プロローグ
俺はイケメンでスポーツも勉強も人並みより優れている。
また、両性からも好かれている。その上性格も良い。
周りから見た場合は非の打ち所がない人だ。
俺は今日もいつも通りに高校に向かっていた。
家を出てすぐの見慣れた交差点。
信号が赤だったけれど、周囲に人はおらず、車が遠くに見えた程度だったので、気にせずに横断歩道を渡っていた。
渡り終えた時、かかとに柔らかいものがあたった。
振り返ると青くて丸いボールが近くを転がっていた。
その時、7歳くらいの少女がボールに向かって走っていた。
同時刻、トラックがボールのある方向に走っていた。
瞬間、俺の第六感が自分に訴えかけていた。
今、少女の運命は俺が握っているということを。
実際、少女は走る手を休めず、運転手の死角に入っていた。
トラックの方はスピードを緩めることはなかった。
幸いなことにボールは俺のすぐ側にあった。
ボールを少女に向かって投げれば少女は助かる。
俺はそう確信していた。
ただ俺はその判断をしたくはなかった。
だって人が死ぬところを見て見たいから。
俺は一切躊躇わなかった。
少女が肉塊になる瞬間に浸るために、すぐ側の建物の影に隠れた。
座って見たいところだったが、生憎俺は登校中。
俺は少女を目で追っていた。
俺は足元を疎かにしてしまった。
少女がトラックに轢かれる直前、俺の足元に魔法陣が浮かび上がった。
それから、魔法陣が光り始め俺の視界を覆い隠していた。
同時刻、少女の全身も光で覆われていた。