ちょっと気まずい
「あっ...」
半裸のまま佇む兄がいたので申し訳なくなり声をかける。
「お兄ちゃんごめんなさい...、でも私もう小1だし、裸見られるのは恥ずかしいんだ」
ちゃんと理由を述べて分かって貰おうと思う。
お兄ちゃんならきっとわかってくれると思い、本音をぶちまけたのだ。
すると、お兄ちゃんは少し残念そうな顔で私を見てくる。
「そうだよな、カリンも成長してるんだから、に〜にもそこは分かってあげないといけないのはわかるんだけど、やっぱり寂しいかな...」
うん、分かってる。
この人はカリンが大事だと思うあまりあのような行為に及んだことは分かっている。
だけど、ごめん、私中身がカリンじゃないんだよね...。
本当のことなど言えるはずもないが、がっかりするお兄ちゃんを放ったらかしにする訳にもいかないので、少しは譲歩する。
「お詫びと言ってはなんだけど、今日一緒に寝ない?、ちょっと昨日怖い夢を見たんだ〜」
ちょっとは子供らしく言えたと思うので良しとしたい。
やはり、年相応に振る舞うというのは難しいと思う。
すると、こちらに向き直ったお兄ちゃんが口を開く。
「いいのか!?、仕方ないな〜久しぶりにお兄ちゃんが一緒に寝てあげよう」
と言いつつも喜んでいるのが、顔を見れば丸わかりなので面白い。
本当に彼は妹が好きなんだなと思える。
リアルでもここまでくれば絶対に引かれるであろう線を優に超えてくるのはヤバイと思うが、それはあくまでも妹を思っての事なのだろうということは実感として分かる。
彼の視線をには優しさの様な物しか感じない。
少しでもそういう気持ちがあるのであれば、視線で分かる。
視線になんとも言えない気持ち悪さを感じたら、それは乙女の危険信号なので、その男と付き合うのはやめておいた方がいいと思う。
何が言いたいのかというと、お兄ちゃんの視線に気持ち悪さは感じないので、そういう気持ちはないのだろうと考える。
「じゃあ、カリンの部屋にレッツゴー!」
お兄ちゃんが指を二階にある、私の部屋を指差して前進して行く。
「その前にお風呂入ってきてぇー!!」
私は半裸のお兄ちゃんの腕を掴み、お風呂の方を指差した。