2パート
「まぁ、俺達も君のお姉さんの仲間だからね。」
文人と裕二は愛子と話をしていた。
「文人さんも変身できるんですか?」
「うん。みんなには内緒だぞ。」
「彼女さんにばれたら困るとか?」
「いやいや。彼女いないし。妹がいてな。文奈というんだがその人にばれるわけにはいかないんだ。」
「なんとなく。気持ちわかります。家族を巻き込みなくないんですよね。」
「そうだな。」
「私が変身したらどんな姿になるのかな。きっとものすごく怖い姿になるんだろうな。」
「なるもんじゃないよ。あんなのに。」
「なんなんでしょうね。最終的な目的というか。」
「最終的な目的は親玉である邪神を復活させる事。」
「そうなんですか。」
「そうだ。邪神は復活するには依代が必要なんだ。」
「依代?」
首を傾ける愛子に文人が説明した。
「神が実体化する時、場合によっては人の体を使って実体化するんだ。」
「怖いですね。」
「だが、邪険の場合はメリットがある。二つだけ願いを叶えることが出来る。永遠に邪険や憎しみのない世界を願うとか、何かしらを願うことができる。」
「逆に邪神を倒すとどうなるんです。」
「邪険が生まれる根源がなくなるわけだから一気に邪険が生まれなくなる。だが、邪神を倒すとはいえ相手は神だ。倒したとしても人間の心に憎しみといった負のエネルギーが存在し続ければやがて蘇る。」
優子はアイゾから走って逃げていた。
アイゾは新たに生み出した配下の蟹の邪険に襲うように命じた。
ハサミを開いて襲おうとするところに裕二が現れ、カマキリの邪険に変身した。文人は優子を助けて一緒に逃げて行った。
ハサミと鎌が何度もぶつかり、火花を散らした。
そこに別ルートから帰ろうとしていた藤堂永史が見つけ、合流した。
陰陽師西行に変身して、カマキリの邪険に加勢した。
アイゾは陰陽師西行を無視してカマキリの邪険に襲いかかった。戦いながら会話した。
「我ら邪神の復活も近い。」
「邪神はどうやって誕生するんだ。」
「あなたたちのように人間から邪険になった邪険は6体の邪険を倒せばいい。でも幹部にならないといけないけどね。」
「幹部になるだと。」
「一度陰陽師に倒されると人に戻るかより大きな化物になるかのどちらかになる。大きな化け物になった上でそれを自分で調節すればあたし達の仲間の幹部になれるわ。その上で6体の邪険を倒せば邪神に近づくことが出来る。私たちは最初から幹部だから108体倒さないといけないの。今すぐいらっしゃいよ。私たちの仲間に。」
「浄化!」
槍で蟹の邪険を切りつけ、蟹の邪険を撃破した。
なんとその邪険は心を憎しみに支配されて戻らずより大きな蟹の化け物に巨大化した。
「こっちが残ったか。」
大きな蟹の化け物はカマキリの邪険をハサミでつかみあげ放り投げた。歩道橋にぶつかり、歩道橋をへし折った。
巨大な蟹の化け物は陰陽師西行にハサミを振り下ろした。ぎりぎりのところでなんとかよけた。
それを遠くから見ていた優子はほっておけなかった。
「変化したくないけど。」
優子はカマキリの邪険、陰陽師西行の前をゆっくり歩いた。歩いている優子に純白の真っ白な羽が生えた。大きな純白の羽はまるで宗教画のような姿だった。
両手を広げて白鳥の邪険に変化した。
白鳥の邪険はふり降ろされたハサミをよけ、舞い上がった。真っ黒な夜に真っ白な邪険の姿はそこの部分だけ別世界のようだった。
羽を何度も仰ぐと羽根が舞い、小さな爆弾のように当たると爆発した。
その隙に陰陽師西行はエネルギーをため、蟹の化け物を真っ二つに切り裂きカマキリの邪険は鎌でとどめをさした。
蟹の化け物は倒れ込んで消えて行った。
白鳥の邪険は降りたち変化を解いた。
アイゾはそれを見て少し微笑んだ。