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陰陽道―姿形がかわっても―  作者: シュガーウォーク
友の迷い
13/25

1パート

小さい頃の吉田文奈は転んで怪我をして泣きながら歩いていた。



その時、手をつないで隣にいたのが兄の文人だった。



「まったく、転んだくらいで泣くもんじゃない。もう小学2年生なんだから。」


「ごめんなさい。お兄ちゃん近道するの?私とおててつなぐのやめちゃうの?」


「うーん。今日はいいか。帰るまではずっと握っててあげるよ。」



やがてその手はラッキーと一緒に歩くためのリードともつなぐようになった。




ラッキーがなくなってからしばらく誰ともつないでいない。


次は誰とつなぐのか。吉田文奈は自分の手を見つめていた。




同じように文人も自分の手を見ていた。ラッキーがなくなったあの日。俺は邪険になった。自分を憎む心が変化したんだ。ラッキーを止められなかった自分が憎かった。



文人の部屋に裕二が入ってきた。


「俺、邪輪衆の幹部になって邪神の依代(よりしろ)となり願いを叶えます。」



「またとんでもないことを言う。第一、何を願うつもりだ。」


「邪輪衆の邪険がいなくなる事と、憎しみがなくなるように願います。」


「一度陰陽師に倒されて巨大化したのを押さえ込むつもりか。」


「はい。」


「うまくいかなければ人でなくなるぞ。」



「うまくいかせて見せます。」


「どうしていきなりそんな事を。」


「俺達の未来のためです。憎しみがある限り邪神を倒したとしてもまた邪険が現れるかもしれない。それならば俺が願いをかければもしかしたらって思ったんです。憎しみそのものがなくなれば邪険は現れないはずです。」


「だから人を捨てると。」


「止めても無駄です。そしてそのためには邪険を6体倒さないといけないんです。陰陽師たちよりも前に邪険を見つけ出さないと。」



そう言い残し、裕二は走って行った。


裕二はあの交通事故のように憎しみが憎しみを呼ぶ連鎖を断ち切りたかった。



そのためには邪神を誕生させ、願いを叶えるしかないと思った。



邪険を6体倒すため、探しはじめた。



渡辺愛香の式神がそれを見ていた。



たぬきちは戻るなり高橋愛香の手のひらの上に乗った。



「あらあら、あの裕二くんとやらはずいぶん思い切った事をするつもりだね。」



リョクは裕二の考えに気づいた上でに前に邪険を放った。



裕二はカマキリの邪険に変化(へんげ)した。



高橋愛香は佐藤霊矢に電話し一部始終を話した。



「あなたどうするつもり?」


「俺が止めます。止められるのは俺だけだ。」



佐藤霊矢は馬に乗って走って行った。



裕二はリョクが作った邪険を軽く倒し、廃墟の中をリョクを追いかけて歩いていた。その際に鎌で廃墟の電線がすこし傷ついた。



そこに馬に乗って佐藤霊矢が駆けつけた。



「お前、本気なのか。人間じゃなくなるかもしれないんだぞ。」


「誰かがやらなきゃ。だから俺がやる。」


「なんでお前なんだ。」



そこに高橋愛香と藤堂永史が現れた。遅れて吉田文奈も合流した。



「本当にそんなリスクを背負うつもりですか。」


藤堂永史が人型を取り出したところを高橋愛香が制した。


「これは裕二くんと霊矢くんの戦いよ。深入りしちゃだめよ。それに。」



優子がアイゾに追われてるのを吉田文奈が指さしていた。


「私らにはやることがありそうよ。」



邪険を倒した時に使った鎌で古い電線が傷つけられ切れかかっていたがそれがついに切れ、火花が散った。それらは廃墟にあった油に発火し、燃え広がった。



2人の周囲を縁取るように炎が広がった。


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