距離は
「ユウはフミが好きだよね」
帰り道を一緒に歩きながら何気なく振る話題。
「ぁん? 好きだよ。血の繋がらねー双子みたいに。それにセキの弟だしな」
私の弟だから?
「今、居なくても、彼奴はいるんだよ。好きな事は消えねぇ。ただ、あたり前だけど、セキへの感情は家族じゃねぇ」
吐き出される言葉は痛みを伴っていそうに心を締め付ける。
「セキの心配がなんなのか知らないけどさ。俺はずっとセキが一番だから」
でもね、ユウ。
「年上だしね」
「十歳も離れてるわけじゃないし、年齢なんか最初からわかってる。セキの気持ちはどうなんだよ」
グッとユウの体が近い。
体温の近さに顔が熱い。
ズルいズルい。思考がとける。
「……スキよ。フミが来ない事よりあの時間が嬉しかったの」
ええ。好きよ。いつからかだなんて知らない。正しくないってずっと感じてた。
だって、酷いお姉ちゃんだ。
弟より男との時間を喜んだのだから。
「酷くねぇよ」
そうかな?
見上げればユウと視線が絡む。嬉しそうなユウの笑顔に蕩けそう。冬の空気に冷えた髪にさしこまれるユウの右手。
「セキ、セキは俺の恋人になって」
ごく端的なわがままみたいな欲求。でもユウはずっと待っててくれた?
もどかしいくらい言葉が出てこない私はキスで応える。
ああ。
「大好きよ」
今、すべての距離が意味なくゼロになる。
「だってナオさんがフミとユウはできてるって教えてくれたのよ?」
かがむように背中を丸めてくれたユウの首から手を放しながらそっと教える。
だから、フミからユウをとるのはいけないことだと私は知っていたわ。
フミもユウが大好きで、ユウもフミが大好きなんだもの。
「マジか」
え?
嘘なんか言わないわ?
ナオさんも勘違いするくらい二人の仲が良かったんだもの。
「セキ、俺は、はじめて会ったその日からセキだけが特別なんだ」
じっと見つめてそう告げられて顔がアツい。
見つめられてるのが恥ずかしくて私はユウの胸に顔をうずめるしかできない。




