これはどうなんだ
『中途半端』という四字単語は世間一般的からしてもあまりいい意味だと捉えられないだろう。
近い言葉として『優柔不断』、『決断力がない』、「リーダーシップに欠ける』、『男らしくない』、『女々しい』…etc
読み方を変えたところでさして意味合いは変わらないだろう。結果としていい言葉だとは捉えられず、どちらかといえば悪い印象を与える。
そんなどうしようもない語彙が私は好きだ。何故か。それは私にも分からない。物心ついた時からその言葉に対し異様なまでに虜にされている。
大人になり、社会人になって少しそのことに関して考えてみたことがある。その結果私は一つの答えに辿り着いた。
ここで皆に問おう。みなさんは何かで一番になったことはあるか?はたまた逆の質問で最下位になったことはあるか。
私の場合こう答える。一番になったこともないし、最下位にもなったことないと。きっと大概の人は同じようなことを答えるだろう。この問いを意味することはこの順位で一位と最下位という順位に当てはまる人は二人しかいない。つまりそれ以外の順位の人は『中途半端な人』と言っていいのではないか?もちろんこの証明は極端であると言うことは私にもわかる。でも言っていることは分からんではないだろう。
つまり私が何を言いたいかというと人というものは全て中途半端な奴しかいないということなのだ。そして『中途半端』であることが人間の心理であると子供の頃ないし物心ついたとき、本能的に悟ったため好きになったのではなかろうか。
そこでだ。なぜ『中途半端』という言葉が忌み嫌われるという話に戻そう。それは人が何かにおんぶに抱っこでなければ生きていけないわけで、きっとそれらの言葉が悪い意味の言葉と捉えられているのは人々の心理に直球で来るからではないだろうか。
まぁ、そんなどうでもいい話は置いておこう。ただの前座だと思って流してくれるとありがたい。
私の名前は浜村 中
近くの高校教諭である。性格としては至って普通と言ったところだろう。軟派というほど軟派ではなく、硬派というほど硬派でもない。さしずめ周りからも真面目かと言われれば不真面目とも言われる。どこにでもいる普通の教師であろう。
特に会議等々では結論を自分からだすことはあまりない。積極的には意見を飛ばすこともないが、尋ねられれば勿論のこと、それに対して意見を述べている。つまりは…自分で言うのもなんだがまぁ所謂中途半端を体現した男とでも言ってくれて構わない。
私は友達が多い方ではない。決して少ないというわけではないが、この性格上深くまで人の心の中まで踏み込んでいけない性分なのだ。とりあえず人に意見を合わせて、人に傷つけないようにしてきたためだろう。まぁなんというか友達が少ないというよりも心を打ち解けた仲間がいないと言った方がニュアンス的には正しいのかもしれない。
もちろんのこと心を打ち解ける仲間がいないというだけで、自分自身嫌われているわけではない。先にも言ったように、人に傷つけないように…こういう言い方は恩着せがましくてあまり好かないのだが…端的に言うならば周りの人に気を使っているから嫌われることはないのだ。
さてさて自分の紹介はいいとしてだ、私は今この状況をあんまり理解できていない。特段特別なことはなく、仕事をしばしの休憩をとり、近くのコンビニで買い物を済ました後の出来事である。いつも通り学校に戻る途中の空き地で何やら不気味な光景を見てしまった。
まずその空き地の中央に男子高校生が正座をしている。これだけなら私は足を止めることはない。変な学生もいるもんだなぁと少し思うくらいでそのまま見過ごすことだろう。
ただその男子高生のうしろに漫画で書いたような屈強な人がうしろに立ち、拳銃を男子高生の後頭部に押し付けいている。そんな光景を見たらみんなはどうする?多分私と同じように一旦立ち止まって、そのあと何処か…その状況が見える場所で身を隠すだろう。いやもしかしたらこれは普通ではないのかもしれない。普通なら警察に連絡をするのか、はたまた、そこからすぐ逃げ出すのかもしれない。しかし今となってはそんなこと、どうでもいい。
私としてはこの場合何をすればいいのだろうか?
警察を呼べばいいのだろうか?それとも彼がどうなるのか見届けるべきなのか?そもそもなんでこんなことになっているのだろうか?疑問が尽きない…
さて私はどうする…どうすればいい。
この続きは乞うご期待ということで…まぁわたしのことだから結局のところ、何も答えにならないんだろうけど…その間にそこの学生が…とかそんな不謹慎なことを考えていたら教師としていけないだろうなぁ…。