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リタ

「ねえ、カリンちゃんは覚えてる?、私があなたに助けてもらった時のこと...」


 学校の帰り道で、急にそんな話をされても分かるわけがない。

 私は日本で住む餅月林華であり、この世界に存在していたカリンではないのだから。


「え...、あはは...、ごめん覚えてない...」


 私は申し訳なさそうに彼女に謝ると、彼女は「いいよ」と呟いた。


「たとえカリンちゃんが忘れたとしても、私は絶対に忘れないからなね...」


 なんのことかは分からないが、とりあえず私はこの子に嫌われているわけではなさそうだ。

 雰囲気や私に向けてくる仕草が、中の良い友人の様な感じだ。

 ちらちらとこちらを見てるなと思っていると、彼女は徐にアイテム欄を開いた。

 何だろうと思いながら、その行為を見ていると。


「はいっ、またお人形を作って見たんだ、受け取ってくれるよね?」


 彼女はアイテム欄からウサギのぬいぐるみを出して、私に渡してきたのだ。

 ...、この時察した。

 私の部屋に妙に多く存在していたぬいぐるみの正体を。


(この子が定期的にカリンに人形を渡していたのか...、てかそう考えるとクオリティ高いな...、普通に市販品だと勘違いするレベルなんだけど...)


 私は素直に受け取る、流石に友人の好意を無下にすることは性分的にできなかった。


「ありがとう!、大事にするね!」


 そのうち捨てようとか思っていたが、こういうことであれば捨てるわけにはいかない。

 私が人形を大事にすると言うと、彼女は満面の笑みを浮かべた。


「ありがとう、やっぱりカリンちゃんは記憶をなくしてもカリンちゃんだね!」


 なんだかおかしくなった私たちは笑いあった。

 この子も悪い子ではないなと思いながら、私達は一緒の帰り道を進んだ。

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