第10攻略 屍の先に勝ちはある
突然の襲来。
それにより、防衛作戦へと移行する。
シュバルツ、シャルは前衛。
モントラーシュは後衛で援護である。
それにほかの冒険者もいる。
連携のことを思うと、少し不安要素がある。
なぜなら、いつもは別々に活動しており、スタイルも違う。
攻撃のパターン、タイミングが微妙にも変わってくる。
混乱や乱闘、下手な問題にならないかと、ヒヤヒヤしている。
俺だけで狩っても勝てるよ。てか、使ったことないけど、魔法、呪術使えばなんとかなるかな?
拡散系か放射系。まぁ、広範囲にダメージを与えることが出来ればそれでいいか。
ここに来てスキルの発動。
バットスキルとポジティブスキルが2つずつ。
バットスキルからは、乱雑と緊張。
ポジティブスキルからは、協調と司令。
どっちもどっちだな。
バットスキルら乱雑と緊張。
乱雑はなんとかなるにして、緊張は辛い。
だって強ばったままだろ?体動くのかな?
ポジティブスキルは最高だな!
協調と司令!
スタイルが異なる皆と協力がすぐに出来るし、司令なら指示はほぼ90%以上の確率で成功するし!
「シュバルツ。この量は‥‥‥余りにも多すぎる。」
「あぁ。そうだな、シャル。術系を使える奴がいればいいけど。今は居ない。」
「さて。指示なら出せる。戦いながらだけど。」
「無理にも程がある!シュバルツ、無理でしょ?」
「出来るよ?一線離脱。この方法を使えば‥‥‥。」
「使えば?」
「指示できる。」
シュバルツはそう言うと、今回の作戦長の元へと走っていく。
唖然とした顔で彼を見つめるシャル。
作戦長は中衛にいた。
ごつく、仁王立ちしてた。
仁王様みたい。今度ポーズさせてみようかな。
彼の元まで行き、今回の作戦の所属、名前を言う。
「今作戦前衛部隊、シュバルツ・ジークにございます」
「誰かと思ったが、君がシュバルツか。して、何用か?」
陣頭指揮をしたいと申してて、作戦を伝えた。
「しかし、これで勝てると保証があるのか?」
「私目におまかせ頂ければ必ずや。残ったものは私目が全討伐して見せましょう。」
「分かった。技量は聞いている。なら見せてみよ。この作戦を成功に導いてみよ!」
「はっ!必ずや!」
あー。緊張した。普通だったら、緊張しないのに。
バットスキルのせいだ。どうにかならないかな。
一旦、スキル表を見るか。
てか、史上2回目じゃない?開くの。
ステータスの割合は、ポジティブスキル:バットスキル=8:2。
まぁ、そんなもんか。
2割もあるのか。辛いな。
でも、攻撃系統に直接関係するものは少ないな。
どっちかと言うと、生活に影響しかしないな。でも、こういう場面で出てくる場合もあるのか‥‥‥。
「シュバルツ。何しに行ってたの?」
「俺が前衛の陣頭指揮を取る事になった。」
「ほんと?」
「まぁ、見てろって。」
シュバルツは大きく息を吸い込み大きな声で叫び、作戦を伝えた。
作戦はこう。
後衛の呪術系、魔法系の人達が範囲魔法を使う。
中衛はそれに加勢するように、要塞備え付けの装備で攻撃を仕掛ける。
前衛は、後衛が逃したモンスターを、叩く。
ただそれだけ。
「く、来るぞ!」
監視の冒険者が声を荒げる。
「作戦開始!」
シュバルツの怒号と冒険者のうぉー!という雄叫びが要塞に響いた。
作戦通りに後衛が魔法や呪術を放つ。
その為か詠唱の声が聞こえる。
「炎よ!全てを焼き尽くせ!火炎剛球!」
「大地よ!揺らせよ揺らせ!大地震撼!」
「抗えぬ死よ!呪いを解き放ち、恐怖で蹂躙せよ!死滅毒!」
イタイ。あれらはイタイ。なんだよ、恐怖で蹂躙せよとか。イタイにも程があるだろ!
