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17〜合流

大地が消火器で隙を作った瞬間、雪たちは走りだしていた。


雪は子供たちも連れ後ろを振り向かずに廊下を駆け抜ける。


この子たちを安全な場所に連れて行ったら、私も大地と。


廊下を抜けるとそこは長年掃除がされていないのか草が生い茂った外庭に到着する。


雪たちは外庭に着くと、そのまま草の中に侵入していく。


「‥‥‥確か、この辺に」


「小鳥遊さん!」


後方から自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。


「!?‥‥‥あなたは橘君?」


そこには服が若干汚れてはいるものの、怪我をしている様子はない橘光輝の姿がそこにあった。


「よかった!無事だったんだね!」


「‥‥‥大地のおかげで。何であなたはここにいるの?」


「それがみんなを連れてグラウンドに連れていったはいいものの、着いた時には自衛隊はみんな倒れていたんだ。そしたらみんな四方八方に逃げ始めてしまったんだ。みんなに慌てないように言っても言うことを聞いてくれる人はいなかったんだ!つくづく僕にもみんなを統率できる力があればと思ってしまったよ。だから結局一人で逃げていたら小鳥遊さんを見つけたというわけさ」


光輝は悔しそうに呟く。


「すごいイケメンの人だ!」


「この人すっごいかっこいいね!」


「‥‥‥アイドルみたい」


女の子たちは光輝を見て、目を輝かせながら褒めている。


「‥‥‥そう、じゃあ一緒に逃げよう。こっちに抜け道がある、‥‥‥あと大地の方が断然かっこいい」


雪は女の子たちの意見を反対する。


「おっと、見つけたぞ」


上空から声が聞こえた途端、不意に不自然な風が吹き、四人を大きな影が埋め尽くす。


雪たちが上空に視線を移すと、そこにはアーノルドが乗っていたドラゴンより二回りは小さいドラゴンらしきものに乗った赤服を着た男が現れた。


「お前ら、ちょこまか逃げまくりやがって、探すのに苦労したぞ。お!上物がいるじゃねぇか!」


男は下世話な顔を浮かべていた。


「クソ!見つかったか、小鳥遊さん僕が時間を稼ぐからその子たちと一緒に逃げて!」


光輝は後ろに背負っていた鞄から弓を取り出した。


「‥‥‥どうしてあなたまで自分を犠牲に私たちを逃がそうとするの!?」


「何、いつも祖父から人を救える人間になれって耳にタコができるほど言われてたから、こういう性格になってしまったんだと思うよ!」


光輝は苦笑しながらも真剣な目つきで弓を構えドラゴンもどきに矢を放つ。


矢は風を切り、ドラゴンもどきの翼を射抜く。


「ギュオーン!」


ドラゴンもどきは悲鳴をあげ、滞空が少し乱れる。


「うぉ!?落ち着け、落ち着け!」


男はドラゴンもどきを落ち着かせようと、手綱を握っている。


「お前!よくも俺のワイバーンに怪我させてくれたな!お前はただでは済まさん!」


「さぁ!今のうちに早く!」


「‥‥‥うん。ありがとう」


「かっこいいお兄ちゃん、ありがとう!」


雪は女の子たちを連れ、抜け道に向かって駆けると、もう一匹のワイバーンに乗った男が抜け道の先から現れた。


「っ!?‥‥‥二匹目!?」


急な出現に雪は驚愕し立ち止まってしまう。


「まずいな、挟まれた」


光輝は冷静に状況を把握していく。


「おい!いいところに来たな!こいつら俺のワイバーンに傷をつけやがったんだ!だからよ、こいつら捕まえる前に少し痛い目に遭わせようぜ!」


傷つけられたワイバーンに乗る男は、新しく現れたワイバーンに乗る男に協力を申し出る。


「駄目だ!俺はこいつらを捕まえるために来たんじゃない。お前に撤退を伝えるために来た。さぁ、引くぞ!」


「は?何で撤退なんてするだよ!?」


「俺が知るか!とにかくアーノルド様がもうこいつら撤退をしろとの命令だ!」


「アーノルド様が何でそんな命令を!?ちっ!しょうがねぇか、お前ら運が良かったな」


男はそう言い残すと二匹のワイバーンは雪たちから離れていった。


取り残された四人は呆然としていた。


「助かったのか?」


「‥‥‥多分」


光輝は呟くと、雪が返事をする。


「どうして奴等は撤退していったんだ?」


「‥‥‥多分大地が何かしたんだと思う」


「加藤君が?彼はどこにいるんだい?」


「大地は自分の力で逃げれたはずなのに、自分を犠牲にして、私たちを逃した。私たちを逃したあと、私たちだけじゃなく、この学校にいる人たちを助けるためにアーノルドに何かしたんだと思う」


雪は考察する。


「あの人、目つきはちょっと怖いけど、私たちを怪我してまでずっと目を守っててくれたんだ!」


一人の女の子が助けてくれた状況を光輝に報告する。


「へー加藤君は凄いんだね!ケンタウロスの時もそうだったけど、自分を犠牲にしてまで人助けするなんて尊敬に値するよ!」


光輝は大地の行動を聞いて、感慨げに呟く。


「‥‥‥大地はそういう人。私はそんな大地だからいつまでもついていくって決めた」


「小鳥遊さんは加藤君が大好きなんだね!加藤君が羨ましいよ」


「‥‥‥大地が今は何とかしてくれたけど、またあいつらが来るかもしれない。今のうちにここから離れよう」


光輝が大好きという言葉に顔を赤くしながらも、話を進める雪。


「小鳥遊さんの言う通りだね。今なら他にも逃げている人たちと出会えるかもしれないしね」


雪たちと光輝は学校の外に繰り出して行った。


読んでいただきありがとうございます!

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