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魔術師の杖【コミカライズ】【小説9巻&短編集】  作者: 粉雪@『魔術師の杖』コミティア155東4【F34b】
第二章 錬金術師ネリア、師団長になる

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42.ライザ・デゲリゴラル現る

ブクマ&評価ありがとうございます。

 六番街でまずは四百五十年前に建てられた、歴史ある大聖堂を見物する。竜王と最初に契約を交わした建国の祖、バルザム・エクグラシア初代国王の像なんかがあって面白かった。


 大聖堂周辺の土産物店に、アーネスト陛下の肖像画のほかに、ライアスやレオポルドのものまで売っていて、ちょっとウケた。

挿絵(By みてみん)

「騎士団長を拝命したときに、王宮絵師が何人もやってきたんだ……」と、ライアスは遠い目をしていたけれど。それならみんな、彼の顔を知っているよね……。


 午後は船着き場から遊覧船に乗るから、そのまえに昼食をとろうということになった。


「この近くに、タクラ料理がおいしいと評判の店がある」


 混雑する昼食時ということで、ライアスはわざわざ〝レイバート〟という店に、予約を入れてくれたらしい。


 タクラはエクグラシアの南にある海に面した都市で、海の幸をふんだんに使った料理で有名だという。


 マール川支流の船着き場がある六番街は、川を使って運ばれるタクラからの交易品の荷下ろしなどで、古くから発展したそうだ。


 その関係でタクラ料理の店が多く、それを目当てに集まる釣り客や、川遊びの客も多いらしい。船着き場のほど近くに、タクラ料理の店〝レイバート〟はあった。


 ちゃんとした店っぽかったので、わたしはワンピースを着てきたことに、ほっとする。店の入り口でライアスが名を告げると、すぐに中へと通された。


 明るい日差しの下を歩いてきたから、店内にはいると暗く感じる。目を慣らしていると、すぐ近くで華やかな叫び声が上がった。


「んまぁ!ライアス様!」


 声は食事中だった六人ほどの目立つ一団から上がったらしく、その中心にいた煌びやかに着飾った女性が、優雅に立ち上がった。


「アンガス公爵の夜会でダンスをしていただいて以来ですわね!」


 うれしそうに頬を染めて話しかけてくる令嬢はとても美しい。艶やかなプラチナブロンドの髪はゆるく巻いてあり、けぶるような長い睫毛にお人形さんのようなパッチリした瞳は、涼やかなアイスブルーだ。鮮やかな赤のデイドレスは光沢のある生地で、華やかなフリルが縫いつけられ、動くたびに衣擦れの音がする。


「ご機嫌よう、ライザ嬢」


 ていねいに応対したライアスだが、少し困惑しているようだ。


 ライザ嬢はライアスの隣にいるわたしをきれいに無視して、彼に向かって眉尻を下げ、少し寂しそうな表情を作ってほほえみかける。


「最近お会いできなくて、わたくし寂しく思っておりましたのよ?……今度のメイビス侯爵の夜会では、必ずご一緒してくださいませね?そうそう、夜会の前に屋敷にもいらしてくださいな!わたくしの新しいドレスを見ていただきたいんですの!」


 ライザ嬢は嫣然とほほえみを浮かべたまま、ライアスの右腕に細くてしなやかな自分の手をかけた。


「せっかくですし、ライアス様もこちらに!ライアス様とご一緒できるなんてうれしいですわ!」


 おおお、グイグイ来るよ!この人!でもわたしのことは完璧に無視したまんま、見ようともしないけど……こういう場合、どうしたらいいの?


 ライアスがため息をついた。腕にぴったりとくっついたライザ嬢は放っておいて、蚊帳の外状態のわたしに教えてくれる。


「せっかくだが、俺には今連れがいるので……ネリィ、こちらはライザ・デゲリゴラル嬢だ」


 デゲリゴラル……デゲリゴラル……なんか聞いたことある……。


「あ!ひょっとして……デゲリゴラル国防大臣の?」


 おお?あのおじさんからこの娘さん?……おじさん、ものすごい美人の奥さん捕まえたんだね!


「んまぁ……少しはものを知っているようね」


 少し感心してライザ嬢を眺めていると、彼女はすっと目を細めて、値踏みするようにこちらを一瞥した。


「あなた……王都ではお見掛けしない顔ねぇ。貴族のご令嬢じゃないのかしら?まぁいいわ、殿方の気まぐれに目くじらを立てるほど、狭量ではありませんもの」


 いいたい放題にいってから、ライザはふたたびにっこりと、ライアスにほほえみかけている。


「気まぐれ……?」


 眉をひそめるライアスに対して、わたしはかなり正確にライザの意図を理解したと思う。なんたって女同士だからね!言外のニュアンスの把握はお手のものさぁ!


「ライアス……」


 つん、とわたしがライアスの袖を引っ張ると、ライザがギッとすごい目つきで睨みつけてきた。わぁ、殺気。まぁ、レオポルドに比べたらかわいいものだ。


「あのねライアス、もしかして……こちらが婚約間近のご令嬢?」


「んまぁ!」


 勝利を確信したライザが、かわいらしく頬を染めるのと、ライアスがギョッとして叫んだのは、ほぼ同時だった。


「ネリィ!俺に婚約間近の令嬢などいない!誰がそのようないい加減ででたらめなウワサを‼︎」


 周囲がざわりとし、ライザは真っ青になる。


「……んまぁ!ラ、ライアス様⁉︎」


 ライアス、たぶん、いい加減ででたらめなウワサを流した張本人の前でいってるよー。


「違うの?」


 小首を傾げて問えば、ライアスは首を横に振り、ハッキリと宣言した。


「違うとも!決まった相手がいながら、ほかの女性を誘うようなふしだらな男だと、ネリィに思われたとしたら心外だ!」


「んまぁ!」


 ライザは青ざめてわなわなと震え、周囲はなおいっそう、ザワザワする。


「今の……ホントかしら?」


「婚約間近というお話でしたわよね……」


「そんなお話、なかったということ?」


「ライアス様ご本人がはっきりと、そうおっしゃるんじゃあ……」


「あら、じゃあライザ様って……」


 騒めきは止まらない。ライアスはわたしをエスコートしつつ、ライザに右腕をとられている。


「ライアス様!つまらない女に関わっては、ライアス様の評判に傷がつきますわ!」


 ライザ嬢は悲劇のヒロインのように叫ぶと、ライアスの腕に手をかけたまま、わたしをものすごい勢いでにらんだ。


「お前っ!ネリモラの花まで身に着けて……ライアス様にねだるなんて厚かましい!」


 え?ネリモラの花がなにか?


 そして、もしかして、ここで仁義なき女の戦い勃発⁉


 わたしのお昼ご飯は⁉︎えぇ……それどころじゃない?

典型的な悪役令嬢ぽい感じのライザ嬢ですが、別に中に転生者とかほかの人が入ってるわけではありません。

表紙と挿絵担当のよろづ先生よりいただいたライアス・ゴールディホーン……土産物店で売っている肖像っぽかったので、こちらで使わせていただきました!

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― 新着の感想 ―
エピソード42と43の中身が同一です。 1話抜けているようなので、修正をお願いします。
言外のニュアンス把握、できてねぇwww 「私の方が格上なのだから『黙って』身を引け。」だぞ、その意図ww デゲリゴラルちゃん()の思惑、粉☆砕!玉☆砕!大☆喝☆采!! 流石は弾丸台風娘さんだ、嵐が来…
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