なろう作家は転売ヤー
最近コロナウイルスが流行の兆し。
それで、マスクとかを買い占めて高額転売している人がいるみたい。転売するってことは、そこに需要と供給のバランスが取れているわけだから、一応の正当性があるともいえるわけだけど、時期限定的な寡占状態を意図的に作り出して物を売ってるわけだから、本当の需要ではないし本当の供給ではないという意味で唾棄されてる。
つまり、倫理的によくないとかそういうレベルみたい。
ところで、小説という媒体についてはどうだろうと思ったりもする。たとえば「いい小説」だったら、社会の世相をある程度予想して未来に起こるであろう出来事を反映できたりするって言われてるね。
世相を切り売りしてるというか。
社会的な総体的お気持ちってやつを転売しているというのが小説なのかもしれない。
例えばの話、子供の貧困なんて最近のワードだと思うんだけど、2000年代くらいに書ける人が一流の作家、2020年の今になって書くのは二流みたいな考え方。
まあ、これは筆力とかもあるし、テーマだけがいくら斬新でも、その小説の価値が決まるわけではないと思うけどね。こんな考え方もあるよって程度で考えてください。
それと価値って何って話は、ベル子としては『モノ、カネ、ヒト』指標をお勧めします。モノは世界観、カネはお金、ヒトは人的交流です。
まあ結局のところ価値はひとそれぞれだと思うけどね。
おまえの嫌いはわたしの好き。
わたしの好きはおまえの嫌い。
ただそれだけのことだし。
なろう小説について言えば、よく言われてるのが現実世界でのルサンチマン(今風にいうと無敵の人だよ!)が小説の中に転移させられているみたいな言説。あるよね。
つまり異世界『転移』しているんだね。(ここ爆笑するところです)
転移というのは、患者の過去の対象(よくあるのがお父さんとかお母さんとか)に対するお気持ちが治療者に移るから転移っていうんだ。
患者を読者、治療者を書き手とすれば、読者が社会に対して持っている鬱積した感情を小説という媒体に転移させているとなる。もっとわかりやすく言えば、一人称描写における主人公がざまぁするときに読者はスッキリしたお気持ちを転移させている。感情移入しちゃってる。もっとも去勢済みの読者はお気持ちバリアがあるので、絶対に転移同体とはならないので安心してほしい。妄想と現実の区別がつかなくなることは、ぶっちゃけありえない。(プリキュア並感)
まあ転移というのはある意味ギャグといってもいいよ。だって、キャラクターの心象描写とかが一人称で書かれていたとして、それが『作者の心象』とイコールだって考える? 言うまでもないけどそれは誤りだ。たぶん小学生のころから、このときの登場人物のお気持ちを答えなさいっていう問題に対処しすぎて、身も心も神経症者になってるんだと思うよ。
ただ、作者が他者の欲望であるところの社会的なお気持ちを読み取るってことは普通にありえるのかなって思う。欲望は他者の欲望であるって精神分析的には基本中の基本だからね。
つまり、物書きというのは、お気持ち転売ヤーなんじゃないかな。
なろう小説というカテゴリの、つまりなろう読者の中枢的なお気持ちはなんだろう。
PMFによるところのマーケティングはプロダクトの価値を高める。カネを価値とする場合は特にプロダクト(作品)はマーケティング(お気持ち)に親近しなければならない。
思いつく限り書いてみる。
M→P
他人との関わりに疲れた→スローライフ
ブラックな環境から解き放たれたい→同じくスローライフ
承認欲求みたされたい→ハーレムとかチート(さすなろ)
嫌いな他人にマウントとりたい→ざまぁ
とりあえず癒されたい→モフモフとか温泉とか料理とか
日本すげえって思われたい→現代知識チート
綺麗な人間関係を見たい→勘違い系とか悪役令嬢に転生したあとに落しまくる展開とか
こんな感じかな。なろう小説を読みまくっていれば、ある程度の図式化は可能だろうと思う。
問題となるのは、PMFにおいては、読者のほしいものを直接聞いたらダメなんだよね。読者が欲しいものはまだ形に表れていないから、だから爆発的な需要があるんだ。
要するに、上の図式の左項が何か新規のものがないか探ること。
なろう作家が社会的なお気持ち転売ヤーだとすれば、いまある需要だと、コロナが収束した後のマスク転売と同じで売れ残るんじゃないかな。
いちおう、左項の欲求をかなえる手段、つまり「→」に新規性があると、それも新たな欲求を満たすことになるんだろうけどね。
たとえば最近では「配信」かなと思うんだけど、承認欲求を満たすために、「配信」でみんなによってたかって褒められるとかそんなん。ただ「配信」はそれ単体だと終わらせることが難しいからつらみもあるってわかってきたけどね。
あと左項が既存のものでも、書き方次第ではだいぶんテイストは変わるとは思う。
ただ、わたしとしては左項に新しいマーケットを見たくもある。
つまり、それはほんの少し先の未来に表れ出でるであろう『社会的困難さ』みたいなもの。困難さが打倒されるから新しい需要が生まれるんだよ。
自分の作品では『嫁』ではなくて『娘』が欲しいっていう欲望が加速していくんじゃないかって思って、オンライン上で娘を育てるみたいな作品書いたりもしたけど、疑似的な家族を形成するって案外いろんなところに転がってるなって思ったりして、完全に新しい欲望を見出すのは難しい。
未来を予測するのは難しいな。しかもそれはSFみたいなかけ離れた未来じゃなくて、ほんの少し未来じゃないといけないんだよ。
まとめると、なろう作家が読まれたいと考えたとき。
基本的には欲望の原理にしたがって、上記で述べたようなマーケティングを行う。
ここで既存の社会的困難さを既存のプロダクトで打倒するというのもひとつの方法だろう。例え話をすると、移動方法でより質の高い車を作るみたいな感じ。人の欲望はべつに尽きるわけじゃないから、既存のものでも当然売れる。移動したいという欲望はなくならないので車も売れるかな。
ただ、例えば社会が車というスペースと維持費をとるものよりは、もっとコンパクトで早くて安全なのがいいってなるかもしれない。そういう新たな困難さに対して対処可能なプロダクトが存在すれば、そちらはあっという間に世間を席捲する(激うまギャグ)だろう。
なんかぼーっとしながら書いたらよくわからんくなっちゃったので今日はこのへんでー。
評価とかなさらないんですか?