魔導コンピューター
それは、一か月ほど前のことだった。山の深くにある研究所のベルが鳴った。
「お届け物でーす」
秋が扉を開けると、バカでかい箱があった。
「なんだこれ?」
「ハンコお願いします。」
「あ、はい。」
配達員はハンコをもらうと、そそくさと帰っていった。
扉より大きなものがどうやったら部屋の中に入れたのかはわからないが、時雨によると、そこは魔法使いの基本とのことで、そのでかい箱は気づけば研究部屋の中に入り込んでいた。
「それでだ!これがなにかわかるかね?秋くん。」
「んー、新しい本と本棚とかですか?」
「違う!違う!これが文明と魔法のあいの子、魔導コンピューターだ。」
「魔導コンピューター?」
「そう!魔導コンピューター!」
「とは?……」
「最先端の流行の魔術機械だぞ!人間が開発した量子コンピューターの演算能力を魔法によって、飛躍的に改良したシロモノさ。」
「で、これ、なんに使うんです?」
「鈍いなー……、これを使えば、魔術実験が超高速にシミュレーションできるのだよ!つまり、私の研究が爆発的に進む!」
「さようでございますか。それは良かったです。」
にっこりとほほ笑む秋に、時雨は小さな体をこれでもかとふんぞり返っていた。
「魔導コンピューターの超並列計算で、心が発生する臨界点を見つける。」
「パラメーターの数は約800、そこから50通りのパラメーターを選び出し調節する必要がある。」
「パラメーターの選び方の場合の数だけで、この宇宙に存在する原子の数くらいになる。それを可能にするのがこの魔導コンピューターというわけだ。」
「なんだかよくわかりませんが、すごいのはわかりました。」
「それでは、私はしばらく研究で引きこもるから食事は頼んだぞ。」
「わかりました。時雨さん。」




