表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

327/332

謎の少女...

(貴女は誰...?)


 私は夕暮れ時に染まる校舎の上からこの王国を見据え、一人物思いにふけっていました。


 そう...、私がこの世に足を踏み入れた瞬間に現れたあの黒髪の少女について考えていたのです。


(分からない...、あの子と視線を合わせた瞬間、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()かのように思えてしまった)


 カリンという少女に見覚えこそあるものの、その本質が見えていない様で心底気持ち悪い...。


(私がいないはずの数年間が、まるで私も体験したかの様に思えてしまっている...?)


 身に覚えのない記憶のはずなのに、それこそが私が歩んで来た歴史だとでも言われているかのよう...。


 しかも、違和感を覚えるはずの現象に違和感を覚えない自分が1番気持ち悪く、考えれば考えるほど迷路の様に迷う。


 それでも、疑いたくない物はあった。


(私は望月林華...、それだけは間違いない...はず...)


 自分で自分の事を疑うなどあってはならない事だが、今の私はそれすらも疑わずにはいられない。


 でも、本当にどうやってこの王国にやって来たのかすら思い出せません。


(私には何か大事な役目があったような...)


 頭の片隅に靄がかかった様な感じがずっと残っている...。


 それすらも時間が経過すれば経過するほどだんだんと薄らいで行くのが分かる...。


 最早、この状況こそが()()なのだと受け入れ始めるのは時間の問題だろう...。


 だからこそ私は紙に書き記す。


「私の本当の妹は「華凛」だ」


 と。


 顔を忘れ去ってしまったとしても、その()()だけは忘れない。


 前世の記憶が更に薄らいだ気がする...。


(もう少しで私もこの世界の住民になる...、その前に少しでも多くの痕跡を残しておこう...)


 私は自分がこの世界に自分が来たという痕跡を意味もなく残し始めるのでした。


 きっと次に出会うとき、私は...。




「ふふふ...」


黒髪の少女はただ笑う。


少女は鳥籠の中で舞う黒い鳥を見ながら愉悦の笑みを浮かべた。


「大丈夫...、何も怖いことはないよ...、だから...さ、今は遊ぼうよ、今まで辛かった分何もかも忘れて遊ぼう、ねっ?お姉ちゃん♡」


つんっと鳥籠を少女が揺らすと鳥籠内の舞台が変わるのだった。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