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母さんの優しさ

「うん...」


 私が目を覚ますと、母さんが涙をこぼしながら抱きついてきた。


「カリンちゃん!!」


「かあ...さん...?」


 頭がぼーとするので、頭を手で押さえる。


「私どうなっていたの?...」


 母さんは涙を拭いて私の方をしっかりと見て、簡潔に話してくれた。


「カリンちゃんは、母さんの魔道書に魔力を吸われていたの...、あの魔道書は読む者の魔力を吸って内容を構築して行くのだけど...、カリンちゃんの魔力がすぐに吸い尽くされて、魔力切れを起こしたカリンちゃんの生命力まで奪っていたのよ...」


(私が勝手に母さんの部屋に入ったから迷惑をかけてしまったのか...)


 私は悪いことをしてしまったので謝る。


「母さん...、ごめんなさい、勝手に母さんの部屋に入って本を見たりして...」


 怒られるのを覚悟して謝まったのだが、母さんは優しく私を包み込んでくれた。


「いいのよ...、母さんが部屋に鍵をかけて行かなかったのがいけないのだから...、カリンちゃんは何も悪くないの...」


 母さんの手の温もりは暖かく、優しさに満ち溢れていた。

 前世でも味わったことのある、母親の愛情と呼ばれるものだ。

 その本質は異世界でも変わることはないのだろう。


「母さん...、本当にごめんなさい...」


 私は泣いた、母さんに迷惑をかけたことと、勝手に部屋に入ったことへの罪悪感が消えないからだ。

 悪いのは自分だ、母さんは何も悪くない。

 それを許すと言われた時に、歓喜に溢れる感情がとめどなく溢れてきたのだった。

 私は、この人の元に生まれてきてよかったと思える。

 正直前の世界の母よりも、こちらの母の方が親をしている。

 前の親をけなしているわけではないが、この人からは、親の優しさを沢山感じるのだ。

 私は母さんの優しさに包まれながら、この日はめいいっぱい泣き続けた。





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