ユウはね
「ユウは弟みたいなものよ?」
「でも違うんだし、年下君とデートっていいわ〜」
中学高校と付き合いのある友達がそう言って茶化す。
私がそういう話と無縁だって知ってるくせに。
「年下君と付き合ってるって思ってるの多かったんだし、脈がなく見えるんだから仕方ないでしょ」
え? なにそれ。
友達が笑う。
「一番の敗因は天然のケがあることね」
「天然じゃないわ」
なにそれなにそれ。ちがうもの。
「むくれないむくれない」
頬をグリっと捻られてムゥとなる。
「天然は自分じゃ気がつかないわよ」
あははと笑って天然ぶりっ子はいけ好かないしねと付け足す。何となく深く聞いちゃいけない気がして聞けなかったけど何があったの?
そんな友達との会話がなぜか思い出される。
ねぇ。ユウを好きでいていい理由を探してるのかな?
「おはよう。セキ」
「おはよう?」
ユウの声に首を捻る。なんでいるの?
「ミキねぇの朝メシはキツイだろ?」
納得の理由を告げられて頷く。
「ありがとう」
お礼を言いつつ毛布を引きずり上げる。どーしてかそっぽをむいたユウは気がつかないわよね?
夕立ちの雨音でかき消される『好き』の言葉。どこまでもお約束のシーンだけど、胸が痛い別れシーン。
そんなドラマを見ていれば、「重ね合わせてる?」と姉さんがよくわからないことを言った。
「それともセッちゃんは届かない方がいいのかな?」
意味がわからないよ……。
『ちょっと、息抜き。おやつ〜』
フミが手を伸ばしてねだる。
『早ぇんだよ』
がっつりとその腕と頭を捕まえて机に引き戻すユウ。
『頑張ってるって!』
『赤点とったら部活禁止だぞ』
示されている罰を告げられフミが渋々ノートに向き合う。
『あ、頭がっ』
イマイチ勉強が好きじゃなかったフミはいつもユウに助けてもらってた。
フミとユウの勉強会はいつもそんな感じ。
終わった後は一緒にごはんしてからユウは上に帰る。
その後はフミが楽しそう言ってユウの学校生活を語る。
ユウがクラスの女子に告白されてフったとか。
体育で活躍したら黄色い声援が凄かったとか、男子とじゃれあって女子に冷たい目で見られてたとか、そんな話題。
イベントシーズンはまた、盛り上がる。
『チョコあげるの?』
『ナオさんとユウにあげるよ』
『ふーん。ミキねぇはー?』
フミはにぎやかな子だったんだ。
それなのに事故が私とユウからフミを奪った。
そんなめにあってる時に私はユウと手を繋いで笑っていたんだ。
気がつかないで、笑っていた私を私がゆるせない。
それなのにフミを一番好きなユウ。フミが一番好きなユウを奪おうとする私をどうして認められる?
『ユウとフミはできてるんだよ』
そう教えてくれたのはナオさん。
私はそうなんだって納得して『どういうことだ』とナオさんに詰め寄る兄さんを止めていた。
フミの死にユウは本当に打ちのめされて見えたから。
あの時、私はなにに一番傷ついていたんだろう?
酷いよね。




