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陰陽道―姿形がかわっても―  作者: シュガーウォーク
手を繋いで
19/25

1パート

陰陽師北斗と戦国武将の邪険が戦っていたアイゾは蛇の邪険になったまま目を覚ましている優子を見た。


「なーんだ、邪険じゃなくなっちゃったのか。つまんないのー。」


「つまんない?」


「愛情豊かな人間の感情が憎悪に変わる。その歪み。たまらない!だから、あの女の純粋な愛情、憎悪にゆがませてみたかった。とてもおもしろかったわ。でも邪険じゃなくなったらもう見られないじゃないの。全く。」



高橋愛香は拳を固く握りしめた。そんな理由で。そんな理由でこの子をこんなに追い詰めたのか。あんなに苦しそうにしていたのはそんな理由でされたことなのか。冗談じゃない。



しかし、その拳を優子は両手で包んだ。


「ダメだよ!怒りに支配されてはだめ。あなた女の子でしょ。今まで優雅に戦ってきたんだから優雅に女の子らしく戦いなさい!」



高橋愛香ははっと我に返った。危うく自分を見失うところだった。


「わかった。行ってくる。女の子らしく、優雅にね。」



高橋愛香は立ち上がり、走りながら人型を投げて陰陽師南斗になった。



戦国武将の邪険と陰陽師北斗の2人とともに得意の足技を駆使した蹴り技で蛇の邪険を吹っ飛ばした。



「俺たち二人が剣でダメージを与えますから。とどめは愛香さんが。」


「わかった。」



陰陽師南斗は3枚のお札を投げつけた。三角形になり蛇の邪険にあたり、身動きを封じた。そして大きく構え、扇子を使い空へ舞い上がった。その間に陰陽師北斗と戦国武将の邪険は剣にエネルギーをため、切りつけた。ダメージを受けひるんだところに上空から陰陽師南斗の蹴りが入った。



後方に吹っ飛ばされ、立ち上がるもアイゾはその場に倒れ爆発した。人型が風になびいて流されていき、小さくなって消えた。それが幹部の1人であるアイゾの最後だった。



高橋愛香達は変化(へんげ)を解き、優子を連れて病院へ向かった。



優子はやっと邪険から解放され、病院で愛子と会うことができるようになった。



「そんな事があったんだ。」



愛子は一部始終を優子から聞いていた。


「陰陽師のみなさんに、今度会ってみたい。話をしてみたい。」


「あら、今ならいるよ。ちょうど青い陰陽師の人が退院する頃だし。聞いてこようか?」


「それじゃあお願い。」



妹が誰かと会いたいなんて言うのを久しぶりに聞いた。ずっと人間不信だったのに。裕二さんや文人さんのおかげだなと心の中で言った。



佐藤霊矢、藤堂永史、高橋愛香の3人とひょっこりとついてきた吉田文奈は愛子の病室に入り、話を始めた。今までの戦いの話をした。友達と戦わなければならなかった事。仲間達とぶつかった事。愛子は真剣に聞いていた。しかし、楽しそうにしているなと吉田文奈は思っていた。愛子の様子を見て佐藤霊矢は言った。



「文奈さんや愛香さんに聞かれましたが俺も戦う理由を見つけました。というかあったのに気づいたという感じです。こうやって邪険に変わってしまった人を元に戻す事で自分は友情とか愛情を大切に考える人の手伝いをしたいな。そしてしようと。それが俺が戦う理由です。」


「よかったですね。戦う理由に気がついて。」



愛子が笑顔で言った。その言葉を聞いて吉田文奈は何かを心に決めた。



吉田文奈は立ち上がって聞いた。


「私、ちょっと愛子ちゃんと歩きたいな。大丈夫?歩ける?」


「歩くのは大丈夫ですよ。お姉さん、行ってきても大丈夫?」


「もちろん、行ってらっしゃい。」



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