彼女の物語
私は休憩の時間を利用して、彼女から貰った小説を読む。
彼女の作った物語なので、私はすぐに引き込まれてしまった。
一人ぼっちだった少女が、人形を使いながら、町の人との交流をするという流れの物だった。
非常にありきたりな話だが、彼女が私のために作ってくれたのだと思うと、それだけで幸せに感じる。
ありきたりな内容を、面白くできるのは才能であると、言わざるを得ない。
もともと短い文章なので、すぐに読み終えることができた。
私は読み終えるとすぐに彼女の元に向かい、感想を述べた。
「カリンちゃん!すっごく面白かったよ!」
若干興奮気味に言ったので引かれてはないかと思ったが、彼女は嬉しそうに。
「そ...そう...?」
満更でもなさそうな顔をしながら、頰を人差し指でなぞる。
「うん、人形使いの子がなんで一人ぼっちだったのかわかるし、それを克服するために人形を使って行くのが面白いと思う」
私が褒める度に、彼女は嬉しそうにするので、私も嬉しい。
「また今度、もしも続きを書くんだったら読ませてね、私もお人形をもっと上手く作れる様になる様に頑張るから!」
「それ以上上手くなったら普通に市販品超えちゃうよ!」
私は彼女と笑い合いながら小説の続きを思い浮かべていた。