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VSミライ

 俺は剣を片手に接近する。

 俺の武器はあくまで剣だ。

 接近しなければ全く役に立たない。

 故にまずは様子見...と言う訳にもいくまい。

 俺が駆け出すのを見た彼女は不敵に笑う。


「あらあら、まさか一直線に攻め込んでくるとは...、よほど早死にしたい様ね...」


「お生憎様!、こちらは近づかないと攻めれないのでね!」


 素早い動きで奴に近づいて行くのだが、無論奴も黙っているわけがない。

 細心の注意を彼女の動向に向けながら突き進む。

 彼女が指を僅かに動かしたのを見逃さない。


(来る!!)


 左右から骨の塊が俺を押し潰す壁のごとく勢いで迫って来る。

 これだけ大量の屍に圧縮プレスされれば人間サンドイッチの出来上がりだろう。

 だが、勿論くらってやるつもりはない。

 壁が迫って来る前に上に飛び上がり攻撃を躱す。


「なかなかの身体能力ね...、部下に1人欲しいくらいだわ...」


 彼女は見直した様に俺を見てきたので、こう返してやった。


「そりゃ嬉しいね!」


 空中にいる間にも奴は攻撃用の魔法を放ってきたが、それを難なく斬り裂くと彼女は少し嬉しそうな声をだす。


「なかなか、どうして...、クティル王国には粒が揃っていますね...」


 俺の事を高く評価している様だったが、いちいち上から目線なのが腹が立つ。

 一泡吹かせてやろうと懐に入り込んだ。


「しまっ...!」


「お喋りに夢中になり過ぎたな...、俺の素早さを侮ったお前の負けだ!」


 思いっきり剣を振り下ろし彼女の身体を切り裂いたのだが、妙な事に肉を裂く感覚がしなかった。

 もう一度斬りつけた物をよく見てみると、それは別人の亡き骸だったのだ。


「何!?」


 俺が声を上げると、別の地点から彼女の声が響く。


「惜しい惜しい...本体はこっちよ...」


 いい感じに煽って来る彼女は最高にムカつく。


「いいねぇ...いい感じに火ィ着けられたわっ!!」


 勢いよく飛び上がり一気に間合いを詰める俺。

 先ほどよりも素早く動いたんだ、今度は躱せないだろう。

 これだけ接近されても余裕の表情を見せつけて来る彼女に喝を入れるため剣を振るった。

 だが、今度斬りつけたのは幻影だったのだ。


「くそっちょこまかと...」


「貴方に私は捉えられない、ろくに魔術の行使も出来ない貴方には私の本体を暴くことなど出来はしない...」


 流石にそこまで言われると自分の武器錬成の魔法その物が出来損ないとでも言われているような気がして頭に血が上ってしまい、女が相手だろうと容赦をしたくなくなってしまった。


「ああ!!?、人の魔法をバカにするんじゃねぇよ!!」


 俺の答えに対し、彼女はそれを小馬鹿にしたように笑う。


「武器錬成なんてありふれた魔法を魔術の一環とするのもおこがましいわ...、私が目指すはもっと崇高なる真の魔術、そこに武器錬成なんて低俗な魔法必要ないのよ...」


 ...、まあ世間一般的に見れば俺の魔法なんてそんな評価だろうな...。

 分かっていた、自分の魔法がごく普通の何ともない魔法だなんて痛いほど痛感している。

 それでもなおその魔法を極めんとし、魔法の高みへと登ろうとする事は間違いなのだろうか...?。


「ハハッ...、低俗...ねぇ...」


「そう、貴方の魔法なんて所詮は有象無象に存在するゴミに過ぎない事を自覚してないのかしら?」


 否...、彼女はそう言うがそれは間違いだと思う俺。


「だったら味わってみるか?、その低俗な魔法の真髄を...!」




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