第三話 誠意
はぁはぁ……この作品暇だったから始めたのに書き始めたら最近忙しくなってきやがった……
誰かたちけて( ᵒ̴̶̷̥́ωᵒ̴̶̷̣̥̀ )
俺にとって紫奈 渚沙と座散羅義 龍我とは、気心知れた親友の様なものだった。
幼少の頃から共に戯れ、共に騒ぎ、そして共に笑い合った、唯一の友。
暴走した龍我を、面白半分に渚沙が囃し立て、其れを俺が制止するという三角関係の様なものもでき、高家の三好三人衆と影で言われる事もあった、そんな仲の奴等。
其れは久々に会った今でも変わらず、最近増えた実家からの帰省命令で憂鬱な気分になっていた俺の心を、一瞬で曇り一つない晴れやかな気分にしてくれた。
まだ小さく捻くれた俺の手を取り、居所を作ってくれた、そんな掛け替えの無い存在。其れが龍我と渚沙である。
俺にとって神風 巡とは、親友が突然連れてきた少し大人びている、という印象の普通の子供だった。
とてもじゃ無いが、あの自由奔放で天真爛漫、胆大妄為の二人から産まれたとは思えないほどに大人びており、今日のやり取りを見て、立ち位置が俺に似てるな、と、同情と親近感を覚えていた子供でもあった。
しかし、
「巡を私にください!」
其の、|面倒事に此方を巻き込む感じ《雰囲気》は、『ああ、そういやぁコイツ、彼奴らの子供だったな』と、そう俺に思い出させる様な、そんな子供だった。
◆◆◆
やあ皆、元気してる?僕はそんな元気(断定)な皆の大好きな巡君だよ?
ああ、ンンッ!……勘違いしないでよね!?僕は別に皆の事が好きな訳でも、なんでも無いんだから!(高音ボイス)
あぁ、なんでこんなにお空は綺麗なんだろう?
「巡を私にください!」
現実はこんなにもクソなのに……!
おいお前ぇぇ!?何仕出かしてくれちゃってんの!?何仕出かしてくれちゃってんのぉぉぉぉ!?!?
「む、むうぅ?どういう事だ巡?巡は巡だろう?はっ!?まさか先程頭でも打ったのか!?」
「いいえ、違いますお義父様。私は巡ではないのです。私は……神なのです!」
おいやめろクソ神!!其れはだたの痛い奴だろう!!概要を話せ概要を!!
「あら?巡どこか悪いの?痛い所はちゃんと言いなさい?」
「いいえ、私の体はどこも悪くないのです。しかし、私の心は奴の事ばかりが頭に浮かび、胸が張り裂けそうで……」
お前わざとだな!?其処までいったらもうわざとだな!?いいよね!?もう此奴ヤっちゃっていいよね!?
『おいクソ神、後で覚えとけよ……?』
『ふふ、そんな怖いこと言わない。ちょっとした私のお茶目だろう?ほら、笑って笑って』
……ふう、(伝説の中の)クガクは許そう。だがクソ神、テメーは駄目だ。
『……もういいです。僕が説明します。ですのでクソ神はさっさと僕の体から消えてください』
『えっ?本当に良いのかい?じゃあ後は頼んだよ。私は私の神域で待ってるからね。ああ、封守札を触れば入る事は出来るよ』
そうクソ神が言った途端、僕が動かそうとしても動かなかった身体が、まるで息を吹き返したかの様に自由に動かせる様になった。
さて、
「渚沙よ!俺は町の医者を呼んでくる!其れ迄巡のことを頼んだぞ!」
「分かったわ。なるべく速く戻って来てね?」
「ああ、相分かった!」
「………(遠い目)」
やっぱりあのクソ神は一回殺しておくべきだったかなぁ?
◆◆◆
あの後、なんとか町まで音速(物理)で行こうとした父上を引き止め、混乱している母上を落ち着かせ、どこか懐かしむような遠い目をしている雫玖さんを正気に戻し、ことの顛末を事細かに説明した。まあ、あのクソ神のことは大分美化したが……
「ふむ、成程。クガクは、いや、クガク様は、素質のある巡を自身の後を任せたい、と」
「は、はい……」
つ、疲れた……あと父上、クソ神に様なんて付けないでいいと思います。
「どう思う?渚沙よ」
「う〜ん、でも、クガク様は良い神様なんでしょう?なら任せてもいいんじゃないかしら?最終的には巡が嫌だと思えば帰ってくればいいと思うしねぇ」
「そうだな!よし、巡よ!もう一度クガク様を呼んでもらえないか?」
「わ、分かりました」
え?これもう僕行くの決まった感じ?あの神(笑)の所にいたんじゃ僕の気苦労が絶えないのですが?
