表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王子様はギャフンと言う  作者: 水瀬


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/24

【 10 】









 微妙な雰囲気の中で、俺たちは準備された軽食を黙々と食べた。

 無言でサンドイッチを口に運んでいると、なんだか可笑しくなってきた。


「こんな雰囲気になるのって、久しぶりだな」


 耐えかねて、俺はそう皆を見回した。

 うつむいていた3人が、ばつが悪そうに顔を上げる。


「そうだね、もう喧嘩なんてする年でもないのにね」


 ミゲルが肩をすくめ、ユリウスはため息をついた。


「それも嘘か本当かも分からない噂のために……」


 ヒューは黙ってお茶をすすっている。


「殿下、思うんですが、噂が本当かどうか、私たちで調べてみたらどうでしょう?」


 はぁ? 何言ってるんだ? もうクローディアのことはいいじゃないか、と俺は言いたかった。

 

「真偽を確かめ、殿下にふさわしいかどうか見極めるんです」

「それはいい!」


 ヒューが急にやる気を出した。

 俺はあいた口がふさがらない。本当になんでそんなにクローディアにこだわるんだ?


「殿下も興味はなくとも、いずれ結婚するならクローディアがどんな人物か知っておいた方がいいでしょう」

「そうだ、あんな噂が立つのには何か理由があるはずだ。調べておいて損はない」


 やっぱりヒューはクローディアが嫌いみたいだな。一体何があったのか……


「でもさ、もし噂が本当だったらどうするの?」


 盛り上がる2人に向かってミゲルが、ためらいがちに聞いた。

 そんなことはないと思うが、それは俺も気になる。


「もし本当なら物凄い悪女だよ? もしそうなら、殿下はどうするの? 結婚するの?」

「え?」


 3人の目が俺に集まる。

 もし、クローディアが本当に噂通りなら……どうなるんだろう、な。


「……結婚、するんじゃないか。たぶん」

「殿下は本当にそれでいいのか?」


 ヒューは立ち上がってテーブルに手をつき、俺の方へ迫ってきた。

 ガチャガチャと食器が音を立てる。

 ヒューはテーブル越しでも迫力があるな。


「ヒュー、落ち着け。クローディアが悪女だと決まったわけじゃない」


 鼻息の荒いヒューをユリウスが止める。

 なんだよ。結局みんなクローディアが悪いって思ってるんだな。

 そう考えたら、何故だか悔しくなってきた。


「みんなが心配してくれるのはありがたい。その心配が少しでも少なくなるなら、クローディアのことを調べよう」


 俺は思わずそんなことを言っていた。









最後まで読んでくださり、ありがとうございました。


不定期更新になりますが、

次話も、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