第7話 「試験終了」
堕天使こと、ギルドで受付役をしている彼女は、悠人の戦う姿をジッと見ている。
「あの子、生意気だけど案外やるじゃない。実はこの試験、ドール1体と戦って勝てたら合格なんだけど、あの子には言わないでおきましょ。」
クスリと笑いながら彼女は呟く。
そう。この試験、ドールが3体もいるなんて例外なのだ。
堕天使の彼女が、嫌がらせとして勝手に仕組んだだけの事。
「まぁ、1体倒した時点で合格にする
予定だったけど、面白そうだから黙っておきましょう♪♪」
彼女は、新しいオモチャを見つけたように微笑んでいる。
すると、後ろから声を掛けられた。
「また遊んでおるのか?本当に懲りん奴じゃな、アリザよ。」
アリザは振り返り、後ろに立っていた
おじさんに言葉を返す。
「あ、支部長。見てくださいよ!
あの子試験を受けに来た子なんですけど、中々面白い素材ですよ?」
そう言いながら、ぷふふと笑う彼女を
横目に、支部長ことギュスタークは
下を見る。
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悠人は、ここのギルドの支部長が上から見ている事など露知らず、後1体をどう倒すか考えていた。
さて、どーすっかな。
爆弾は後1つだけある。
他には剣しかないし。
ヤベェな。手札がほぼゼロじゃねーか…
「ブンッ!!」
この状況を打破できる案を考えていると、前から凄まじい音が鳴った。
目をやると、中華包丁を右に左に振って、こちらに歩いてくるドールの姿があった。
「おいおい、死神様のお出ましかよ…」
悠人がビビっている事など露知らず、
ドールはゆっくりと近づいてくる。
しかし、一定の距離になるとドールの足が止まった。
そして、
突然腰の裏に手を伸ばし、武器を取り出す!それを、思いっきり悠人に向って投げる!
「な、なんだっ!!」
悠人は身構えながら、自分に向って飛んでくるものを見る。
「くそっ!回転してるからかよく見えねぇぞ!」
悠人は、飛んでくる得体の知れない物を剣で弾く。
弾かれたそれは、回転力を失わずに
ドールの手元に戻っていく。
「パシッ」
ドールの手元にあるそいつを凝視する。
「チャクラムかよ…
こんな所に居たよ。達人さんが…」
ドールは1本では、悠人に勝てないと思ったのかもう一方の手を腰に持っていく。
「まさか…お前それは反則だぞっ!」
ドールは2本のチャクラムを持ち、前髪の隙間から悠人をみる。
「くそっ、先手を取られる前にこっちから仕掛けるか。」
そう言うと、悠人はポケットから爆弾を取り出し、ドールに投げる。
しかし、悠人の動きを見逃さないドールは、爆弾が投げられた瞬間にチャクラム
を投げる。
どごぉぉぉぉぉぉぉぉおん!!
悠人とドールの間で爆風と音がなる。
ドールは残り1本のチャクラムを投げ、
中華包丁を手に取り悠人に向かって
走ってくる。
「ちくしょう、チャクラムだけでも
厄介なのに接近戦もプラスされたらさすがにヤバイぞ。」
ヒュンヒュンと言う音で悠人は察し、
チャクラムを剣で叩き落とす。
と、同時にドールが悠人の隙を突くように斬りかかってくる。
「死んでたまるかぁー!!」
叫びながら下から上に向かって剣を振って中華包丁を受け止める。
ギチギチと押し合っていると、
ドールが突然力を抜いた。
「な、何!?」
悠人は前に倒れこむ。
ドールは悠人の顔が、亀の頭の様に
出る時を見計らい、裏拳を叩き込む。
「ぶっ!」
悠人は顔面を殴られ、横向きにぶっ飛ぶ。
ドールは倒れ込んでいる悠人に少しずつ歩み寄っていく。
「はぁはぁ、くそ俺の人生もここで
終わりか。」
悠人は痛む頬を触りながら、ドールを睨む。
くそ、くそ!
こんな所で死んでたまるか!
俺はあの子を助けたいんだ。
いや、助けるんだ!
その為にはギルドに入らないといけないんだよ!
「くそやろーー!!」
悠人が叫ぶと、身体から何かが抜けていくのが分かり、意識が朦朧とし始める。
すると目の前に見知らぬ影が映りこむ。
「大地の精霊よ。おいらに力を分けてくれ。
千の葉よ舞い散れ!木の葉乱舞!!」
すると、
ガシャンっ!と
ドールが倒れるこむ音が聞こえる。
悠人の目に映っているのは、
タヌキであった。
そして、悠人は素直な感想を述べる。
「き、金○でかくね?」
悠人の言葉に、悲しむタヌキの姿があった。
下ネタをお許しください…
それでは第8話で会いましょう!