ってかあの神(笑)どうやって呼び出すん?呼べば来るかな?おーいクソえもーん
『はいはーい、呼ばれて飛び出てじゃじゃーん!みんな大好きクガクだよ?』
うわぁ、本当に来た……ってか元ネタ違うし帰ったんじゃないんですか?なんで来るんです?(理不尽)
『いやぁ、君の慌て具合が面白くてね。つい覗き見してしまったよ』
……この世にはプライバシーの権利ってものが(ry
……はあ、まあいいか。其れじゃ、僕と変わってください。良いですか?変なことしたらもう一回分殺しますからね?
『了解了解。じゃあ君は先に僕の神域に行っておいてね〜』
はぁ!?ちょ、何勝手に決めてんの!?僕も一緒に居るよ!?
おい!おいクソ神!!……マジですか……そろそろ本当にコロコロも想定に入れておいた方が良さそうだなぁ……
◆◆◆
さて、巡もいなくなったところだし、そろそろご両親とご対面といこうか。
私がゆっくり目を開けると、対面している三人は、目を見開いて驚いている様だった。
ふふ、まあ確かに、|瞳の色が変わってるんだから《・・・・・・・・・・・・・》驚くのも無理ないかな。
「初めましてご両親とそのご友人。私はクガク。かつて八岐大蛇と対峙し、無様にも負け仰せた一介の神でございます」
「おお、態々我々の為に恐縮でございます」
「いえ、元は私が成し、終わらせなければならなかったことを、巡に押し付ける様な形になるのです。此れくらいのことは、心あるものとして当たり前のことだと私は思います」
「ふむ、成程」
「あの、巡の親として私の方から幾つかお聞かせ願えますか?」
「クガク様は、もし巡が断ったらどうするおつもりで?」
……ふふ、こうして誰かに試されるなんて、何年振りだろうか。時の流れというのは早いものだよ。
「私は、巡が人間として一生を過ごしたいと言ったならば、強要する気はありません」
「お心遣いに感謝します。しかし、巡にしか出来ないことなのでしょう?八岐大蛇はどうするおつもりですか?」
「その場合は私の魂を贄に、私の体の中に封印します。様々な問題があり、いずれは解かれるかと思いますが、其れでも100年は持つでしょう」
「その場合、贄としたクガク様の肉体と魂はどうなるので?」
「十中八九、魂は消滅し、肉体は八岐大蛇が復活する時の依り代となるでしょう」
「……其れしか方法は無いのですね?」
「現状は」
「我々は正直、闘いを経験したものとして、巡を闘いの世界へ踏み入れさせたくありません」
「しかし其れでは、多くの人々が助からなくなってしまうかもしれないのも事実」
「今回、我々の呼びかけに応えたくださった貴方様の誠意も感じました」
………………ああ、全く
「ですので、我々からもお願いしたい。」
「巡のことをどうか、よろしくお願い致します」
「よろしくお願い致します」
『此の親にして此の子あり』だね。
◆◆◆
イライライライラ……
ああ、ムカつく。僕結構待ってるよね?体感時間もう二時間半は超えてるんだけど。
あのクソ神め……
「ただいま。待ったかい?」
「此処で会ったが百年目ぇぇぇぇ!!死に腐れクソ野郎ぉぉぉぉ!!」
そのよく通る綺麗な声が聞こえた瞬間、僕は声のした方向へと走り出し、腕を勢いよく振りかぶって心からの怨嗟を叫びながら振り下ろしていた
「ふふふ、危ないじゃないか。ダメだよ?動物に手出しちゃ。動物愛護団体が黙ってないからね」
そんな渾身の一撃も、猫の姿になっているクソ神に余裕を持って避けられてしまう。
ってかあのクソ神また僕の頭の中覗いたろ!ふざけんなぁ!!
「そんなカッカしないで。短気な男はモテないよ?」
………ピキ
「ねえ神様?猫ってどんな味がするんだろうね?」
「さあ?どうだろうね?案外美味しいかもよ?」
へぇ〜そう思うんだ?
