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魔術師の杖【コミカライズ】【小説9巻&短編集】  作者: 粉雪@『魔術師の杖』
第三章 ネリアと王都の錬金術師たち

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97.メレッタとレナード

メレッタちゃん登場で「女の子が書ける~」と喜んでいます。

挿絵(By みてみん)

『魔術師の杖』シリーズ、イラストを担当されているよろづ先生から、8巻発売記念イラスト、なんとメレッタちゃんを描いていただにました!

「それじゃあ、錬金術師団でなぜ職業体験を?」


「それはもちろん、ライガです。試乗がとっても楽しくて最高でした!もういちど乗りたいんです!」


 メレッタは朗らかに答えた。もちろんライガは、みんなの気を引くためのエサだったけど……。


「ライガ?そんなに?」


 ライガの試乗がそんなに楽しかったんだ……。


 明るい栗色の髪にはまったカチューシャを眺めて、わたしはようやく思いだした!


「〝LEVEL13〟の子だ!」


「はい?」


 そういえばライガの試乗体験で、弟くんと同じように飛んでほしいと頼んできた、かわいい女の子がひとりいた!


 わざわざリクエストして絶叫体験をしたがった子は彼女だけだったので印象に残っている。


 かわいい顔して絶叫好き……気が合いそう!


「そういえば、メレッタのお父さんね、家で作ってもらえないからって最近は、研究棟で朝食を摂ってるの」


「ええっ?母に報告しなきゃ!父はいつも朝早く家をでて、夜遅くまで帰らないんです。母も昔は作ってあげてたけど、ひとりぶんの残り物って、片づけるの大変だからって作らなくなっちゃって……」


「なるほど。それは副団長にも責任あるなぁ」


 メレッタは思いだすように、こてりと首をかしげた。


「今は私も寮生活だし、こないだ家に帰ったら〝朝ごはん製造機〟が置いてありました。母はもう料理しないのかも」


「副団長用の〝朝ごはん製造機〟?」


「違います、母のです。父のは……たぶんないと思います。そういえば、〝朝ごはん製造機〟って、レナードの実家が作っているのよね?」


「そういえばパロウ魔道具って……あの大ヒット商品、〝朝ごはん製造機〟のメーカー?」


 ノートにせっせと術式を書いていた、レナードが手を止めて顔をしかめた。


「メレッタ、それ言わないでくれよ」


「えっ?ダメなの?」


「俺は毎日ひたすら〝朝ごはん製造機〟を作るのがイヤで、魔術師を目指しているんだよ!」


 きみも魔術師か!錬金術師志望はやっぱいないのかぁ。学年首席だというレナードは、眼鏡のレンズをキラリと光らせる。


「俺、魔力は少ないけど、そのぶん戦術とか研究してるんで。今回の職業体験では錬金術師団オリジナルの魔道具について学びたいです。爆撃具は民間では作りませんし」


「あ、そっちね。そのわりにはライガの術式、読みこんでるみたいだけど……」


「実家の工房で働く魔道具師たちが、『こんな魔道具ありえない』って言うんです。でも俺はちゃんとライガが飛ぶところを見たんだ。それにあいつら、俺の顔を見るたびに『魔道具師になれ』ってうるさくて」


 卒業を控えた五年生は、夏に三師団での職業体験を終えたら、秋に魔道具ギルドで実習を行い、進路を決定するという。


 職業体験に参加しても、実際に入団を認められるのは毎年一、二名ほどの狭き門だ。


 ヌーメリアも最初は魔術師になりたくて、諸事情によりあぶれたため、錬金術師団にやってきたらしい。


 グレンの手ほどきがあったから、わたしは錬金術師になってしまったけれど、 物質を扱う錬金術師と、事象を操る魔術師……魔力をどう使うかで進路が決まる。


 できたら錬金術師団にも興味を持ってもらいたいけれど、魔術師になりたいという希望は尊重したい。


「俺んちの食事は、〝朝ごはん製造機〟の製品テストも兼ねてて。今はメニューが増えたけど、子どものころはくる日もくる日も……地獄だった」


「うわぁ、切実だね」


 ペンを握る手にぐっと力をこめるレナードだけど、彼が書いたメモをみれば、魔道具師たちが勧めるのもわかる気がする。


 魔道具製作って特殊な工具も必要だから、そういう環境に恵まれているのは有利なんだろうな。


「ほかの参加者のことも聞かせてくれる?カディアンが参加するのは覚えているんだけど」


 メレッタがハキハキと教えてくれた。


「グラコスとニックは竜騎士志望です。職業体験もカディアンといっしょに参加するだけだと思います。あともうひとりの女子、アイリはカディアンの婚約者だからかも」


「婚約者⁉」


 わたしがびっくりすると、レナードが声を荒げた。


「それ、まだ決定じゃないだろ!いいかげんなこというなよ!」


「だっていつも一緒にいるもの。正式発表されてないだけで、カディアンの本命なんでしょ?」


「そんなのウワサだろ!いいかげんじゃないか!」


「んもぅ!アイリはヒルシュタッフ宰相の娘で、ものすごい美少女なんですよ。生粋のお嬢様なのに勉強熱心で、レナードとも首席を争ってるんです」


「もういいだろ、彼女のことは。俺帰る!ネリス師団長、ありがとうございました!」


「あ、うん……また職業体験でね」


 教室を飛びだしていったレナードを見送って、わたしは首をかしげた。


「なにか怒らせちゃったかな?」


 メレッタは肩をすくめた。


「ネリス師団長のせいじゃありません。彼はアイリが好きなんです」


 はぅう⁉メレッタはぷりぷり怒っている。


「魔術師を目指してるのだって、アイリと一緒に入団したいんです。ふだんは私のこと邪魔者扱いのなのに、ネリス師団長に紹介してほしいときだけいい顔して!もぅ知らない!」


 メレッタと話して、職業体験にくる六人のうち三人は魔術師団志望で、残りが竜騎士団志望ってことはわかった。


 ひとりぐらい、錬金術師団にきてくれるといいけど……。


「お話は終わりましたか?」


 学園内を見学していたヌーメリアたちに合流すると、アレクははじめて訪れた魔術学園にすごく興奮したみたいで、あれこれとうれしそうに教えてくれた。


 学園に通うのが楽しみでしかたないみたい。うんうん、アレク見てるとほっこりするなぁ……。


 魔術学園の五年生たちが六人も研究棟にやってきたら、すごくにぎやかになりそうだ。


 そしてなんかもぅ、青春だなぁああ!


 わたしはちょっと遠い目をした。いや、そんなに年は違わないはずなんだけど……なんかもぅ遠いよ。


 おねーさんはキラキラがまぶしいよ。わたしの高校時代って、そんなキラキラしてたかなぁ?


 ま、わたしの人生これからだよね?


 あ、学園長と副団長……見つかったかなぁ。

学園長と副団長はまだ見つかっていません。

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