父さんとの会話
「カリン大丈夫か?」
父さんは定期的に私に話かけては心配するような素振りを見せてくる。
「うん...だいぶ良くなったかな...」
水も飲んだし、さっきまでの緊張は無くなっている。
フゥッと息を吐くと、父さんが私の頭を優しく撫でてくれたので、少し気持ちいい。
「ほら魚が取れたぞ!、皆で食べよう!」
兄さんが笑いながら私たちの元に魚を持って現れました。
木の枝を集め焚き火をつける手際の良さは実際に見てすごいと思いました。
しかも魔法を使わずに原始的なやり方で火を起こしたので、異世界にいるという言うことを一瞬だけ忘れました。
「にーにすごい!」
「へへっ、だろ!、そんでもって魚を焼きていくぞ!」
木の枝に魚を突き刺して火あぶりにしています。
数分経つと香ばしい匂いとともに食欲をそそる香りが鼻に香ってきました。
「美味しそう...」
つい声が漏れた私に、お兄ちゃんは塩を振りまいた一本の焼き魚を渡してきました。
塩を少し振りつけてさらに美味しくなった焼き魚を見たとき、私のお腹がググ〜っと鳴り響いた。
「いただきまーす!」
一口かじりつくと魚特有の美味しさが口の中に広がっていきました。
油が乗った今が旬の焼き魚は、私のお腹を満足させてくれました。
「おいし〜い!」
もぐもぐと口を動かす私を見て安心した2人が顔を見合わせて笑っています。
「だろっ!、魚塩焼きは大正義なおいしさだぜ」
「ふむ、ローシュの言う通りだ、我々騎士団の食料としてみても、どんな環境でも魚がいる場所であれば作れるこの食事は極めて汎用性が高いと言える、まあ匂いがするのであくまでも戦闘をしていない場合に限るがな」
「親父、そんなことカリンに言ってもしょうがないぜ、どうせだったらもっと面白いこと言った方がいいぞ」
「面白い事とはなんだ?」
「...、フトンが吹っ飛んだ!!」
「それはシャレのつもりか?」
一気に空気が冷める中、そんな冷めた空気が面白く感じた私があははと笑った。
「ほ...ほらっカリンが笑ったぞ!、このシャレはおもしれぇんだよ!」
「カリン、無理しなくていいぞ」
「大丈夫、ちょっと空気が面白かっただけだから...」
少し怖い思いもしたけれど、最後には笑顔で父さんとの時間を終えれたので良かったと思います。
帰り道を兄さんと父さんの手を掴みながら、私を真ん中にして歩いて帰りました。