「じゃあさ、試してみない?丁度僕の目の前に廃棄用の猫が居るしねぇ?」
「そんなの見当たらないけど?ひょっとして巡ボケちゃったの?その歳で?大丈夫?」
………………ピキピキ
「やだなぁ〜神様〜?いるじゃないここに〜ほら〜」
「おっとそれ私だよ?大丈夫?そろそろ救えなくなってきたのかい?」
……………………ピキピキピキ
此のクソ神……言わせておけば……!
「それじゃあ捌いていこうか」
「待って、ねえ待って?話し合おう巡?今ならまだ間に合うよ。だから僕を下ろして、其の包丁を置こう?」
「ダメだね、もう遅いよ。それじゃあ、また逢う日まで」
「ぎゃああぁぁぁ!!………なーんてね?私になんの力も籠ってない武器が効くワケないじゃないか」
此方を見て馬鹿だなぁ、とケラケラ笑うクソ神に、僕は決意した。
いつか絶対泣かす、と
閑話休題
「それで?父上と母上の説得はどうなったんですか?」
僕はずっと気になっていたことをクソ神に聞いた。
「その前に其のクソ神止めようか?これから私のことは師匠って呼んでね?」
「うん、絶対に嫌ですね。まあ、どうしてもと言うならこれからはクガクと呼んで……く、屈辱だ……!」
「なんかキャラがここに居るとブレるよね?まあいいけどさ。其れで説得だけどね、なんと………」
だらだらだらだらだらだらだらだら…………だん!
「無事出来たよ?」
「なんでドラムロールが聞こえてくるの?とか、テンションのギャップが凄くない?とか、言いたいことは沢山ありますが、今は置いておきましょう。よく説得出来ましたね?」
本当なんでこんなので説得できちゃうんだか。父上母上、なんかちょろくないですか?詐欺には気をつけてくださいね?
「うん。私の誠心誠意をご両親にぶつけたら許可貰えたよ」
うっわ胡散臭。
「まあ良かったですね。其れじゃあ此処でどのくらい修行的なのするんですか?」
「的なのじゃなくて歴とした修行だけどね。まあだいたい現世換算で2年くらいかな?」
……ん?其れだと可笑しくね?
「確か貴方、あと5年位で封印が解けるみたいなこと言いませんでしたっけ?なんで2年なんですか?」
「ああ。其れはね、長くなれば長くなるほど八岐大蛇が力を取り戻すからだよ。早めに強くなって、早めに封印解いちゃって、早めに倒した方が楽でしょう?其れにそれなら私も戦闘に参加できるからね。安心しなよ。神域での時間は現世の十倍遅く流れてるからね。最高20年修行出来るよ」
「なるほど……ってかクガクも参加するんですか?」
「当たり前だろう?私の尻拭いに私が参加しなくてどうするんだい?」
「まあ当たり前でしたね。それじゃあさっさと始めましょう」
「ふふ、其れもそうだね。大丈夫。最初は優しくしてあげるから」
なんだろう?物凄く馬鹿にされてる気がする。
「馬鹿にしてるからね」
「だから勝手に心読むんじゃねぇんですよ」
◆作者の裏話(という名の雑談)◆
龍我と渚沙の『座散羅義』と『紫奈』という苗字は、2人の元々の苗字です。それぞれ『座散羅義家』と『紫奈家』の生まれですが、二人とも実家が嫌いすぎて、二人で新しい『神風』に苗字を変更して結婚しています。
最初のクガクが表面に出てる時に、何故瞳の色が変わらなかったかというと、巡の体の中に巡の魂が入った状態で、クガクが入り込んできた為変わりませんでした。二回目にクガクが入った時に変わったのは、巡の魂が神域にあり、巡の体の中には入っていなかったからです。
途中の巡が両親に神域のことを説明するシーンについて、此処で巡がクガクのことを美化して話したのは、人柄が原因で断られるのを防ぐ為なんです。巡はクガクのことが現段階ではあまり好きではないけど、其れでも父上母上が死ぬのは許せんと、吐き気を感じながら美化して話しました。
因みにプロローグはこの話で終わらせようと思っています。遂に、遂に本編が書ける……!!
アンチコメ以外の素敵なコメントを、作者は全裸待機でお待ちしております。是非よろしくお願いします┏○ペコッ