第2話 「結婚しよう」
母上へ
えーこの度、私天城悠人は異世界の星になる事をご報告申し上げます。
いつもいつもご飯やお風呂 洗濯など
色々してくださってありがとうございました。
私は、母上が大好きでした。異世界物のゲームや小説などにハマる前は母上を1人の女性として愛しておりましたが、
いつの頃からか叶わぬ恋と知り、尊敬する人へと変わりました。
こんなクソガキでしたが、これからはたくさんの人を見守ろうと思います。
さようなら…
さ、遊びは置いといて。
この状況をどうする。
また俺は後ろを取られたのか!
このバカちんがぁっ!
くそっ!くそっ!くそぉー!
とりあえず後ろを確認しないと何も始まらないぞ。
悠人が頭の中でお母さんへの愛や、これからどー乗り切るかを考えていると、後ろから鶴の一声の様な…じゃなくて、
朝の小鳥のさえずりの様な…じゃなくて、もーとにかく可愛らしい声が聞こえてくる。
「だ、大丈夫ですか?」
悠人はゆっくりと振り返ると目を見張った。
そこには、とても可愛らしい女の子がいた。歳は悠人と変わらないくらいだろうか。
髪型はキレイに揃えらえたショート。
髪の色は白銀の色をしており、神々しささえある。
肌も白く、何と言ってもその白の中に
吸い込まれそうに澄んだ青色の目があった。
悠人は、言葉が出ずに立ち尽くしていた。
「あの、大丈夫ですか?」
再度聞かれ、悠人は咄嗟に答える。
「結婚してくださいっ!!!!!!」
静かな森の中に木霊する悠人の声。
時が止まっていた。
いや、違う。
悠人の心臓は破裂するほどに脈を打っていた。
何を言ってるんだ僕は!
頭がおかしくなってしまったのか!
確かにあの子は可愛いが、いくら何でも順序があるであろう!
悠人は焦りのあまり、いつもと話し方が変わっていた。
「ご!ごめんなさい!」
彼女は慌てて頭を下げた。
悠人も慌てて言う。
「ち、違うんだ!魔物と戦っている時に頭をぶつけたみたいでね!さっきまで少し頭がおかしかったんだ!さっきの事は忘れてくれ!」
すると彼女は頭を勢いよく上げ、悠人の所に駆け寄ってくる。
「頭を打ったんですか?すいません。
今は何も持っていないので手当が出来ません。もう少しすれば森を抜けれると思いますので、もしよろしければ一緒に行きませんか?」
悠人は突然寄ってこられ、その勢いで香る女の子の匂いに鼻を刺激されつつ
答える。
「お、お願いします!道が分からなくて迷っていた所だったんです!」
彼女はニッコリと笑顔になり、前を歩き始める。
悠人は、こんな可愛い子と2人きりになれた事を、神に感謝しながら女の子を追いかける。
私、何で知らない男の人と歩いているんだろう…
私みたいな身分の人と歩いていたら、この人にまで迷惑がかかるかもしれないのに…。
悠人は彼女の心中など知る由もなく、ペチャクチャと楽しそうに話しかけている。
そーこーしている間に森を抜ける事が出来た。
「ありがとう!君のおかげでこの森を抜け出す事が出来たよ!」
悠人がお礼を言うと、
「いえ。無事に出れて良かったです。」
彼女は本心での笑顔ではないと分かる顔で笑った。
悠人も、それは気づいたが自分の様な見知らぬ男がどーにか出来ることではないと思い、それでも笑顔になって欲しくて話し続ける。
「君の名前を教えてくれない?」
彼女は困った顔をしながら、口を開く。
「私の名前は…」
「おい、5番!貴様どこをほっつき歩いていた!お前の様な奴隷に自由なんてないんだよっ!」
突然の罵声にその場が静まり返った…
少しシリアスになるのか?
次回をお楽しみに!