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積木遊戯  作者: とにあ
番外編
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13/13

ナオ

 弟がヘタれていた。

 ノーパソ広げてゲームしながら。

 今日は気分の乱高下が激しいようだ。

 仕事から帰った時は機嫌良くポッキーのおすそわけをしてくるぐらいだったんだがな。11月11日はポッキーの日だとか。「ポッキーゲームでもするか?」と聞ば盛大に拒否られた。冗談だったんだが。

 晩飯もそこそこに自室にゲームをしに戻る弟。勉強は大丈夫なのか?

 さっきいきなり呼びつけて、「死なせないで」と押し付けて出て行ったと思ったら、ドタドタと帰ってきて押しのけられた。戦闘区域から離脱して操作確認したとこだったんだけどな。

 下に行ってたんだろうとはわかる。

 あの家族が引っ越して来た時からユウの視線はセッちゃんにロックオン。

 幼児の恋なんてさめるのも早いだろと思っていたのにまだ引きずってる。我が弟ながら一途だ。

 お互いにフリーなら好きにしろとも思うけどな。

「好きって言ってもらった」

 ぽつんとユウがこぼした。

 じゃあなんでヘタれている?

「弟分だって……、幼馴染みだって……」

 対象外か!

 大笑いしそうでまずい。

「フミちゃんの件が引いてるのかもな」

 フミちゃんはあの家族の末っ子。

 ユウの親友。一年前に事故で還らぬ人になった。

 練習試合のグラウンドに向かう途中での追突事故。

 セッちゃんは両親とフミちゃんを失った。

 家を出てた上の二人がセッちゃんに「おいで」と言ってたけど、セッちゃんは思い出のあるこの街から出るのはいやがった。

 ウチの家族が様子も注意するからと話しあった。セッちゃんの職場もこっちが近いし。マンションのセキュリティは悪くないし。

 きっと、ユウはセッちゃんのことを諦めたりできないだろう。

 それはそれで未練がましい弟だが、ヘタな失敗はセッちゃんのお姉さんをターゲットにしている俺に多大な迷惑だ。

 どうせなら本人とこじれない自然消滅しといてくれよ?

「ナオ。セッちゃんの様子どーお?」

 ワンコールでとる電話は挨拶もなく用件が先。

「今ネトゲ中だと思うよ」

 セッちゃんの姉と兄は過保護と言える。

 おかげで電話越しにでも会話できるので不満はない。

「そっかー」

「ミキは元気か?」

「ん。元気。つか、先週も電話したでしょー」

「なぁ。ミキはそっちでなんか変わりあった?」

 付き合いは幼馴染み止まり。好きだから付き合わないかは伝えてあるんだが、学生時代は学業が、今は仕事が軌道に乗らないとと付き合ってくれるとは言わない。

「ないわよ。ヒロも彼女そろそろつくればイイのに」

 ミキの好意が俺を見ているのは知っている。

 バレたらうるさいのはヒロだろう。

「フミちゃんのとこ行くから、今度の連休帰るわ。セッちゃんのこと気をつけておいてね。ナオ」

 本当は仕事を辞めて戻ってこようとしていたのも知ってる。かわいい妹をひとり残すことは心配だったろう。

「わかった」

「じゃあ、再会を楽しみにしてるわ」

「俺もだよ。ミキ」

 音をのせずに『好きだ』と告げる。

 弟をヘタレだなんて口に出せない。

 フミちゃんの死に付け込んで進めなかった俺を俺はヘタレだと思ってる。

 電話を終えて体を伸ばす。

 会えると思っただけでふわふわしてるわけだから、我ながら安あがりだと思う。兄弟揃って。

「ユウ、夜食いるか?」

「マジ? 食う!」


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