氷聖ジスカ
あの後家までの帰り道を歩いていると...。
「う〜ん...、困ったなぁ...」
突然物陰から私の目の前に現れるは氷聖と呼ばれている男でした。
「ジスカさん、プラムさんのことは上手くやっておきましたよ」
私がそう呟くと彼はにっこりと笑ってくれました。
「さすがは賢聖の娘カリンだね、君の行動の速さには感服する」
「ありがとう、でもあんまり私と貴方が合ってるって皆に気づかれない方がいいよね?、だって貴方皆から嫌われてるみたいだし」
「ノンノンッ...、皆は僕を嫌っているのではなく照れ隠ししてるだけなのさ」
このポジティブ思考だけには私も敵いません。
なんとなくプラム先生がこの男を嫌っている理由が分かってしまいました。
はははと笑いながら白い髪を揺らしながら私の肩をポンっと叩いた彼は静かにこう呟きます。
「まあ...、僕達は誰に嫌われようが、君にだけ愛されていれば満足しちゃう人種なんだけどね...」
意味深な事を呟きながら私の顎に手を置こうとしたので払いのけてやりました。
「触らないで...、汚らわしい...」
それもできるだけ冷たく突き放すように言ったつもりなのですが、彼はそれでも結構とばかりに笑っています。
「お〜...見事に嫌われたものですね...」
「...」
睨むように瞳を細くすると彼は更に楽しそうにするのでうざい...。
「何がそんなに楽しいの?」
「いいや...、ただ...大分似てきたなと思ってさぁ...」
「似てきた?、誰に?」
「もちろん僕の師匠に...さ...」
「私...、ジスカさんの師匠なんて知らないんですけど...」
ニヤニヤする彼の表情は本当に気持ち悪い...。
彼の顔自体は冷静なイケメンフェイスのはずなのに、全く魅力を感じられません。
それどころかそこから発せられる物には吐き気と寒気すら感じさせてくるので、もはや才能とでも言うべき代物でしょう。
「...そろそろいいかしら?」
「そうだね...、あんまりのんびりはしてられないし...、訓練頑張ってね...」
「...!」
私は彼の方をしっかりと見つめると、彼はそんな私をあざ笑うかのように言葉を吐いてきました。
「お〜怖い怖い...、流石は賢聖の娘だね...」
キリッとした視線を送った瞬間、彼の姿は氷と共に消え去っていました。
「...人間のカスが...」
捨て台詞だけ吐いた私はそのまま夕暮れの世界を歩いて行くのでした。
歌...。
私が好きな事の1つ...。
ただ歌っているだけで嫌な事を全て忘れられる気がしていた時期もあるが、現実はそうもいかなかった。
挫折に次ぐ挫折。
歌なんて一時的に気を休めるだけの代物でしかない。
他人よりちょっぴり歌が上手いだけでは生きられない事に嫌でも気がつく...。
それではダメだ...。
私は自身の歌によって永遠の安らぎと幸福が欲しい...。
輪廻の如く生命が続いたとしても、この苦しみが続くのであれば意味はない。
そうでしょ?ねぇ...、×××××?




