第8話 「タヌキのコン」
微睡みの中で、誰かの声が聞こえる。
何を言ってるのか。
よく聞こえない。
「…さん。」
誰だ?
何て言ってるんだ。
「…うとさん。」
悠人はゆっくりと目を開ける。
と、そこには…
タヌキがいた。
「悠人さん!やっと起きたっすね!」
自分の事を心配してくれていたのか、
そのタヌキは嬉しそうな顔をしている。
「な、何だお前は?」
そう尋ねると、タヌキはここぞとばかりに喋り始める。
「よく聞いてくれたっすね!
僕は悠人さんの召喚魔法で召喚されて
ここへ来たっす!」
タヌキの言葉を聞き、悠人は思った事を口にする。
「俺がいつ召喚魔法とやらを使ったんだよ。てか、そんな事出来る何て知らなかったぞ?」
困惑する悠人を見て、タヌキも返す。
「自覚があって呼んだんではないんすね。
そうなると…」
タヌキが何やらブツブツ言っていると、後ろからヒールの音が聞こえてくる。
「お疲れ様でした。
試験は合格になりました。
これからギルドカードを発行するので
受付まで来てもらいます。」
お、受かったのか。
それは嬉しいんだが、最後の一体を
倒した記憶がないんだが、まぁ良しと
しようか!
悠人はそんな事を思いながら、
女狐に付いて行くのだった。
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「こちらがギルドカードになります。
あなたは今、冒険者になりたての
Dランクスタートです。
ランクの上げ方はこうです。
まず、Dランクのクエストを10回クリアする。クリアすると、Cランクに上がる為のクエストを受けれる様になるので
それを受けて、クリアするとCランクに
なります。
ランクの高いクエストは、クリアが難しい代わりに報酬も良いです。
それでは、あなたが良き冒険者になる事を祈っております。」
校長の話の様に長かった説明を終え、ギルドカードを手にした悠人は、宿へと向かっていた。
「悠人さん!宿ってどんな所っすか??」
悠人の肩に、ちょこんと座って騒いでいるタヌキがいる。
「おい!うるさいぞ!
てか、お前消えたりしないのかよ!」
悠人の問いに、そのタヌキは返す。
「オイラは悠人さんの魔力を貰ってこっちにいるっすから!」
魔力?そういえば確か召喚魔法を使ったとか言っていたな…
「なるほど…アニオタゲーマーの俺だからこそ状況が理解できたぞ。
だが、俺の魔力がどのくらいあるとか
自分でも分からないんだぞ?」
悠人の問いに
「左手を振ってみてくださいっす。
ステータスが表示されるっすから。」
話を聞き、悠人は左手を横に振る。
すると、目の前にステータスが表示される。
名前 天城悠人
職業 冒険者
Level: 1
体力: 36
魔力: 80
筋力: 50
素早さ: 45
魔法
召喚魔法Level: 1
「おー‼︎ って興奮はするがこの数値って高いのか?」
「そーすね。Level: 1の冒険者にしてはすごいっす!
体力は平均値ですが、他はどれも高い方っすよ!特に、魔力が高いので魔法職が向いてると思うっすよ!」
ほうほう。
これは俺の素質なのか、それとも
あの幼女の力なのか…
まぁ、俺の才能だよな!
ハッハッハッハッハ!
心の中で天狗になっていると、
「悠人さん!オイラに名前を付けてほしいっす!」
タヌキがいきなり言い出す。
「名前?なんで俺が付けなきゃなんねーんだよ。」
最もな疑問を口にする。
「オイラ達、召喚魔法で呼ばれた召喚獣は召喚者によって造られているっす!
その姿は召喚者の心底に反応して形成されていくっす!
だからオイラはさっき生まれたようなものなんすよ!」
その説明を聞いて、悠人は思う事があった。
もっとカッコいいやつ出てきてくれねーのかよ、と
そんな主人として最低な考えをしながら、適当に名付ける。
「お前の名前はコンにする。
これからよろしくな。」
そう言いながら手を差し出す。
「コンかぁ!
いい名前っすね!
よろしくっす!」
コンは嬉しそうに手を差し伸べ、
2人で握手をする。
そんな2人を、夕飯の買い物に来ている
おばさん達が横目に話す。
「あの子。金玉のデカイ獣と握手してるわよ?何か怖いから気をつけましょーね?」
「見ちゃダメ!さっさと行きましょう!」
すかさず悠人がツッコむ、
「おい!変な目で俺を見るなぁ!!!!!!!!!!!!」
悠人のツッコミで、おばさん達はそそくさと買い物に戻るのであった。
更新は大変ですね!
ですが、頑張りますよ!
第9話で会いましょう!