた物だ。

 中身は、携帯電話と財布、ハンカチ、ティッシュペーパー、ノートを数冊と筆記用具、化粧道具と生理用品だけ、大学の授業もなく、図書館で調べ物をして帰るだけだったので、必要最小限の物しか入っていなかった。持ち物も特に盗られたというものもなかった。

 とりあえず、携帯で地図アプリを開こうと画面を見たら圏外となっていた。


 「あー、アンテナが立ってない。」


 ケモミミが生えたりしている時点で覚悟はしていたが携帯が使えないという事実を確認するとやるせない。


 「今時携帯がつながらないって、ここは日本なの?いや、地球ですらないとかかしら。」


 なんとなく今の状況から、なんとなく口にしたが、自分の置かれている状況を推察するに十分あり得る。

 というか、現状を考えたら、地球にケモノミミなんて生やしているのがいないのだから、その時点で地球外だという可能性を考慮すべきではある。

 だが、人は自分の常識の範囲で考え、判断するため、寝て起きたら地球外だなんて、考えても認めたくないのである。


 とりあえず、落ち着いてこれからのことを考えるのよ。まず、日が暮れるまでに、人に会う、そして現状確認をすることね。

 でも、ここが日本じゃ無かったら、意思疎通はできるのかしらね。

 それができたとしても、こっちは、ケモノミミの女性だし、普通に接してくれるかそれが不安よね。


 「まぁ、ここにいても人には会えなそうなので、人の居そうな場所を探さないとね。」


 周りを見渡すと、かなり深い森で陽が差し込んでこないためか、下草がほとんど茂っていない。生えていてもシダ類や日光をさほど必要としなさそうな植物ばかりだ。

 生えている植物は、見かけない植物ばかり、これでも農学部の学生、その辺の女の子より、植物について詳しいはず。

 野草は、専門外と言え、ある程度見れば見当がつくはずなのに、地面に生えている草木は身近に見かけるような物では無かった。

 シダ類もなんか見たことがない形状なのだけど、菱形のシダなんてあったかな?日本、まぁ少なくとも関東近辺ではないわね。


 とりあえず、森を抜けて、広いところに出れば見慣れた植物もあるはず?自信なさげに考えつつ、森を出て、人に会う方法を考えることにした。

 まずは、森のどの辺にいて、この森がどうなっているか。

 当然自分で進んで入ってきたわけではないから、この森がどうなっているか、どこに居るかなどわからない。

 この考えでは、出口がわからない、

 つぎ、水場を探して確保しつつ、出口を探す。

 ここは、急峻な山でないので、まず川を見つけ、それに沿って歩いて行けば村落や道に出るはず。

 最悪、池でもあれば、そこから人の形跡がないか探せばいい。

 問題はどこへ進むかだよね。

 なだらかな傾斜になっているから、とりあえず下ってみよう。


 三十分程歩く。特に人が森に入っているとわかるような樹木の傷、ゴミの散乱等の痕跡はない。

 また、耳も柴犬のようになっているせいか、近くの小動物や鳥の気配が感じ取れる。

 これは、まぁ危険回避にいいわね。すこし騒がしい気もするけど、慣れれば、ある程度調節できそう。

 それと、歩くと尻尾で下着がずり落ちてきて気持ち悪い感覚気になるわね。

 パンツに穴を開けて通そうかしら?

 でも、変に穴を開けて下着をだめにしちゃうと今は替えがないし、我慢をしないといけないか。


 歩きながら、気づいたことを気にとめて考えながら歩いていると、前方に水の流れる音が聞こえてきた。

 どうやら、川のようだ。


 川に近づくと、水面を鏡のようにして、自分の姿を見た。

 柴犬の耳のような物は、薄茶色く先が黒くなっている狐の耳だった。

 尻尾とおそろいという訳ね。私の名前が狐塚だから、狐になっちゃったとか?まさかね。

 でも、髪色は黒のまま、色があってないから作り物みたい。

 耳を引っ張ってもとれないし、本来、人の耳があるところに耳はなく、ちょうど耳のあった上のあたりから、今の耳が生えているので、作り物の訳がない。

 それと私が、眼鏡をかけた人だったら、眼鏡これじゃかけられないから大変だったなどと、脱線気味の思考を巡らせていく。

 自分の姿を水面で確認した後、思考が脱線しかけたので、元に戻し、これからのことを考えることにした。


 とりあえず、いざというときの飲料は確保これでできたし、問題なく飲めるような水だといいけど、煮沸したくてもそんな道具はない。

 一見、きれいな水だが、飲めるかどうか判断のしようがない。


 その後、川の周りに生えている植物を調べてみる。

 やはり、身に覚えのない草が多い。だけど、タンポポと自分が認識した花は、赤みがかったオレンジ色だし、水辺のセリと認識した植物も茎周りだけで10センチくらいありそうで背丈も2メートル近くある。


 「こんなセリじゃ、えぐみも凄そうね。」


 そうつぶやきながら、確信した。ここは地球じゃない。


 せっかく頑張って、希望の大学に入ってまだ2年目、本格的学部の単位は、これから、お父さんに無理に頼み込んで入った大学だったのに、無駄になっちゃうのかな。

 もう、両親や兄、妹、友達にも会えないとかないよね。

 もしかして、ここには私以外人は居なくて、野垂れ死んじゃうなんてことも無いよね。

 ここが地球じゃないと認めたくはないが、地球外だと認識せざる追えない現状を目の当たりにし、今まで意識の外に追いやっていた様々な不安の感情が一気に噴き出していた。

 不安で泣きそうになる。


 私の読んだことのある小説の異世界転移ものって、地球で不慮の事故に巻き込まれて神様に説明をもらって異世界に転移させられるとか、勇者として召喚されるパターンよね。

 いきなり、何の理由も無く放り出されるって、不条理すぎない。

 植物以外の趣味は、インドア派の兄の影響で、アニメやネット小説を読んだりしていたので、オタク寄りの知識も持ち合わせているため、そんな考えも浮かんでしまった。


 「というか、兄が代わりにこっち来れば、嬉々としてこの状況を受け入れただろうに、なんで私なのよ、まったく。」


 いろいろ思考を巡らせるうちに、少しずつ冷静になってきた。

 とりあえず、ここで生きていくため飲食はギリギリまで我慢しよう。

 ここが地球じゃないということは、自分の常識が通用しない可能性もあるし、早く人を探して情報を得てから、安全に水や食料を口にしたい。

 会えなければ、体に影響のなさそうな水で、出来る限り過ごし、自分の体で食べられるか実験していくこととしましょう。

週一ペースでゆったり投稿する予定です。

次回のあらすじ

見知らぬ場所に飛ばされた茜は、叫び声を聞きつけ、声のする方向に向かうのでした。次回 第2話 遭遇 是非読んでください。


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