人間解放宣言
2020年 東京都
東京オリンピックに合わせてクリーンな都市東京をアピールするために人権擁護団体が差別を無くす宣言を行った。手始めに人種差別を無くすために東京都に住む者は例外なく人種を特定されないように二重瞼にされ、頬骨を削られ、身長を統一され、皮膚の色を灰色に染められた。莫大な回数行われた整形は隣国の技術を借り受けた。
2030年 東京都
LGBTに対する差別からの解放として、男性器と女性器をジェンダーフリーデザインに整形する条例が東京都より発令された。合わせて男性らしさや女性らしさを無くす為にホルモンバランスを等量に保つ事が強制されて、都民は完全に雌雄同体となった。
2040年 東京都
人間らしさが人間差別に当たるとして、東京都は人間らしさを捨てる条例にサインを行った。そして、都民は完全に人間の形を放棄した。都民は完全なデザインな生き物に脳を移植して、各々が各々の生きたいように生き、そして死んでいった。
差別の無い都市。そして選ばれし者が住む地上の楽園が完成された。最先端の非差別都市“東京都”では誰にも差別される事なく、誰も差別する事がなかった。都民は喜びにうち震えて死んでいった。その死に顔は例外なく歓喜極まるものだった。
父も母もなく
雄も雌もない
完成されたその生き物は