とある町役場の日常
今から10年前の4月1日、上野美術館に設置されている地獄の門が開かれ、そこからこの世界に異世界の人々がやってきた。
当初4月1日であったこともあり、エイプリルフールとして本気にする人も少なくSNSで拡散されるも本気にする人もすくなく、国営放送では取り上げられることもなく、美術館の警備員に説教されるまるでコスプレしたような人物が美術館を訪れた人々に目撃されるだけという、非常に地味な異世界との交流の開始となった。
しかし、実際に異世界の人々は存在しており、こちらの世界と同じような人間型の人もいれば、いわゆるファンタジーの世界に住む亜人と分類される人々もおり、時の政府も当初こそ対処に思い悩む物の、いざ悩んでみたところで次々に地獄の門からこちらの世界へやってくる人々は減らず、また、実はこの日本だけでなく世界各地にて同じような報告がされるようになり、世界は人間種だけでない、本当の意味で人種のるつぼへと変化を始めることとなった。
そして、各国では亜人の能力に注目し、軍事運用ができないか検討するもの、なぜこの世界を訪れたのかを学術的に研究するもの、異世界への門をくぐろうとするもの、様々な反応があったが、唯一一切の成果を上げることができなかったのが異世界への門をくぐると言う行動だった。
異世界からの訪問者は自分たちのいた世界へ簡単に戻れると言うのに、こちらの世界の人間は門をくぐってもこちらの世界としてつながっている場所にしか移動できず、有機物、無機物すべてが潜り抜けることはかなわなかった。
そんなこんなで10年の月日がたった今、この日本において異世界と通じている門は東京上野の地獄の門しかなかったため、他国に比べて非常にゆっくりとしたペースではあったが、徐々に田舎にも進出してくる異世界からの訪問者たちも増え、その土地に根を張り生活を始めるものもではじめた、そんな変化に富んだ田舎町の役場のお話し。