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プロローグ1

 皆様あけましておめでとうございます。覚えている方は少ないと思われますが、私はなろうの世界に戻ってきました。

 二年前にエタって更新を止めてしまった作品をリメイクして再々投稿です!もはや時代にそぐわない王道系の作品ですが、読んでいただけると幸いです。

 新年一発目の投稿三連発。どうぞお楽しみください!

「おーい、カナー」

 

「なんだよ、早く帰りたいんだから手短に」 


「いやいや、明日お前の誕生日だろ?だけど明日からは土日だからさ。先におめでとうって言っておこうと思ってさ」


 新たに購入したゲームで頭がいっぱいで明後日が誕生日であることを当の本人も忘れていた。友人の指摘でそのことを思い出し、友人を迎えるように手を広げる。


「おお我が友!誕生日を祝ってくれるとはいい友達を持った!私はとてもうれしいよ。来週のプレゼントを楽しみにしているぞ!」


 劇的に感謝を伝えた彼は友人にしれっと誕生日プレゼントを要求する。それで友人が納得するはずもなく不機嫌そうに悪態をつく。


「煮込んで食わずに捨てるぞ。てめえ俺に渡したことないだろうが」


「じゃあのー」


 友人の言葉を聞かなかったことにし教科書が入ったリュックを背負いながら急いで別れを告げると、リュック越しにじゃあなという挨拶が返ってくる。その声を聴きながら小走りで学校を駆け出していく。先日買ったゲームが彼の帰りを待っていた。


 耳につけたイヤホンから発せられる音楽が彼のテンションを引き上げていく。徐々に上がるテンションとともに家へ向かう足取りも早くなっていく。この分だとちょうど家に着いたところでマックスに到達するだろう。学校から家までちょうど半分ほどになったところで、赤信号で一時停止せざるを得なくなる。信号の前には黄色の帽子をかぶった小学一年生の男児が立っており、不自然にきょろきょろと辺りを見回している。少年の妙な行動を横目で見ながら隣に並び立つ。直後、信号が赤にもかかわらず少年は道路に飛び出した。隣に並んでいるものとしてはその行動を黙って見過ごすわけにはいかず、手を伸ばしてランドセルをひっつかみ、後ろに引き戻す。


「何をやっとるだ?」


「車来てなかったし、遅いから行っちゃおうと思って……」


「そういう問題じゃねえの。少しで変わるから黙って待っとけ」


 そういうと少年は少々不貞腐れながらも元の立ち位置に戻る。数秒後信号が青になり、二人は無言のまま横断歩道を渡り始める。渡り終わった二人は背を向けお互いに別の方向へ向かって歩いていく。


 歩道を走ること、約五分。あと五分ほどで家に到着する。イヤホンからの音楽が右から左に流れるほどゲームのことで頭がいっぱいになりながらも安全に留意して歩道を駆ける。再び信号に差し掛かるが今度は都合よく青。足を止めることなく横断歩道に足を踏み入れる。


 すると、言いようのない違和感に包まれる。その正体をつかむために走りながら周囲を見回すと、真横から大型トラックが猛スピードで迫っていた。目に入った運転席の運転手は目をつぶっており、まともに運転できるような状態ではない。イヤホンで音楽を聴いていたせいで騒音に鈍感になってしまっておりここまで気づくことができなかった。彼のスピードではもはやトラックの魔の手から逃れることはできない。かといってトラックの衝撃を逃がすような超人的な技術は彼にはない。どうしようもなくなった彼を襲うのは経験したことのないほどの衝撃。一般人の貧弱な肉体がその衝撃に耐えられるはずもなく、はるか後方へと吹き飛ばされる。腕や足、胴体からの不穏な音を両耳で聞き取った彼は直後地面に叩きつけられ、小分けにされた骨がさらに小さくなったのを感じた。


 痛みによって物理的な悲鳴を上げようとするが、声が出ない。そんな余裕はない。今の彼にはどのようにして痛みを感じないようにするかで必死だった。喉からはヒューヒューと空気の漏れる音を発するだけで声という声は一切出ない。


 ここで疑問が生じる。車道のど真ん中で真っ赤になりながら横たわる彼を見て何も思わないものがいるだろうか。もちろん答えはノー。彼の代わりに通行人たちが悲鳴を上げはじめ、中にはあまりの惨劇に失神するものもあらわれる。

 

 そんな中で少年は何とかトラックを確認しようとする。すると、顔を上げたとした瞬間、トラックの前輪は横たわった彼の右腕を踏み砕くという追撃をかける。追撃によって痛みはさらに増し、彼の痛みは限界値寸前まで到達する。

 

「だ、大丈夫ですか?」


 そんな惨劇の中、見ていることしかできなかった通行人の中に彼に駆け寄った少女がいた。大丈夫なわけあるかい。駆け寄ってきたセーラー服の少女に向かって頭の中で悪態をつくが、ギリギリの状態で意識を保っていた彼は少女の声で持ち直すことができ感謝の気持ちを持つ。が、次の少女の行動が最悪手。恐る恐るという感じで少女は彼の肉体に触れた瞬間、触りどころが悪かったのかユウキの身体に再び痛みが走り脳の限界値を易々と突破する。限界を超えた痛みは脳のブレーカーを落とし、彼は命の灯火とともに意識を手放した。















「……なんで?」

 

 彼の眼前に広がるのは白色のみが地平の彼方まで続く空間。その空間は広さと白さもさることながら何もないことも相まって目測で距離を測ることすらできない。身体はフワフワとして浮いているような感覚がある。自分の置かれた状況をなんとなく察した彼は、自分の身体をよく観察してみる。見た目は何一つ変わっていないが、感覚がおかしい。手を握ってみると、感覚はあるものの力の籠り具合やつめの食い込み具合が事故の前と違う。どんなに力を入れてもスポンジを優しく握っているかのようで、全く力がこもらない。体の感覚とは正反対で意識ははっきりとしており、ここに来る前の記憶もはっきりとしており、ついでに覚えていた事故の記憶も思い出してしまう。あの惨劇を思い返してしまい、他人ごとのように体がブルリと震わせる。自分の置かれた状況を彼は再び考え始めるが、全く理解できず無意識のうちにぽつりと小さくつぶやいていた。

 

「なんで?」

 

 

 いかがでしたでしょうか。新年の暇つぶし程度になれば幸いです。

 さてこれからの投稿ですが、あと五十話近くストックがあるので忘れない限り滞ることはないでしょう。頑張って投稿していきますので応援してください。

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