プレイスタイルはマイペース
いつだってここは透き通る青空。
ずっと雨が降ってるところだってあるけど、エリアの気象グラフィックは基本変わらない。
気分にあったエリアで余裕がある敵LVのとこならいける。気象エフェクトは重いからカットしてるけど。
『LV上がったら戦闘上げんの? それとも、生産?』
ユウにパーティチャットで尋ねられた。
LVUPの時にボーナスポイントで技能を上げるシステム。私は好き勝手に取っていて非常に非効率的なキャラ育成。
最初は育成サイトやヘルプガイド、掲示板にオススメ育成があるってユウは勧めてきたけど、今では特に何か言ってくる事はなくなった。
好きにさせてくれるのがありがたい。
そう、私はおしゃべりするのが楽しいから別にいいんだ。
初心者の邪魔をするほど弱くないし、先に行けないだけで適正エリアは多いから。
「ここに置いて行かれたら死に戻りしかないからやめてね」
ユウに連れてこられたのは適正エリアの外。戦えない私はユウに回復魔法をかける。
『寝言言ってんじゃねぇよ』
笑うユウに私はムッとする。切実なのに。
『帰還アイテム持ってるだろ』
答えたくなかった。
「普段、使わないし」
言い訳するとユウが「持ってろ」と帰還アイテムを押し付けてきた。
「ありがとう……」
イヤでもお礼はちゃんと言うの。
すれ違いに拗ねるのは子供みたいでユウとの年の差を意識する。
モニターの中の私達にはレベル差の装い差。だからゲームの中ではユウへの苦手意識が少しとける。とかしちゃいけないのにね。
ネットでは年齢なんて見えたりしない。言動があるだけ。
大人だって拗ねるの。
でも、子供なんか、相手にしないわ。
ユウはゲームに夢中な男の子に過ぎないんだから。
『いつまでも成長ないのもダメだぜ』
ユウはそう言いながら敵キャラを狩っていく。その姿は生き生きしていて楽しそう。
だから、私は続けさせたくて回復魔法や補助魔法をかける。
楽しそうにお礼のエモーションアイコンが閃く。
それが、うれしいんだ。
そんなことに喜んでた罰なのかな。知らない子がユウに声をかけてきた。オープンフィールドなんだから別に普通だけど。
『そんなレベル差ある子の育成ヘルプもいいけど、ダンジョン行こうよ』って。
そっか。育成ヘルプだったんだ。
「落ちるね」
ユウにもらったアイテムで街に帰ってログアウト。その前にフレンドリストを見る。
消しちゃおうか?
ゲームごと。
ログアウトして、そんなことを考えているとインターホンが煩く鳴った。
誰か来たのかと、慌てて玄関を開けるとユウに怒られた。「すぐ開けるな」「いきなり落ちんな」って。だってあの子と遊ぶんでしょう?
邪魔はしたくない。それなのに怒って、わけがわからない。
「勝手に決めるな。待ってるから」
そんなことを言ってユウは非常階段へ向かう。階段を駆け下りて来たのか。そして駆け上るのか。元気だなぁって思う。十一月の空気はけして温かくはないのだから。
飲み物を入れなおしてゲームを起動する。
「ほんと他人の言葉を聞かないんだから」
キャラセレクトしてシティマップにイン。
『遅い!』ユウからのメッセージは早かった。
「ただいま」『おう。行くぞ』
キャラだと反応はわかりにくい。でも待っていてくれたのが嬉しくて「行こう」って走りだす。
初めての私からの誘いの言葉。
だって恥ずかしいよ。
「……バカ、だな。すぐ、となりにセキがいるのに他のやつと行くわけねーだろ」
ユウの言い草はひどいと思う。でも、どこかでホッとしてる。
「ユウが幼馴染で良かったよ」
『泣虫セキは俺の過去にも今も未来にもいるさ』
嬉しい。
「ユウは素敵な弟分だよ。大好き」
本当に好き。




