表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔術師の杖【コミックス1巻4月14日発売!】【小説9巻&短編集】  作者: 粉雪@『魔術師の杖』
第二章 錬金術師ネリア、師団長になる

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/568

46.魔道具ギルドに行きたい

よろしくお願いします。

 しばらくかかりっきりだった収納鞄の術式が完成したので、エンツでメロディやニーナたちと連絡を取り、魔道具ギルドで正式な契約をすることになった。


「ユーリ、魔道具ギルドに行きたいからついてきて」


 するとユーリはイヤそうな顔をした。


「王城に呼びつければいいじゃありませんか。わざわざ師団長が出向かなくても」


「でも今回ははじめての契約だし、魔道具ギルドにも行ってみたいんだもん}


 契約自体はネリア・ネリスの名前でするから、錬金術師団長であることはバレてしまうけど、ギルドまではお忍びで行きたい。なのにユーリの顔は渋いままだ。


「なんで僕まで……」


「契約なんてはじめてだから、成人してるユーリといっしょにいきたいの。ほかに頼めそうな人、錬金術師団にいないし。お願い!」


 ユーリはしばらく考えこんでいたけど、ため息をつきつつも、いっしょについて来てくれた。


 王城広場前から、三番街へと向かう魔導バスに乗る。


「ネリアのそういう強引なところは、師団長らしいと思います。公用車を使えばいいのに……」


「そしたら、お忍び感がでないじゃん!にしてもその髪色……」


 ユーリはいつもの赤い髪や瞳を茶色く変えている。


「どうです?ネリィとふたりだし、デートっぽく見えるように服も意識したんです」


「デートじゃないからっ」


 自称『十八歳の成人男子』のユーリは、どう見ても十五歳ぐらいの少年にしか見えない。ふたりで並んで歩いても、デートというより買いものする姉弟みたいだ。


「あはは、まぁ僕は師団長みたいに、いつもは仮面つけてませんし。外出時は最低限の変装は必要かと」


「ユーリも有名人ってこと?」


 グレンが有名なのは知っているけど、ほかの錬金術師たちの知名度はがどれくらいなんだろう。


「そういうわけじゃないですが、錬金術師はいわば〝金の成る木〟ですから、ふつうに誘拐されますよ」


「えっ!そうなの⁉︎」


「国内ならまだしも、国外に連れ去られたらめんどうだから、みんな用心してます。デーダスの家も正確な場所は、誰も知らなかったぐらいです」


 研究が当たれば莫大な利益を生むけれど、ある意味金食い虫の錬金術師を、それも何人も抱えられるということは、国力を示すことにもなる。


 また、グレンの業績は、あまりにも有名なのだそうだ。師団長室に彼の居住区があったのも、王城に囲いこむ意味合いもあったのだとか。


 そんな話をしているうちに、〝メロディ・オブライエンの魔道具店〟の近くまでやって来た。バスを降りて店でメロディと落ち合い、いっしょに魔道具ギルドに向かうつもりだ。


「いらっしゃい、ネリィ!……と、そちらのかたは……」


「メロディ、こんにちは!彼は同僚のユーリ……師団でも魔道具担当なの。これでも成人してるから、今回の契約についてきてもらったのよ」


 メロディはパチパチとその緑の目を瞬かせ、ユーリに向かってぎごちなくお辞儀をしようとした。


「それは……お越しいただいて……光栄でございます?」


 礼をとろうとするメロディを、ユーリが苦笑して止めた。


「堅苦しい作法はなしで。僕も彼女もお忍びですから……」


「ええと、ユーリ様とお呼びすれば?」


「ネリィは『ネリィ』なんでしょ?僕のことも『ユーリ』で。彼女の部下ですし」


 メロディが挙動不審だ、なんかおかしい……と思っていたら、急に彼女から奥の工房へと引っ張っていかれた。


「ちょっと、ちょっと、ネリィ!」


「な、なに?」


 突然で驚いているわたしに向かい、メロディは声を潜めて問いかけてきた。


「……ライアスの次はユーリ⁉︎」


「ち、違っ!ほんとに同僚だから!」


 慌てて否定するわたしの顔を、うさんくさげに眺めてから、メロディはほほに左手をあて、ひとりで納得するようにうなずいている。


「そうよねぇ……新聞記事ではライアスとうまくいったみたいだものねぇ」


「えっ?新聞記事?」


 メロディが無言で差しだした、王都新聞の記事を読み絶句していると、ユーリが横からヒョイと新聞を取り上げた。


「なになに?……かの竜騎士団長ライアス・ゴールディホーンは、レイバートに『ネリィ』と呼ばれる、妙齢の小柄で可憐な女性と来店。ライザ・デゲリゴラル嬢との婚約はキッパリと否定。その後、女性に絡んできた酔っ払いも華麗に撃退、彼女と川下りを楽しんだという。今後の展開に注目したい……ネリィってバカ?」