く、黒歴史が甦ってきそうだぜ。
それにしても、俺よりイタイんじゃないか?
でも、攻撃はしっかりと入っていた。
初めに来た、ゴブリン等の小さいモンスターを蹂躙している。
隙間を抜けたモンスターを中衛が重弩で殺す。
その後からくる、巨大な下位層のモンスターの1一部を削り、前衛が叩いていく。
これが最も効率がいい。
なぜなら、前衛が体力を消耗せずに叩け、後衛は少人数で放てるからだ。
後衛は入れ替わりで術を打ってる。理由は明白だ。
魔力があり、切れると何も出来なくなるからだ。
自然回復は当然のごとく出来る。あとは、魔法や呪術の回復を得れば早くなる。
「ぜ、前方に巨大な影2つ!」
「迎撃体制やめ!」
森の中からのっそりと大きな影が出現した。
奴らは中位層、「ヴァノーギアルド」
「嘘だろ?やつが2体?」
「あー。めんどくせぇーな。」
「あれが、ヴァノーギアルド。」
一人一人様々なことをボヤいている。
中位層をよく狩る冒険者は面倒くさがり。
中位層を倒したことの無い冒険者は絶望を感じていた。
「前衛は引け!」
「あとは、私たちに!」
みんなささくさと退避する。
おい‥‥‥。加勢してくれる奴とかいねぇーのかよ。
てか、みんな正直すぎるし。
「あれ?いつぶりだっけ?これ狩るの。」
「確か3日ぶりだね。」
「僕も加勢しますよ!シュバルツさん。」
3人が集った。
役割は変わらない。
シュバルツが単体で一体。
シャルは、モントラーシュと組み、一体を倒す。
素振りのせいか、腕が重い。
「シャルそっちは任せた!」
「分かった!モントラーシュ、援護お願い!」
「分かりました!片付けましょう!」
そこからはどっちを見ても、目を疑うようだった。
シュバルツは華麗に飛び回り、蹂躙して行く。
あの時みたいに、躱していく。
シャルは守りからの攻撃。カウンターだ。
それを援護するのはモントラーシュ。創生魔法で援護してる。
俺の方は、隙を見つけて首を落とした。
てか、ピンチすらみつからねぇー!
たまには、ピンチあってもいいんじゃね?
後ろから忍び寄る影。
シュバルツは剣を背中に向け、脇腹あたりから剣を突く。
予感は的中。
ゴブリンがいた。
「ピンチとは言えないな。」
その頃、シャルは最大の局面を迎えていた。
援護でモンスターの足が塞がれた。
「やぁぁぁぁぁぁあ!」
腕を蹴りあげ、飛躍する。
剣を振り上げ、重力に身を任せる。
そのまま、首へと近ずいた。
その瞬間。腕が伸びてきたのだ。
「やばい!躱せない‥‥‥。」
シャルは覚悟を決めた。
浮遊落下中の移動は不可。
盾は重いので下。
守るものは無い。
「シャルーーーー!」
シュバルツの声が聞こえた気がした。
剣の位置はそのまま。
目を開けると、腕は消えていた。
「行っけぇーシャル!」
「はぁぉぁ!」
勢い良く、首を切る。勢いのため首が空を舞う。
「シュバルツ。助けてくれたの?」
「あったりめぇだ!」
「危なかったですね。ふぅー。」
少し涙目になってるシャル。
それを包み込むような、笑顔なシュバルツ。
安堵で息をつくモントラーシュ。
彼らは2体のヴァノーギアルドの討伐に成功したのだ。
一方その頃、忘れ去られてたヴァルキーはと言うと。
防衛施設の1部に隠れていた。
「シュバルツ。あの子ならやってくれそうねぇー!」
そのまま身を翻し、帰って行った。
いや、消えたと言うべきか。彼女はまだ謎に包まれている。
その声を漏らした時に、シュバルツは変な気を感じていた。