「あうぅ……」


 ユーリがあきれたようにため息をつき、わたしは身を小さく縮こませた。


「王城で仮面つけて顔バレ防いでも、当のネリィが有名になってどうすんです」


「うぅ……まさか、ご飯食べに行くだけで、新聞記事になるなんて思わないじゃん」


 有名人をなめてたよ……。


「まぁライアスにとってはラッキーかな……?ライザ嬢との婚約まで時間の問題、と思われてましたから。けっこう国防大臣が外堀埋めまくってたし」


「えええ⁉︎怖っ!」


 貴族位はある意味ポスト的なもので、血縁や血族にこだわることはなく、魔力持ちが中心になって、一族を盛り立てていくものらしい。


「溺愛している一人娘の魔力が少ないんで、国防大臣は魔力持ちの婿がほしいんです。ライアスは性格も温厚で、大臣も武門の家系ですし」


「そんな理由も絡んでいるんだ……」


「ネリアだってそうですよ。『師団長で独身、魔力持ち』……その条件に当てはまるでしょ?顔なんてどうでも、魔力だけで貴族の男たちに狙われますよ。王城でも油断できません」


(マジですか⁉︎)


 わたしをびびらせておいて、ユーリは店内を見回した。


「へえぇ……市販の魔道具はバラエティーに富んでますね。おもしろいなぁ」


「でしょ!それに少ない魔力で動かせるように工夫されているの。王城の魔道具も術式を効率化すれば、少ない魔素で動かせるようになるし、魔力の負担だって減るわ。たとえばここの術式なんだけど」


 ユーリは魔道具のひとつ、〝眠らせ時計〟を手にすると、目を輝かせていじりはじめた。


「ほんとだ。これ、買って帰って研究したいなぁ。経費で落ちます?」


「う……まぁ……そのぐらいなら」


 購入した魔道具をメロディに包んでもらい、戸締りをするという彼女を残して、わたしたちは先に店をでた。


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「あの子、わかってるのかしら……」


 鍵をかけながら、メロディはひとりごちる。魔道具店にはセキュリティのひとつとして、買われた魔道具の悪用を防ぐために、来店した客の『真実の姿』を映す仕掛けが入り口に設置されている。


 だから髪や瞳の色を変えたとしても、メロディには本当の色がわかる。だから彼女にはユーリが何者であるか、だいたい見当がついた。


 ユーリも仕掛けがあるのは知っていて、メロディが気づいたことは承知しているようだった。


(でもネリアはひょっとしたら、知らないのではないかしら。〝赤〟がエクグラシアの王族の色だってこと……)


 エクグラシアに住んでいれば、誰もが知っている常識中の常識なのだが……。


 王族の赤は遺伝ではなく、竜王と契約したエクグラシアの統治たる証。


 そして現在、〝赤〟を持つ王族は三人。国王アーネスト・エクグラシア陛下と、ユーティリス・エクグラシア第一王子、魔術学園に在籍している第二王子の三人だけだった。

魔道具ギルドまで辿り着けなかった…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
作者にマシュマロを送る
☆☆『魔術師の杖 THE COMIC』☆☆
月曜更新ニコニコ漫画

毎月1日更新!『MAGKAN』(先行配信)

『魔術師の杖 THE COMIC』
☆☆アプリ『コミマガ』でも配信中!☆☆
作画:ひつじロボ先生

小説版公式サイト
小説版『魔術師の杖』
☆☆NovelJam2025参加作品『7日目の希望』約8千字の短編☆☆
『七日目の希望』
☆☆電子書籍販売サイト(一部)☆☆
シーモア
Amazon
auブックパス
BookLive
BookWalker
ドコモdブック
DMMブックス
ebook
honto
紀伊國屋kinoppy
ソニーReaderStore
楽天
☆☆紙書籍販売サイト(全国の書店からも注文できます)☆☆
e-hon
紀伊國屋書店
書泉オンライン
Amazon

↓なろうで読める『魔術師の杖』シリーズ↓
魔術師の杖シリーズ
☆☆粉雪チャンネル(Youtube)☆☆
粉雪チャンネル
― 新着の感想 ―
あー、やっぱりそうか。国王陛下の以前の言い方がこれで繋がった。ユーリのことを気に掛けてたのは息子だからだったか。 王子と言うには随分とフランクだけど、父親の国王自身も初対面のネリアさんと普通(?)に対…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